炭酸カルシウムを50年使い続けても、エナメル質はほぼ削れないとの研究結果があります。
炭酸カルシウムの化学式はCaCO₃、英語名はCalcium carbonateです。 モル質量は100.09 g/molで、白色の固体として自然界に広く存在します。 石灰岩・大理石・貝殻・サンゴ・卵の殻など、身近な天然素材の主成分がこのCaCO₃です。 daido-life.co(https://www.daido-life.co.jp/knowledge/sustainability_initiative/common/dl/solution_data_9.pdf)
化学式CaCO₃を分解すると、カルシウムイオン(Ca²⁺)と炭酸イオン(CO₃²⁻)から成り立っています。つまり弱酸と強塩基の塩です。 酸と反応すると二酸化炭素(CO₂)を発生しながら溶解するという特徴があり、これが歯科臨床でも重要な意味を持ちます。口腔内の酸性環境(虫歯菌が産生する乳酸など)にさらされると、CaCO₃は徐々に分解されるため、配合される製品の設計では酸への耐性が設計上のポイントになります。
炭酸カルシウムには大きく2種類があります。 calfine.co(https://calfine.co.jp/museum/character.html)
歯磨き粉の研磨剤として使われるのは主に軽質炭酸カルシウムで、粒子径が細かくコントロールされています。これが基本です。
参考:炭酸カルシウムの種類と製造方法について詳しく解説されています。
「歯の成分=カルシウム=炭酸カルシウム」という誤解は意外と多いです。 実際には、歯のエナメル質の主成分はハイドロキシアパタイト(Ca₁₀(PO₄)₆(OH)₂)であり、化学式も構造も全く異なります。 laketown-dental(https://www.laketown-dental.com/staffblog/1820/)
エナメル質の約97%がこのハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの一種)でできています。 炭酸カルシウムCaCO₃にはリン(P)が含まれていませんが、ハイドロキシアパタイトにはリン酸基(PO₄)が含まれる点が大きな違いです。 両者を比較すると以下のようになります。 laketown-dental(https://www.laketown-dental.com/staffblog/1820/)
| 項目 | 炭酸カルシウム(CaCO₃) | ハイドロキシアパタイト(HAp) |
|---|---|---|
| 化学式 | CaCO₃ | Ca₁₀(PO₄)₆(OH)₂ |
| 主な用途(歯科) | 研磨剤、骨補填材原料、DDS基材 | 再石灰化促進、エナメル補強、骨補填材 |
| 酸への耐性 | 弱い(酸で溶解・CO₂発生) | 比較的安定(中性〜弱酸性で維持) |
| 虫歯予防効果 | 直接的な薬用効果なし | 「薬用」表示のあるものは再石灰化促進効果あり |
| 天然存在 | 石灰岩・貝殻・卵殻など | 歯・骨に存在 |
歯磨き粉にハイドロキシアパタイトが配合されていても、「薬用」表示がないものは薬用成分として認められていません。 患者への説明でこの区別は重要です。 「ハイドロキシアパタイト配合」と「薬用ハイドロキシアパタイト配合」では意味が異なる、と覚えておけばOKです。 laketown-dental(https://www.laketown-dental.com/staffblog/1820/)
研磨剤の安全性を示す指標にRDA値(Relative Dentin Abrasivity)があります。 数値が低いほど歯に優しく、ADAが定めた上限は250です。 炭酸カルシウムのRDA値はこの上限を大幅に下回る低い値で、日常使いに適した穏やかな研磨剤に分類されます。 cinoll(https://www.cinoll.com/ja/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/%E6%AD%AF%E7%A3%A8%E3%81%8D%E7%B2%89%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A3%A8%E6%80%A7%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/)
一方で、研磨剤への不安を持つ患者も多く来院します。炭酸カルシウムを研磨剤に使った市販歯磨き粉を50年使い続けても、実際のエナメル質摩耗は問題になるレベルではなかったとの研究データもあります。 これは患者への説明で活用できる情報です。 ただし、前提として「強いブラッシング圧をかけない」「酸性飲料直後に磨かない」という条件を守ることが大切です。 kiratt(https://kiratt.jp/blog/toothpaste-abrasive/)
歯科医院で患者さんから「研磨剤入りは歯を削る?」と聞かれたとき、炭酸カルシウム配合製品については「RDA値が低く50年使っても問題ないレベル」というエビデンスを示すと、患者の不安軽減につながります。これは使えそうです。
参考:RDA値と各研磨剤の比較について詳しく記載されています。
RDA 歯磨き粉チャート: 研磨レベルと安全性のガイド | Cinoll
炭酸カルシウムCaCO₃は単なる研磨剤にとどまらず、歯科再生医療の分野でも注目されています。 特に近年の研究では、ホタテ貝殻由来のScallop-CaCO₃(S-CaCO₃)をキトサン添加アルギン酸ゲルと組み合わせた歯髄創傷被覆材(DDS基材)が開発されています。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23K09237/)
この素材の特徴は次の通りです。 kaken.nii.ac(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23K09237/)
また、CaCO₃と第二リン酸カルシウム(DCPA)を混合・熱処理することで炭酸アパタイトブロックを製造する研究もあります。 Ca/P比を1.67に調整し焼成すると、骨の主成分に近い組成が得られます。 これが骨補填材の研究基盤です。 dbarchive.biosciencedbc(https://dbarchive.biosciencedbc.jp/yokou/pdf/2009/200905463930106.pdf)
参考:炭酸アパタイト人工骨補填材の背景と臨床意義がまとめられています。
歯科従事者が「CaCO₃」を化学式として知っているだけでは、患者との信頼関係を築く説明には不十分なことがあります。 化学式の背景にある「なぜこの素材が使われるのか」を言語化できると、患者への説明の質が一段上がります。
たとえば「炭酸カルシウム配合研磨剤」という表記を患者が成分表示で見て不安を感じた場合、以下のような流れで説明できます。
「炭酸カルシウム=安全」と単純に伝えるより、CaCO₃という化学式の意味・由来・限界を伝えることで患者の理解と信頼が高まります。 フッ化物配合製品を扱う際は成分の組み合わせを意識する、これが原則です。
実際の患者説明では、研磨剤について詳しく記載された権威ある情報源を院内資料として活用するのも一手です。成分ごとのRDA値や研磨メカニズムを載せた資料は、歯磨き粉選択のカウンセリングで患者の納得度を高めます。
参考:炭酸カルシウムと歯磨き粉の研磨剤に関する患者向け・専門家向け情報が整理されています。
炭酸カルシウム配合歯磨き粉は歯を傷める?研磨剤の選び方と注意点 | nobu dental
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