保険適用の義歯は3~5年で作り直しが必要になります。
アクリルレジンは歯科臨床において最も広く使用されているプラスチック系材料です。義歯床用アクリリックレジンとして、保険適用の入れ歯の主要な材料となっています。プラスチック素材であるため安価で加工しやすく、患者さんの口腔内に合わせた調整が容易に行えます。
この材料はメタクリル酸エステルを主成分とする合成樹脂で、透明性や色調再現性に優れています。義歯の土台部分だけでなく、仮歯の製作、義歯の修理、個別トレーの作製など、多岐にわたる用途で活躍しています。
つまり歯科臨床の必須材料です。
実は、ネイルサロンで使用される「スカルプチュア」という爪の長さを足す技術にも、歯科用アクリルレジンと同様の材料が使われています。モノマーとポリマーを混ぜると硬化する性質を利用している点で共通しているのです。
驚きですね。
OralStudio歯科辞書のアクリルレジン解説ページでは、アクリルレジンの化学的特性や関連製品について詳しく紹介されています。
アクリルレジンのメリットは健康保険を使えるため比較的安価で治療できること、削ったり追加したりといった調整が比較的簡単であることです。一方でデメリットとして、プラスチックでできているため着色しやすいこと、割れやすいため厚みを持たせる必要があり違和感が大きいこと、温度が伝わりにくいことが挙げられます。
厳しいところですね。
材料の物理的特性として、金属やセラミックと比較すると耐久性が劣ります。保険診療で作製できる義歯の寿命はおよそ3~5年と言われており、長期間使用すると劣化して適合が悪くなる可能性があります。吸水性があるため、唾液を吸収することで変形や変色、着色汚れ、悪臭などの問題が生じやすいのです。
アクリルレジンは重合方法によって大きく「加熱重合型」と「常温重合型」に分類されます。重合方法が異なることで、材料の強度、操作性、残留モノマー量などの特性が大きく変わってきます。どういうことでしょうか?
加熱重合型は義歯をフラスクに埋没し、義歯床用材料を填入して加熱重合する方法です。70度程度の加熱によってBPO(過酸化ベンゾイル)を分解し、フリーラジカルを発生させることで重合を開始させます。水浴中で加熱を行う湿式法と、熱プレスによって加熱を行う乾式法があります。加熱重合型は強度的には強いですが、重合収縮が大きく変形しやすいという欠点があります。
耐久性があるのが基本です。
常温重合型は室温で重合操作を行う方法です。化学反応によって硬化するため、チェアサイドで迅速に作業できるメリットがあります。変形が少ないという利点がある一方で、強度が加熱重合型よりも弱いという特徴があります。仮歯の製作や義歯の修理など、短時間で成形が必要な場面で特に重宝されます。
近年では光重合型アクリル系レジンも臨床応用されています。光照射によって硬化させるタイプで、作業時間のコントロールがしやすく、硬化時間を短縮できる利点があります。リベースやリライン材として使用されることが多くなっています。
重合方法の選択は、治療目的や求められる物理的特性によって使い分けることが重要です。通常の義歯製作では加熱重合型が多く使われており、チェアサイドでの即時修理や仮歯製作には常温重合型が適しています。操作が煩雑で時間がかかるという欠点はありますが、耐久性を重視する場合は加熱重合型を選択するべきです。
松風の義歯用流し込みレジンシステム技術資料では、JIS規格に準拠した常温重合レジンの重合温度と時間について詳細な情報が記載されています。
アクリルレジンと硬質レジンは、どちらも歯科で使用されるプラスチック系材料ですが、その組成と用途には明確な違いがあります。この違いを理解することで、適切な材料選択と患者説明が可能になります。
アクリルレジンはプラスチックのみで構成された材料です。硬度は約22Hvと非常に軟らかく、摩耗が進みやすい特性があります。主に義歯床の土台部分に使用され、加工が容易で修理もしやすいというメリットがあります。しかし、長期使用では摩耗により咬合を適切に保てなくなるリスクがあるのです。
一方、硬質レジンはプラスチックに硬さを強化するためにガラス質の細かい粉(フィラー)を混ぜた材料です。セラミック粒子を基にした合成樹脂で、約80%のセラミック成分が含まれています。これにより、アクリルレジンと比較して耐摩耗性が約2倍に向上し、硬度も1.2倍となっています。
硬度の向上が条件です。
硬質レジンは人工歯や硬質レジン前装冠に使用されます。歯が硬いことのメリットは、長期間使用していったときに摩耗が少なく、擦り減りにくいという点です。咬合の状態に応じて、義歯の人工歯部分にはレジン人工歯と硬質レジン人工歯を使い分けることが重要になります。
ただし、硬質レジンにもデメリットがあります。レジン組成、粒子サイズ、表面仕上げ、使用条件などが複雑に絡み合う因子により、単一組成のアクリルレジン歯に比べて着色しやすいと言われています。また、被せ物全体が硬質レジンでできている硬質レジンジャケット冠は、割れやすく汚れも付きやすい、経年で変色しやすいという特性があります。
東京歯科大学の研究論文では、人工歯(レジン歯と硬質レジン歯)の使い分け方について硬度測定データを含めた詳細な解説がなされています。
臨床現場では、義歯の土台部分にはアクリルレジン、人工歯部分には硬質レジンを使用するのが一般的です。それぞれの材料特性を理解し、患者さんの咬合力や審美的要求に応じて最適な組み合わせを選択することが、長期的な予後の向上につながります。
アクリルレジンは生体にとって異物であるため、人によっては歯科金属と同様にアレルギーを引き起こすことがあります。特に未重合のモノマーが原因となるケースが多く、歯科医療従事者として理解しておくべき重要なリスクです。
アクリルレジンに含まれるメタクリレートモノマーは、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。これにより、口腔内の炎症や皮膚のかゆみ、発疹が生じることがあるのです。レジンアレルギーに関する研究報告を見る限りでは、仮歯の装着後に発症することが多いようです。
これは使えそうです。
固まっていないレジン液は揮発性があるため、アレルギー症状の一つとして急性顔面腫脹を伴う反応が報告されています。口の中の症状としては、粘膜が腫れたり、赤くなったり、熱を帯びたり、触ると痛みが出ることがあります。舌痛症や口腔扁平苔癬として症状があらわれることもあるのです。
重要なのは、歯科治療後すぐに症状があらわれることはなく、多くは半日から数日後に症状があらわれるという点です。このタイムラグがあるため、患者さん自身がレジンとの因果関係に気づかないケースも少なくありません。
意外ですね。
横浜・中川駅前歯科のレジンアレルギー解説ページでは、症例報告や対処法について詳しく説明されており、臨床判断の参考になります。
アレルギーの原因となる残留モノマーを減らすためには、適切な重合操作が不可欠です。加熱重合法を改善することにより、残留モノマー量が低減され、安全性を向上できることが研究で示されています。JIS T 6501:2019の義歯床用レジン規格では、MMAモノマー残留量の基準が定められており、これに準拠した製品選択が重要です。
アレルギー発症のリスクを抑制するためには、使用前に患者の既往歴を確認し、アレルギー体質の方には代替材料を検討することが求められます。熱可塑性義歯などの新しい材料は、レジン床と比較して残留モノマーが約1/4以下であり、アレルギーのリスクを大幅に軽減できる選択肢として注目されています。
これは必須です。
治療後にアレルギー症状が出た場合は、原因となるレジンを取り除き、セラミックスなどアレルギー反応が出にくい材料に交換する必要があります。ただし、レジンアレルギーと診断されても、過去に治療した部位すべてを交換する必要があるわけではなく、症状の原因となっている部位を特定して対処することが重要です。
アクリルレジン製の義歯は吸水性が高く、この特性が様々な臨床的問題を引き起こします。吸水することで劣化や変色、着色汚れ、悪臭などの問題が生じるため、患者さんへの適切な説明とメンテナンス指導が不可欠です。
保険適用のアクリルレジンで作られる入れ歯は、吸水性があるため着色しやすく、人工歯の部分や歯茎との境目が黒ずんでしまうことが見られます。床用レジンの吸水性は0.61mg/cm²と言われており、アクリル系材料は唾液や食物からの水分を徐々に吸収していきます。
吸水性が少ないということです。
吸水による問題は単なる審美的な面だけではありません。水分を吸収することで材料が膨張し、寸法変化が起こります。この寸法変化により義歯と口腔粘膜との適合性が低下し、痛みや不快感の原因となることがあるのです。また、吸水した部分は細菌の温床となりやすく、口腔内の衛生状態にも悪影響を及ぼします。
変色の原因としては、吸水性に加えて液性(pH)、温度、付着した食べカスなどの影響があります。特にカレーやコーヒー、紅茶、ワインなど色素の濃い飲食物は、アクリルレジンに色素が沈着しやすくなります。レジンの構造として、ポリマーの配列は疎にならざるをえなく、吸水性は非常に大きいと考えられています。
痛いですね。
吸水性と変色を最小限に抑えるためには、日常的な適切なケアが重要です。毎食後の義歯洗浄、就寝時の義歯洗浄剤の使用、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを組み合わせることで、義歯の寿命を延ばすことができます。義歯洗浄剤の使用は、床用レジン表面の粗さにはあまり影響を与えないことがメタアナリシスで示されており、安心して推奨できる方法です。
株式会社デンテ・ファルソのナチュラルD製品情報では、吸水性の少ない新しい義歯材料の特徴が紹介されており、材料選択の参考になります。
自費診療の選択肢として、吸水性がほとんどない熱可塑性義歯やポリエステル樹脂系の材料があります。これらは従来のアクリルレジンの約2倍の強度と衝撃耐性があり、変形が少なく、吸水性が少ないため変色や重合収縮が少ないという優れた特性を持っています。耐用年数が短く吸水性があるレジンの問題点を改善した材料として、患者さんの経済状況や要望に応じて提案することが可能です。
結論は材料選択が重要ということです。

[COLEDO] Luminous Tone レジン 着色剤 クリアカラー 【13色 / 14本 セット】 レジン液 着色 UVレジン エポキシ樹脂 着色料 シリコンモールド 対応 色 [10ml×14本]