三次治癒を軽く見ていると、抜歯後の再手術で30万円以上の損失につながることがあります。
創傷治癒は一般に一次治癒(一次癒合)、二次治癒、三次治癒の3つに分類されます。 oralstudio(https://www.oralstudio.net/dictionary/detail/6133)
一次治癒は清潔な切開創などを縫合し、ほとんど肉芽形成を伴わず短期間で線状瘢痕として治癒する理想的なパターンです。 quint-j.co(https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/periodontology/23443)
二次治癒は組織欠損が大きい、あるいは創縁が接しない開放創で、肉芽形成と瘢痕収縮を経て時間をかけて閉鎖する経過をとります。 jsop.or(http://www.jsop.or.jp/atlas/dental-pulp-periodontal-diseases/healing-of-extraction-wound/)
これに対し三次治癒は、感染や汚染を伴う創を一定期間開放して清浄化を待ち、その後に縫合して一次治癒に近い結果を期待する「遅延一次縫合」と定義されます。 119ch.rgr(https://119ch.rgr.jp/igaku/contents/paper/48-gaisho/1074-57.html)
つまり遅延一次治癒ということですね。
歯科領域では、抜歯創や口腔外科手術部位などで二次治癒を前提に経過をみる場面が多く、三次治癒を明示的に意識しているケースは意外と多くありません。 oned(https://oned.jp/terminologies/095bb3d227c91d65c3cf5aff5b008dd8)
一方、形成外科領域では醜形瘢痕に対して再度切開・縫合を行い、結果として三次治癒に分類される症例も報告されています。 119ch.rgr(https://119ch.rgr.jp/igaku/contents/paper/48-gaisho/1074-57.html)
歯科の創傷治癒でも、感染を避けるためにあえて閉鎖を遅らせる、あるいは一度開放に切り替えてから再縫合する場面は少なくないはずです。 dentalhygienist(https://dentalhygienist.info/lecture/following-therapy/)
結論は、三次治癒は「感染リスクの高い創に対する戦略的な遅延一次縫合」と押さえるのが実務的です。
抜歯創の治癒は、一般に多量の肉芽組織が形成されるため、基本的には二次治癒の形態をとるとされています。 jsop.or(http://www.jsop.or.jp/atlas/dental-pulp-periodontal-diseases/healing-of-extraction-wound/)
病理組織学的には凝血期→肉芽組織期→仮骨期→治癒期の4期に分かれ、下顎大臼歯部では完全な骨性治癒に数ヶ月を要することも珍しくありません。 jsop.or(http://www.jsop.or.jp/atlas/dental-pulp-periodontal-diseases/healing-of-extraction-wound/)
つまり時間を買う戦略です。
同時に、多くの施設で「普通抜歯」に対しても術後経口抗菌薬が約7割の症例で平均3日間投与されており、そのうち第三世代セフェム系が8割以上を占めるというデータがあります。 kankyokansen(http://www.kankyokansen.org/journal/full/03305/033050207.pdf)
しかし、抗菌薬の有無でSSI発生率に大きな差がなかった報告もあり、漫然とした予防投与ではなく、創汚染や全身状態を踏まえた三次治癒の選択が合理的といえます。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630930.pdf)
抗菌薬だけ覚えておけばOKではありません。
歯周外科のフラップ手術後の治癒様式でも、創が清潔で縫合が安定していれば一次治癒に近い経過を取りますが、プラークコントロール不良や喫煙、糖尿病などで創汚染が懸念される症例では、閉鎖タイミングをずらし三次治癒を意識する方が合併症リスクを抑えられます。 dermatol.or(https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf)
つまり三次治癒の活用は、通院のトータル時間を最適化する手段にもなり得るということですね。
厚生労働省の歯科編手引きでは、歯科における経口抗菌薬使用量は医科全体の約10%とされていますが、その多くは抜歯後のSSI予防目的で投与されています。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630930.pdf)
一方で「普通抜歯」に対する実態調査では、対象14,747名のうち約7割で経口抗菌薬が平均3日間投与され、特に第三世代セフェム系の使用が8割超という結果でした。 kankyokansen(http://www.kankyokansen.org/journal/full/03305/033050207.pdf)
しかしSSI発生率自体は抗菌薬の有無で大きく変わらず、過剰投与の可能性が指摘されています。 kankyokansen(http://www.kankyokansen.org/journal/full/03305/033050207.pdf)
つまり抗菌薬に頼りすぎないことが基本です。
創傷被覆材や局所陰圧閉鎖処置材料も、期間と算定に明確な制限があります。皮膚欠損用創傷被覆材は通常2週間、最大3週間までの算定とされ、局所陰圧閉鎖処置は3週間が標準で4週間が限度とされています。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4902&dataType=1&pageNo=1)
さらに手術後切開創のSSIリスク低減目的で局所陰圧閉鎖を行った場合、その材料費は手術の所定点数に包括されるケースもあるため、使用期間や目的の記載が不十分だと持ち出しになるリスクがあります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4902&dataType=1&pageNo=1)
歯科口腔外科で顎骨露出や難治性創に局所陰圧を導入する場合、三次治癒を想定した治療期間と保険算定の枠をあらかじめ計画しておくことが重要です。 jsoms.or(https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2023/0217_1.pdf)
つまり請求設計にも影響するということですね。
創傷治癒ガイドラインでは、創傷治癒遅延の背景要因としてバイオフィルムの存在が強調され、早期からの積極的なデブリードマンと感染コントロールが推奨されています。 dermatol.or(https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf)
局所陰圧や高機能被覆材を用いる場面では、標準的な使用期間とコストを説明したうえで、何日間開放管理を行った後に縫合するのかを患者と共有しておくとトラブルを避けやすくなります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4902&dataType=1&pageNo=1)
費用の話は早めに出すのが原則です。
創傷外科学会のガイドラインでは、受傷後6〜8時間以内に十分な洗浄・デブリードマンが行われた創に対する一期的縫合(一次縫合)を強く推奨しています。 jsswc.or(https://www.jsswc.or.jp/volume.html)
ただし手指や刺創、易感染性の基礎疾患を持つ症例では一次縫合の適応は慎重に選ぶべきとされ、顔面は受傷後24時間以内なら積極的に縫合を考慮し得ると記載されています。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK06513/pageindices/index4.html)
歯科の抜歯や外傷処置でも、創の汚染度や受傷からの時間経過、全身状態を踏まえた縫合適応の判断が必要です。 jsswc.or(https://www.jsswc.or.jp/volume.html)
つまりガイドラインに沿った選択が条件です。
ところが、日常診療では「抜歯したら縫っておいた方が患者が安心する」という理由だけで一次縫合を選ぶ場面も少なくありません。
つまり最初の「なんとなく一次」が余計な再手術と通院を生むことになります。
また、顎骨壊死ポジションペーパーでは「骨露出が8週間以上持続する」ことが診断の一条件とされていますが、これは通常の抜歯創などの治癒経過を前提にした数字です。 jsoms.or(https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2023/0217_1.pdf)
抜歯やインプラント手術後に骨露出がだらだらと続く場合、MRONJだけでなく、そもそも創管理の段階で三次治癒へ切り替えるタイミングを逸していないかを振り返る必要があります。 jsoms.or(https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2023/0217_1.pdf)
ハイリスク薬剤投与患者では、創を閉じるか、あえて開放で管理するかの判断が将来の顎骨壊死リスクを左右する可能性があります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630930.pdf)
つまり「閉じる勇気」と「閉じない勇気」の両方が求められるということですね。
ここまで見てきたように、三次治癒は教科書的な概念にとどまらず、抜歯・歯周外科・インプラント周囲の感染創において日々の判断と直結しています。 oralstudio(https://www.oralstudio.net/dictionary/detail/6133)
しかし患者側から見れば、「一度で閉じてもらえなかった」「傷口が開いたままで不安」といった感情的な不満につながりやすいのも事実です。 cloverdentalclinic(https://www.cloverdentalclinic.com/column/dental-treatment-duration-by-case/)
そこで臨床現場では、三次治癒をあらかじめ治療計画と説明の中に組み込んでおくことが重要になります。
結論は、三次治癒を「例外的対応」ではなく「選択肢の一つ」として共有することです。
例えば下記のようなフローをチームで共有しておくと、判断と説明が標準化しやすくなります。
・術前評価
− 受傷・抜歯予定部位の汚染リスク、プラークコントロール、喫煙歴、糖尿病などをチェックします。 dentalhygienist(https://dentalhygienist.info/lecture/following-therapy/)
− 抗凝固薬や骨代謝関連薬の内服歴を確認し、顎骨壊死や出血遷延リスクを評価します。 jsoms.or(https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2023/0217_1.pdf)
・術中の判断
− デブリードマンと洗浄で「一次縫合してよい清潔度」まで持ち込めたかをチェックします。 jsswc.or(https://www.jsswc.or.jp/volume.html)
− 難しい場合、あえて開放創とし、数日間の感染コントロール後に再縫合する三次治癒を選択肢に入れます。 dermatol.or(https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf)
・術後フォロー
− 抗菌薬の追加投与だけで対処しないことがポイントです。 kankyokansen(http://www.kankyokansen.org/journal/full/03305/033050207.pdf)
このようなフローを、院内マニュアルやチェアサイドの説明書きに落とし込むことで、「閉じない」選択をした際も患者の納得感を高められます。 ginza-oralsurgery(https://ginza-oralsurgery.com/2025/09/13/%E6%8A%9C%E6%AD%AF%E5%BE%8C%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%80%81%E6%80%96%E3%81%84%E3%80%8C%E8%8F%8C%E8%A1%80%E7%97%87%E3%80%8D%E3%81%AB/)
つまり三次治癒を軸にした「抜歯後のロードマップ」を描くイメージです。
参考:三次治癒・創傷治癒の分類と歯科臨床での基本的な考え方を復習するには、歯科向けの創傷治癒解説ページが役立ちます。 oralstudio(https://www.oralstudio.net/dictionary/detail/6133)
三次創傷治癒を含む創傷治癒の定義と分類(OralStudio 歯科辞書)
参考:抜歯創の治癒過程や二次治癒の基本像を病理組織レベルで学び直すには、口腔病理の画像アトラスが有用です。 jsop.or(http://www.jsop.or.jp/atlas/dental-pulp-periodontal-diseases/healing-of-extraction-wound/)
抜歯創の治癒 | 口腔病理基本画像アトラス
参考:創傷一般の最新ガイドラインでは、創傷治癒遅延の要因やバイオフィルムへの対策が詳しく記載されており、歯科における三次治癒の判断にも応用できます。 dermatol.or(https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/sousyou2023.pdf)
創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(創傷一般)2023
参考:歯科における抗菌薬適正使用の手引きは、抜歯後SSIと抗菌薬投与のバランスを考えるうえで必読です。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630930.pdf)
抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編(厚生労働省)