高強度レジンブリッジで神経を2本取る必要があります。
硬質レジン前装冠は金属フレームの表面に白いプラスチック樹脂を張り付けた構造の被せ物です。保険適用されるのは前歯領域、具体的には左右の犬歯間(中切歯・側切歯・犬歯)の6本に限定されています。この範囲なら3割負担の患者で約5,000円から8,000円程度の自己負担となります。
奥歯への適用は原則として保険外診療です。つまり小臼歯や大臼歯に硬質レジン前装冠を装着する場合は自費扱いになります。
患者が「前歯だけ」と思い込んでいても、実際には犬歯までが範囲という点を明確に説明しておくことが重要です。第一小臼歯を「前歯みたいなもの」と誤解している患者は意外と多く、治療前の確認不足がトラブルの元になります。
診療時には部位を鏡で見せながら、どこまでが保険適用範囲なのかを視覚的に示すと伝わりやすいです。スマートフォンで口腔内写真を撮影し、画面上で適用範囲を指し示す方法も効果的です。患者の理解度を確認する際は「今日治療する歯は保険でできる範囲ですか?」と逆質問してもらう形式にすると、認識のズレを防げます。
硬質レジンジャケット冠は金属を一切使用せず、全体がレジンで作られた被せ物です。保険適用されるのは前歯から第二小臼歯(5番)までで、第一大臼歯(6番)以降の大臼歯には使用できません。
つまり1番から5番までが対象です。
費用は3割負担で約3,000円から5,000円と、硬質レジン前装冠よりも安価です。金属を使わないため金属アレルギーのリスクがない点は大きなメリットですが、強度面で劣るため咬合力の強い大臼歯には不向きとされています。
大臼歯に適用できない理由は明確です。奥歯には体重に匹敵する咬合力がかかることがあり、レジンのみの構造では破折リスクが高すぎるのです。
患者から「奥歯も白くしたい」と要望があった場合、ジャケット冠は使えないことを伝えた上で、CAD/CAM冠やPEEK冠といった保険適用の代替案を提示すると良いでしょう。2024年6月の改定により、条件付きで第二大臼歯(7番)までCAD/CAM冠が使えるようになったため、選択肢は以前より広がっています。
この2つは名前が似ていますが、構造と適用範囲が大きく異なります。前装冠は金属フレームがあり前面のみレジン、ジャケット冠は全体がレジンです。
前装冠の利点は金属の裏打ちによる強度です。前歯の咬合圧にも十分耐えられ、破折リスクが低いのが特徴です。一方で金属を使用するため、歯茎が黒ずむメタルタトゥーのリスクや金属アレルギーの可能性があります。裏側から見ると金属が透けて見えることも審美的なデメリットです。
ジャケット冠は金属フリーで審美性に優れます。歯茎の黒ずみが起きず、透明感のある仕上がりが得られます。ただし強度が低く、特に咬合面への使用は慎重な判断が必要です。
使い分けの基本は明確です。前歯で咬合圧が強い患者や歯ぎしりの癖がある場合は前装冠、金属アレルギーがあり小臼歯までの範囲なら適応ならジャケット冠を選択します。
患者への説明時には「金属の有無」と「適用できる歯の位置」の2点をセットで伝えることが重要です。「前歯なら両方選べますが、金属アレルギーがある場合はジャケット冠が安心です」といった具体的な案内が患者の理解を深めます。医院の同意書に構造の違いを図解しておくと、後のトラブル防止にもなります。
2018年4月から保険適用となった高強度硬質レジンブリッジですが、適用条件は極めて厳格です。多くの歯科医療従事者が見落としがちなのが「ブリッジの土台となる前後2本とも神経がないこと」という原則です。
つまり失活歯同士を土台にする必要があります。
これが何を意味するか、具体的に見てみましょう。第二小臼歯(5番)欠損で4-5-6のブリッジを作る場合、4番と6番の両方が失活歯でなければなりません。どちらかの歯に神経が残っている場合、保険適用するには抜髄が必要になります。健全な歯の神経を意図的に除去することになるため、患者への説明と同意取得が極めて重要です。
他の条件も厳しいです。上下左右すべての第二大臼歯(7番)が4本残存していること、歯ぎしりや強い咬合力がないこと、ブリッジは3本連結のみ(4-5-6または5-6-7)という制限があります。
金属アレルギー患者には条件緩和があります。医科の診断書があれば7番の残存条件が不要になり、5番または6番のいずれか1本の欠損に対応可能です。この緩和条件を知らない歯科医療従事者も少なくないため、金属アレルギー患者の来院時には必ず確認しましょう。
診療時のチェックリストを作成し、受付段階で条件を満たすかスクリーニングする仕組みを作ると効率的です。条件を満たさない場合の代替案(従来型ブリッジやインプラント)も事前に準備しておくと、患者への説明がスムーズになります。
高強度レジンブリッジの詳細な適用条件と症例写真を確認できる参考記事
硬質レジンは経年劣化が避けられない素材です。変色は早ければ2~3年で始まり、被せ物としての寿命は7~9年程度とされています。コンポジットレジン充填の場合はさらに短く、2~3年で交換が必要になるケースも珍しくありません。
変色の主な原因は素材の吸水性です。レジンには無数の微細な孔があり、唾液や食品の色素を吸収します。コーヒー、紅茶、カレー、ワインなどの色の濃い飲食物を日常的に摂取する患者ほど変色が早く進行します。喫煙者はさらに顕著で、タールによる着色が加わるため1~2年で明らかな変色が見られることもあります。
耐久性を左右するのは咬合力です。歯ぎしりや食いしばりの癖がある患者では、レジン部分の摩耗や剥離が早期に起こります。破折や欠けが生じると二次齲蝕のリスクも高まります。
患者への事前説明では、具体的な数字を示すことが重要です。「この白い歯は2~3年で色が変わり始め、7~9年くらいで交換が必要になります」と明確に伝えます。「永久ではない」という認識を持ってもらうことで、後の再治療時の患者満足度が変わります。
定期メンテナンスの重要性を強調する際は、変色と二次齲蝕のリスクをセットで説明すると効果的です。「3~6ヶ月ごとにチェックすれば、色が変わる前に対処できますし、隙間から虫歯になるのも防げます」といった具体的なメリットを伝えましょう。メンテナンス案内のハガキやメールに、レジン治療後の経過年数を記載しておくと、患者自身が交換時期を意識しやすくなります。
硬質レジン以外の保険適用白い歯として、CAD/CAM冠とPEEK冠の存在を押さえておく必要があります。2024年6月の診療報酬改定により、これらの適用範囲はさらに拡大しました。
CAD/CAM冠はレジンとセラミックの混合材料で、コンピュータ制御により削り出して製作します。前歯・小臼歯は無条件で保険適用、大臼歯は条件付きで第二大臼歯(7番)まで使用可能です。条件とは、上下顎両側の7番が全て残存していること、または金属アレルギーの診断書があることです。費用は3割負担で約6,500円から10,000円程度です。
PEEK冠は2023年12月から保険適用となった新素材で、ポリエーテルエーテルケトンという高強度プラスチックを使用します。CAD/CAM冠よりも強度が高く破折しにくい特性があり、第一大臼歯から第三大臼歯(6番~8番)まで適用できます。審美性ではCAD/CAM冠に劣りますが、咬合力の強い患者や歯ぎしりがある場合に有効な選択肢です。
患者が「奥歯も白くしたい」と希望した場合の説明の流れはこうです。まず硬質レジンでは対応できないことを伝え、次にCAD/CAM冠とPEEK冠の2つの選択肢を提示します。見た目重視ならCAD/CAM冠、強度重視ならPEEK冠と案内し、患者のライフスタイル(硬いものをよく噛む、歯ぎしりがあるなど)を踏まえて推奨します。
診療報酬改定は頻繁に行われるため、最新の適用条件を常にアップデートしておくことが重要です。院内勉強会で定期的に確認する、または厚生労働省の通知をチェックする習慣をつけましょう。受付スタッフも含めて情報共有しておくと、電話問い合わせの段階で適切な案内ができます。
硬質レジン治療の保険適用時の費用は、種類と部位によって異なります。患者負担(3割負担の場合)の目安を整理しておきましょう。
硬質レジン前装冠は1本あたり約5,000円から8,000円です。これは型取りから装着までの一連の技工料を含んだ金額で、レントゲン撮影や初診料は別途かかります。硬質レジンジャケット冠は約3,000円から5,000円と前装冠より安価です。コンポジットレジン充填はさらに安く、小さな齲窩なら1,000円から2,000円程度で済みます。
高強度硬質レジンブリッジは3本連結で約20,000円から30,000円程度です。単純計算で1本あたり7,000円から10,000円となり、従来の金属ブリッジと同等の費用で白い歯が手に入る計算です。
これらの金額はあくまで補綴物本体の費用です。実際の患者負担額には、診察料、レントゲン撮影、歯周病検査、クリーニング、麻酔、支台築造などが加算されます。初診から装着完了までトータルで考えると、前装冠1本で総額15,000円から25,000円程度になることが一般的です。
患者へ費用を説明する際は、総額の目安を先に伝えるのが親切です。「被せ物自体は5,000円くらいですが、型取りや仮歯、他の検査も含めると全部で2万円前後になります」と具体的に示すと、患者は予算を立てやすくなります。
見積書を作成する際は、保険適用の項目と自費の項目を明確に分けて記載します。患者が「保険なのになぜこんなに高いのか」と疑問を持つのは、内訳がわからないからです。
透明性のある説明が信頼関係を築きます。
クレジットカード払いや分割払いの対応可否も事前に案内しておくと、患者の不安を軽減できます。
金属アレルギーを持つ患者には、硬質レジンの保険適用範囲が大きく広がります。通常は適用外の部位でも、医科の診断書があれば保険診療が可能になるケースがあるのです。
具体的には、CAD/CAM冠の大臼歯への適用条件が緩和されます。通常は7番が4本残存していることが条件ですが、金属アレルギー患者ならこの条件が不要になります。つまり6番や7番が欠損していても、残っている大臼歯にCAD/CAM冠を装着できるのです。
高強度硬質レジンブリッジも同様です。通常は5番欠損の4-5-6ブリッジに限定されますが、金属アレルギー患者なら5番または6番のいずれかの欠損に対応でき、しかも7番の残存条件も不要になります。
診断書は皮膚科やアレルギー科などの医科で発行してもらいます。保険適用を受けるには、この診断書を歯科医院に提出する必要があります。歯科医院側は診断書のコピーをカルテに添付し、保険請求時に算定根拠として保管します。
患者から「金属アレルギーがある」と申告があった場合、まず診断書の有無を確認しましょう。持っていない場合は、医科受診を勧め、診断書を取得してから治療計画を立てるのが理想的です。「診断書があれば保険で白い歯ができる範囲が広がります」と具体的なメリットを伝えると、患者は医科受診の動機付けになります。
院内での対応フローを整備しておくことも重要です。受付で金属アレルギーの有無を問診票に記載する項目を作る、診断書のコピーを取るタイミングを明確にする、レセプト請求時のチェック項目に入れるなど、組織的な体制を作りましょう。スタッフ全員が対応できるようマニュアル化しておくと、担当者不在時でも適切に処理できます。
硬質レジンの保険適用について患者に説明する際、トラブルを防ぐために押さえるべきポイントがあります。
まず「保険でできる白い歯」という言葉だけを強調しすぎないことです。患者は「保険=すべての歯に使える」と誤解しがちです。必ず「前歯だけ」「5番まで」といった部位の限定を最初に伝えましょう。
次に耐久性と変色の話は必須です。「白い歯は一生持つ」と思っている患者は意外と多く、2~3年で変色が始まることを知らせないと後でクレームになります。「セラミックと違ってプラスチックなので、数年で色が変わってきます」と素材の特性から説明すると理解されやすいです。
自費診療との違いも明確にします。保険適用の硬質レジンと自費のセラミックを比較し、費用・耐久性・審美性の違いを表やパンフレットで示すと良いでしょう。患者が「保険でも十分」と納得して選ぶのと、「自費は高いから仕方なく保険」と選ぶのでは、後の満足度が大きく変わります。
選択肢を複数示すことも重要です。硬質レジン前装冠しか案内しないのではなく、CAD/CAM冠、PEEK冠、自費のセラミックなど、すべての選択肢を並べて提示します。それぞれのメリット・デメリット・費用を比較表にして渡すと、患者は自分に合った治療を選びやすくなります。
説明後は必ず同意書を取得しましょう。同意書には治療内容、使用する材料、費用、耐久性、変色の可能性、定期メンテナンスの必要性などを記載し、患者のサインをもらいます。口頭説明だけでは「聞いていない」「知らなかった」というトラブルが起きやすいですが、書面で残しておけば証拠になります。
患者が高齢の場合や理解が難しそうな場合は、ご家族同席での説明を勧めます。「大事な話なのでご家族と一緒に聞いていただけますか」と提案すると、多くの患者は応じてくれます。複数人で聞くことで理解度が上がり、後のトラブル防止にもつながります。院内に説明用の動画やアニメーションを用意しておくと、視覚的に理解を助けることができます。