トレーコンパウンド用途と種類の選び方

トレーコンパウンドは歯科の印象採得において欠かせない材料ですが、用途によって選ぶべき種類が全く異なります。この記事では、インプレッショントレーコンパウンドやモデリングコンパウンドなど、各種類の特徴と適切な使い方を詳しく解説します。あなたの臨床現場でも使い分けに迷うことはありませんか?

トレーコンパウンド用途と種類

温度管理が適切でないと義歯が不適合になります。


この記事のポイント
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トレーコンパウンドの基本特性

熱可塑性材料として約60℃で軟化し、口腔内温度で硬化する特性を持つ印象材です。硬化後は高い硬度を保ち、トレーの変形を防ぎます。

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用途別の種類と使い分け

インプレッショントレーコンパウンドはトレー作製用、モデリングコンパウンドは筋圧形成用、イソコンパウンドは機能印象用と明確に区別されています。

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適切な温度管理の重要性

軟化温度の管理不足は義歯の不適合につながります。材料ごとに最適な軟化温度が異なるため、臨床では正確な温度コントロールが求められます。


トレーコンパウンドの基本的な用途と特性


トレーコンパウンドは歯科臨床において印象採得に用いられる熱可塑性の非弾性印象材です。加温によって軟化し、冷却すると硬化するという性質を持っており、主にカウリ樹脂や硬質ワックスを主成分としています。


この材料が臨床で重宝される理由は、その優れた操作性にあります。約60℃の温湯で完全に軟化させることができ、軟化点付近では流動性を持つため、細部まで正確に形態を写し取ることが可能です。


硬化後は高い硬度を示します。


口腔内温度で固まった後は変形しにくい性質を持つため、トレーの形態安定性が求められる場面で特に効果を発揮します。この特性により、後続の精密印象採得の際にも、トレーが本来の形状を保ち続けることができるのです。


トレーコンパウンドの臨床的な役割は、概形印象の採得、個人トレーの作製、そして義歯の辺縁形成という3つの主要な場面で見られます。それぞれの用途において、材料の熱可塑性という特性が最大限に活用されています。


寸法精度の高さも見逃せません。弾性がないため、アンダーカットのある部位への使用には不向きですが、平坦な無歯顎の印象採得においては、その精度の高さが大きなメリットとなります。


トレーコンパウンドの種類と使い分け方

トレーコンパウンドには用途に応じて複数の種類が存在し、JIS規格では大きく2つに分類されています。モデリングコンパウンドは口腔内の印象採得用、トレーコンパウンドは印象材を保持するトレー作製用および辺縁形成用として定められています。


インプレッショントレーコンパウンドは、個人トレーの作製に特化した材料です。GC社の製品を例に取ると、板状250g(8枚入り)で提供され、軟化しやすく操作が容易という特徴があります。軟化点付近で優れた流動性を持ち、硬化後は硬度が高いため、トレーの変形を心配する必要がありません。


つまりトレー作製専用です。


モデリングコンパウンドには中性と軟性の2種類があり、主に筋圧形成や辺縁形成に使用されます。軟化温度は50〜60℃であり、口腔内に挿入後、患者に頬や唇、舌を動かしてもらうことで、機能時の状態を印象に反映させることができます。


イソコンパウンドは徐硬化性を特徴とする材料で、リベース印象および筋形成用として調整されています。広い温度範囲で圧流度があるため、床粘膜面や床辺縁部に盛り上げて機能的な印象採得が可能です。温度管理の幅が広いことから、臨床での扱いやすさが評価されています。


ペリコンパウンドは軟化点が53℃と低く設定されており、義歯床のボーダーモールディング(辺縁形成法)に適しています。筋肉形成に十分な可塑性を持つため、固定粘膜と可動粘膜との境界部を的確に捉えることができます。


GC社のコンパウンド製品ラインナップでは、各種コンパウンドの詳細な特性と臨床での使い分けが解説されています。


トレーコンパウンドによる個人トレー作製の手順

個人トレー作製は、精密な最終印象を採得するための重要な工程です。診断用模型を基に、患者の顎堤形態に適合したトレーを作製することで、印象材の厚みを均一にし、印象撤去時の歪みを最小限に抑えることができます。


作製の第一段階として、診断用模型上でトレーの外形線を設定します。無歯顎の場合、トレーは完成する義歯よりも一回り小さく設計することが原則です。これにより、後の筋圧形成で適切な辺縁形成を行うスペースが確保されます。


これが基本です。


トレーレジンまたは常温重合レジンを用いて、模型上でトレーの基本形態を作製します。レジンが完全に重合した後、模型から取り外し、バリや鋭縁を滑らかに研磨します。この段階でトレーの厚みは約2〜3mmが適切とされています。


インプレッショントレーコンパウンドを約60℃の温湯中で完全に軟化させ、作製したトレーに盛り付けます。板状のコンパウンドは扱いやすく、トレーの辺縁に均一に付与することが可能です。軟化点付近での流動性により、細部まで滑らかな形態を作り出せます。


口腔内での試適時には、トレーを所定の位置に保持し、軽く圧接します。この際、過度な圧力をかけると顎堤粘膜を圧迫しすぎて、後の印象が不正確になる可能性があります。適度な圧力で、顎堤の形態を忠実に写し取ることが重要です。


硬化後のトレーは高い硬度を持つため、変形の心配がありません。トレーの辺縁が適切な位置にあることを確認し、過延長部分があれば削除して調整します。この調整段階が、後の筋圧形成の成否を左右します。


トレーコンパウンドを用いた筋圧形成の実際

筋圧形成は、頬や口唇、舌の動きに調和した義歯床辺縁形態を得るための重要な工程です。個人トレーを用いて、口腔が機能している状態を印象辺縁に反映させることで、装着感が良く外れにくい義歯を製作できます。


モデリングコンパウンドを棒状に軟化し、個人トレーの辺縁に盛り付けます。トーチやアルコールランプを使用して先端のみを軟化させ、トレー辺縁に付着させる手法が一般的です。全体を軟化させすぎると、扱いにくくなるため注意が必要です。


盛り付けたトレーを約60℃の温湯に浸漬し、コンパウンドをなましてから口腔内に装着します。この温度管理が不適切だと、コンパウンドが硬すぎて粘膜を傷つけたり、柔らかすぎて形態が保持できなかったりします。


どういうことでしょうか?


適切な軟化状態のコンパウンドは、口唇や頬の動きに応じて変形し、機能時の辺縁形態を正確に記録します。患者には、口を開閉する、頬を膨らませる、舌を前後左右に動かすなどの動作を行ってもらいます。


上顎の場合は、臼歯部歯肉頬移行部から後縁にかけて、義歯の維持安定に関わる付近を重点的に形成します。口蓋咽頭移行部も重要なポイントであり、ここでの辺縁封鎖が義歯の吸着力に大きく影響します。


下顎の筋圧形成では、舌の動きを十分に反映させることが重要です。舌を前方に突き出す、左右に動かす、嚥下運動を行うといった動作を通じて、舌側辺縁の適切な形態を得ることができます。


永末書店の筋圧形成マニュアルでは、部位別の具体的な手順が詳細に解説されています。


トレーコンパウンド使用時の注意点と失敗を防ぐコツ

トレーコンパウンドを用いた印象採得で最も多いトラブルは、温度管理の不備によるものです。コンパウンドが十分に軟化していない状態で口腔内に挿入すると、粘膜を傷つけるリスクがあります。逆に過度に軟化させると、形態保持ができず、辺縁形成が不十分になります。


60℃前後が目安です。


軟化の繰り返しは材料の性質を劣化させます。同じコンパウンドを何度も加熱・冷却すると、弾力性が失われ、本来の可塑性が得られなくなります。臨床では、できるだけ少ない回数の軟化で適切な形態を得ることが望ましいとされています。


過加圧は義歯不適合の主要な原因です。筋圧形成時に強く圧接しすぎると、粘膜が過度に圧迫された状態で印象が採得され、完成した義歯が実際の口腔内では適合しない事態を招きます。特に顎堤吸収が進んだ症例では、軽い圧力での印象が重要です。


コンパウンドの盛り付け位置も成功の鍵を握ります。トレー辺縁の適切な位置にのみコンパウンドを付与し、余計な部分には盛らないことです。過剰に盛ると、口唇や頬に当たってしまい、患者が不快感を訴えたり、適切な筋運動ができなくなったりします。


意外ですね。


トレーの後縁部分は特に注意が必要です。印象材が流動して十分な加圧ができないため、床後縁部の封鎖が十分に期待できません。そのためコンパウンドで床後縁部を加圧するか、トレーの後縁を5mm程度短くして対応する必要があります。


イソコンパウンドとペリコンパウンドの使い分けを誤ると、期待した結果が得られません。イソコンパウンドは徐硬化性を活かして機能印象を組み立てる設計であり、ペリコンパウンドは軟化点53℃を前提に辺縁形成の再現性を狙った材料です。それぞれの特性を理解した上で選択することが求められます。


歯科器材のコンパウンド使用時の注意点では、臨床でよくある失敗例とその対処法が紹介されています。




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