レベリング段階を省略すると治療期間が延びる
レベリングとは、矯正治療における最初の重要なステージで、英語の「leveling(平らにする)」という言葉が由来です。歯科矯正では、ガタガタに並んだ歯の高さや向き、傾きを整えていく工程を指します。
この段階は矯正治療全体の中で「準備運動」とも呼ばれる基礎的な位置づけにあります。歯が捻れたり、回転したり、高さがバラバラだったりする状態では、その後の本格的な歯の移動が困難になるためです。レベリングを丁寧に行うことで、次のステージである犬歯移動や前歯移動がスムーズに進みます。
矯正治療は一般的に4つの段階で構成されます。レベリング(歯を並べる)、トルクコントロール(歯の傾きを調整する)、スペースクローズ(抜歯した隙間を閉じる)、ディテーリング(最終調整)という流れです。このうちレベリングは全体の土台となる最初のステップということですね。
治療期間は患者さんの歯並びの状態によって異なりますが、一般的には半年から1年程度かかります。ワイヤー矯正の全治療期間が2〜3年とされる中で、レベリングだけで約3分の1から半分の期間を占める計算です。見た目の変化は比較的早く実感できるため、患者さんのモチベーション維持にも重要な段階と言えます。
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レベリングでは、主に3つの調整を順番に行っていきます。
1つ目は歯の傾きや回転の修正です。
斜めに生えている歯や捻れて生えている歯を、正しい向きに整えていきます。特に回転している歯の修正は初期段階で行うことが重要で、これを省略すると治療期間が延長する可能性があるのです。
2つ目は隣接歯との位置関係の調整です。歯列からはみ出して内側や外側に生えている歯を、本来あるべき位置に移動させます。これにより歯列のアーチが整い、全体的な調和が生まれます。
3つ目は歯根位置の整備です。歯冠(歯の見える部分)だけでなく、歯根の位置も適切に配置することで、安定した咬合を実現します。この段階では「トルク」といって歯根に回転力が発生するように、ブラケットスロットいっぱいの太めの長方形のワイヤーを使用します。目に見える変化が少ないため患者さんには地味に感じられますが、治療の質を左右する重要なステップです。
具体的な歯の移動方法として、高い位置にある歯には「圧下(あっか)」という方法で歯を押し込みます。反対に低い位置にある歯は「挺出(ていしゅつ)」という方法で引き出します。圧下は骨の中に沈み込ませるように引っ込める動かし方で、上手に歯を沈み込ませるためには歯科医師の高い技術が求められるのです。
これらの調整を段階的に行うことで、次のステージでの歯の移動がスムーズになり、最終的な仕上がりの質が向上します。
つまり土台作りが重要ということですね。
レベリング期間中は、ワイヤーを段階的に交換していきます。最初は直径0.014インチ程度の細くて柔らかいニッケルチタン合金製のワイヤーから始まり、徐々に太く硬いワイヤーに変更していくのです。細いワイヤーは歯に優しい力をかけ、太いワイヤーはより強い矯正力を発揮します。
ワイヤーを交換する頻度は月に1回程度で、その都度調整のために通院が必要です。ワイヤーの太さを段階的に変えることで、歯を効率的に移動させながら、過度な負担を避けることができます。最終的にはステンレス製の最も太いワイヤーまで進みますが、これは治療の終盤での使用となります。
痛みについては、装置を初めて装着した日から1週間程度が最も辛い時期です。装置装着後3〜6時間で痛みを感じ始め、36時間ほどでピークに達します。2〜3日目が最も痛くなる場合が多く、その後は徐々に軽減していき、1週間程度でほぼ痛みは消失するのが一般的です。
痛みの原因は、歯が動く際に歯根膜という組織に炎症反応が起こるためです。この炎症反応を利用して歯を移動させるのが矯正治療の仕組みなので、ある程度の痛みは避けられません。ただし痛みの感じ方には個人差があり、全く痛みを感じない方もいれば、強い痛みを訴える方もいます。
痛みへの対処法として、市販の鎮痛剤(ロキソニンなど)の服用が効果的です。また、患部を冷やすことで炎症が抑えられ、痛みが引く可能性があります。食事では硬い食材を避け、おかゆやスープなど柔らかいものを選ぶとよいでしょう。矯正用ワックスを装置の尖った部分に塗ることで、口内炎の予防にもなります。
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レベリングで改善できる症例は、主に歯の高さのズレ、傾き、捻れ、位置異常などです。叢生(そうせい)と呼ばれる歯がガタガタに重なっている状態や、八重歯のように歯列から飛び出している歯、斜めに生えている歯などがこれに該当します。
具体的には、噛み合わせの面がデコボコしている場合、レベリングによって歯を1本1本移動させ、高さを揃えることができます。また、歯が生えてきた位置に異常がある場合も、レベリングで治すことが可能です。横の歯に当たるように斜めに生えている歯や、歯列よりも内側や外側に生えている歯も改善の対象となります。
一方、レベリングで改善しない症例もあります。最も代表的なのが歯と歯の隙間(すきっ歯)です。レベリングは上下の歯の高さのズレをなくすための処置なので、歯のすき間は改善しません。すき間の閉鎖は、レベリングの後のステージであるスペースクローズで対応することになります。
また、重度の骨格的な問題がある場合や、顎変形症など外科手術が必要なケースでは、レベリングだけでは根本的な解決にはなりません。こうした症例では、術前矯正としてレベリングを2年程度行った後、外科手術を併用することもあります。デンタルコンペンセーション(骨格的な問題を歯の位置で代償している状態)のレベリングは特に時間がかかるのです。
患者さんには治療開始前に、レベリングで何が改善でき、何が改善できないかを明確に説明することが重要です。期待値のコントロールが治療満足度を左右するということですね。レベリング終了後も治療は続くことを理解していただき、長期的な視点で治療に臨んでもらうことが成功の鍵となります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、レベリングのアプローチが根本的に異なります。ワイヤー矯正では明確なレベリング段階があり、約6〜12ヶ月かけて3つの調整を順番に行います。細いワイヤーから太いワイヤーへと段階的に交換することで、歯に優しい力をかけながら確実に移動させていくのです。
一方、マウスピース矯正にはレベリング段階がなく、一気に歯を動かす特徴があります。マウスピースは「押す」力が中心で、ワイヤーの「引く」力とは異なるメカニズムです。このため歯肉退縮や歯髄失活などの副作用リスクが若干高くなる可能性があります。
ワイヤー矯正の利点は、幅広い症例に対応できることです。特に歯を回転させる動きや歯を立てる動き、圧下など複雑な歯の移動が必要な場合は、ワイヤー矯正の方が優れた効果を発揮します。装置を付けっぱなしにするため常に矯正力が働いており、マウスピース矯正に比べて強い力で歯を動かすことができるのです。
マウスピース矯正の利点は、見た目が目立たず、取り外しができるため食事や歯磨きが快適なことです。また、マウスピース矯正は歯を押し下げる「圧下」と前歯を押し倒す「傾斜移動」が得意で、開咬(前歯が噛み合わない状態)などの症例には適しています。通院頻度も2〜3ヶ月に1回で済むことが多く、忙しい方には便利です。
しかし、マウスピース矯正では1日20〜22時間の装着が必要で、これを守らないと歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり効果が不十分になったりします。自己管理ができる患者さんでなければ成功しにくいという側面があるのです。
治療法の選択は、歯並びの状態だけでなく、ライフスタイルや患者さんの希望、自己管理能力なども考慮して決定すべきです。複雑な歯列不正があり確実な効果を求める場合はワイヤー矯正、軽度から中等度の不正で見た目を重視する場合はマウスピース矯正が適していると言えます。
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