ソセゴンの添付文書には「血圧低下」が記載されていますが、実際には「血圧上昇」も起こります。
ソセゴン(塩酸ペンタゾシン)の添付文書によると、循環器系副作用の発現頻度は血圧上昇が1~5%未満、血圧低下が1%未満とされています。これは決して低い数値ではありません。 medley(https://medley.life/medicines/prescription/1149401A1051/doc/)
注射剤の場合、1%未満の頻度で血圧上昇、血圧低下、皮膚潮紅、熱感が報告されており、錠剤では1%未満の頻度で熱感、顔面潮紅、動悸、血圧上昇、血圧低下、顔面蒼白が確認されています。つまり、投与経路にかかわらず血圧変動のリスクが存在するということですね。 hokuto(https://hokuto.app/medicine/wgydAUkLz6PTyJiHGIbs)
特に注意すべきは、これらの副作用が予測困難な点です。同じ患者でも投与量や投与速度、併用薬によって血圧の上昇と低下のどちらが起こるか変わる可能性があります。歯科臨床では局所麻酔薬に含まれるアドレナリンとの相互作用も考慮する必要があります。
このため、ソセゴン投与時には必ずバイタルサインのモニタリングを行い、血圧計を準備しておくことが基本です。 byoin.city.fuji.shizuoka(https://byoin.city.fuji.shizuoka.jp/bumon/kango/documents/ninteikangosidayori20230124.pdf)
ペンタゾシンは用量によって正反対の循環器作用を示す特異な薬剤です。どういうことでしょうか?
明海大学歯学部の研究によると、ペンタゾシン0.15mg/kg、0.3mg/kg、0.6mg/kgの3群全てで投与後に血圧低下と心拍数減少傾向が観察されましたが、統計学的に有意な変動ではありませんでした。一方、日本麻酔科学会の報告では、低用量では一過性の血圧上昇と心拍数増加が認められ、高用量で血圧低下と心拍数減少が認められると記載されています。 dent.meikai.ac(https://www.dent.meikai.ac.jp/media/library/new-journals/2012_V41/pp%2044-48.pdf)
この二相性の作用は、ペンタゾシンがκオピオイド受容体に作動し、μ受容体には拮抗的に作用する薬理学的特性に由来します。低用量では交感神経系が刺激され血管収縮と心拍数増加が起こり、高用量では中枢抑制作用が優位となり血圧低下が生じると考えられています。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/500693)
高用量投与時には心血管系への負荷が増大し、心拍出量や血管抵抗の変化が顕著になります。投与量の調整が症状管理の鍵となりますね。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/DrugInfoPdf/00067635.pdf)
心筋梗塞患者へのソセゴン投与は添付文書で明確に慎重投与または禁忌とされています。その理由は肺動脈圧及び血管抵抗を上昇させるためです。 carenet(https://www.carenet.com/drugs/category/antipyretics-and-analgesics-anti-inflammatory-agents/1149401A2023)
急性心筋梗塞では心筋の酸素需要と供給のバランスが崩れており、血管抵抗の上昇は心臓への負担をさらに増大させます。特に静脈内投与の場合、急性心筋梗塞患者の動脈圧上昇、血管抵抗を上昇させることが知られています。これにより心筋虚血が悪化し、梗塞範囲の拡大や不整脈、心不全のリスクが高まります。 hokuto(https://hokuto.app/medicine/wgydAUkLz6PTyJiHGIbs)
歯科治療で心筋梗塞の既往がある患者が来院した場合、問診で必ず発症時期と現在の治療状況を確認しましょう。急性期(発症後3ヶ月以内)の患者には原則として使用を避け、代替の鎮痛法を検討する必要があります。
慢性期であっても循環器専門医と連携し、血圧や心電図のモニタリング下での使用が原則です。
高血圧患者の歯科治療では、麻酔薬に含まれるアドレナリンによる血圧上昇が問題となりますが、ソセゴンの使用にも注意が必要です。厳しいところですね。
歯科用局所麻酔薬に含まれるアドレナリンは血管収縮作用により血圧を一時的に上昇させ、収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧110mmHg以上の場合は緊急処置以外の歯科治療は延期すべきとされています。この状態でソセゴンを併用すると、低用量投与時の血圧上昇作用が加わり、高血圧脳症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。 greendental(https://www.greendental.tokyo/blog/2398/)
一方、収縮期血圧160mmHg以下にコントロールされている患者では、ソセゴンの鎮痛効果が治療中のストレスや疼痛刺激を軽減し、結果として血圧上昇を抑制する効果も期待できます。つまり適切な血圧管理下であれば、むしろ有用な選択肢となりうるわけです。 greendental(https://www.greendental.tokyo/blog/2398/)
高血圧患者にソセゴンを使用する場合、治療前に必ず安静時血圧を測定し、降圧薬の服用状況を確認することが必須です。投与中は5分ごとの血圧測定を推奨します。 kogiso-dc(https://kogiso-dc.com/2024/05/11/%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%81%A8%E6%AD%AF%E7%A7%91%E6%B2%BB%E7%99%82/)
血管収縮薬を含まないメピバカイン塩酸塩への変更や、フェリプレシンを含むプロピトカインの使用も検討しましょう。 greendental(https://www.greendental.tokyo/blog/2398/)
歯科領域では激痛時の鎮静治療として、ソセゴン(ペンタゾシン)とセルシン(ジアゼパム)の併用が行われることがあります。局所麻酔剤の効果が不十分な急性炎症時に、患部に触れただけで激痛が走る場合の対処法です。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=k0l3liynJK0)
この併用療法では、精神安定剤で意識レベルを低下させつつ、強力な鎮痛剤を静脈注射することで、患者の苦痛を大幅に軽減できます。ただし、ペンタゾシンは注射後に悪心・嘔吐・めまいが発生することがあり、特に血圧の高い患者では血圧上昇のリスクがあるため、笑気ガスよりも慎重な管理が求められます。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=k0l3liynJK0)
ソセゴンには天井効果があり、ある程度以上の量を投与しても鎮痛効果に限界があります。術後数日経過しても患者がペンタゾシン静注を希望する場合、鎮静や呼吸抑制の副作用、薬物依存のリスクも考慮しなければなりません。これは使えそうです。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/500693)
モニタリングとしては、投与前後の血圧・心拍数・呼吸数・SpO2の測定が基本となります。血圧変動が大きい場合は投与を中止し、循環器系の補助療法を行う準備が必要です。救急薬品としてナロキソン(オピオイド拮抗薬)を常備しておくことも重要です。 image.packageinsert(https://image.packageinsert.jp/pdf.php?yjcode=1149401A1086)
PMDA添付文書(ソセゴン注射液)で最新の安全性情報を定期的に確認してください。
投与時の詳細な記録(投与量・時刻・バイタルサイン・副作用の有無)を診療録に残すことが、医療安全と法的責任の両面から必須です。