保険適用で約50万円と思いきや高額医療費制度でさらに安くなります。
上下顎移動術は、上顎と下顎の両方を同時に外科的に移動させることで、骨格性の咬合異常を根本的に改善する手術です。骨格的な不調和が著しく、矯正治療単独では十分な改善が見込めない顎変形症に対して適用されます。
この手術は、上顎に対するルフォーI型骨切り術と、下顎に対する下顎枝矢状分割術(SSRO)または下顎枝垂直骨切り術(IVRO)を組み合わせて実施されることが一般的です。
つまり両顎手術ということですね。
適応となる主な症例は以下の通りです。
• 重度の骨格性下顎前突症:上顎骨の劣成長と下顎骨の過成長が同時に存在する受け口の症例
• 重度の骨格性上顎前突症:上顎骨の過成長と下顎骨の劣成長による出っ歯の症例
• 上下顎骨の非対称性:顔面の左右非対称が著しい症例
• 開咬症:前歯部で咬合できない状態で垂直的な不調和が大きい症例
診断には、セファロ分析による頭部X線規格写真の評価、CT検査による三次元的な骨格評価、咬合状態の精査が必要です。矯正歯科医が精密検査を行い、矯正治療単独では改善困難であることを確認した上で、総合的に顎変形症と診断されます。
保険適用を受けるためには、厚生労働省が定める「顎口腔機能診断施設」での診断が必須条件です。この基準を満たす施設は、大学病院や一部の総合病院に限られています。
日本口腔外科学会の顎変形症診療ガイドライン(診断基準の詳細)
上下顎同時移動術の手術時間は、症例の複雑さや術式によって異なりますが、平均で4〜6時間程度かかります。下顎単独の手術が2〜3時間で完了するのに対し、上顎も同時に行う場合は倍近い時間を要することになります。
手術は全身麻酔下で実施され、口腔外科医と麻酔科医、看護師がチームを組んで対応します。手術中は顎間固定用のスプリントを装着し、予定通りに骨が移動したかを確認しながら進められます。
入院期間は施設によって差がありますが、一般的に10日〜15日程度が標準です。早い施設では下顎単独で術後7日、上下顎同時で術後12日には退院可能となっていますが、多くの施設では2週間前後の入院を想定しています。
手術翌日から数日間は集中的な観察が必要なため、ICUまたは個室での管理となることもあります。術後2〜4日目が腫れのピークとなり、その後徐々に回復していきます。
退院後も、術後1〜2週間は自宅での安静が推奨されます。仕事復帰のタイミングは職種によって異なりますが、事務職で術後2週間程度、体力を使う仕事や声を使う専門職では術後3週間〜1ヶ月程度が目安です。
入院中の主な経過は以下の通りです。
• 手術当日:全身麻酔からの覚醒、バイタルチェック、絶飲食
• 術後1〜2日:流動食開始、痛みのコントロール、腫れがピークに向かう
• 術後3〜5日:徐々に食事形態の変更、リハビリ開始
• 術後7〜10日:創部の治癒確認、退院準備
• 退院時:口腔衛生指導、食事指導、顎間ゴムのかけ方指導
早期退院が可能なのは、術中の出血量を抑える技術や術後管理の向上によるものです。術中出血量が少ないと術後の回復も早く、入院期間の短縮につながります。
顎変形症と診断された場合、上下顎移動術は健康保険の適用対象となります。保険適用により、3割負担での自己負担額は総額25〜50万円程度に抑えられるのが一般的です。
費用の内訳は、術前矯正治療に約20〜30万円、入院・手術費用に20〜40万円、術後矯正治療に約10〜20万円となっています。上下顎同時移動術の場合、下顎単独の手術よりも10〜20万円程度高くなる傾向があります。
さらに、高額医療費制度を利用することで、月の自己負担額の上限が設定されます。所得に応じて異なりますが、一般的な所得区分では月額8〜9万円程度が上限となるため、実際の負担はさらに軽減されることがあります。
これが基本です。
保険適用を受けるための条件は以下の通りです。
• 厚生労働省が認定する「顎口腔機能診断施設」での診断を受けること
• 外科手術が必要であると診断されること
• 術前矯正→手術→術後矯正という順序で治療を行うこと
一方、サージェリーファーストアプローチ(術前矯正を行わずに手術を先に行う方法)は保険適用外となるため、外科手術を含めて全体で200万円以上かかる場合があります。早く顔貌を改善したいという患者のニーズには応えられますが、費用面での負担が大きくなる点に注意が必要です。
矯正歯科医会の顎矯正手術を併用する矯正歯科治療の実際(費用の詳細)
医療費控除の対象にもなるため、確定申告時に適切な手続きを行うことで、所得税の還付を受けることも可能です。年間の医療費が10万円を超えた場合、その超過分について所得控除が受けられます。
上下顎移動術は、上顎に対する「ルフォーI型骨切り術」と下顎に対する「SSRO(下顎枝矢状分割術)」を組み合わせた手術です。それぞれの術式には明確な違いと役割があります。
ルフォーI型骨切り術は、上顎骨を水平に切り離して前後・上下・左右に移動させる手術です。鼻の横あたりの高さで骨を切り、上の歯と骨を一体として理想的な位置に移動させます。出っ歯やガミースマイル(笑ったときに歯茎が大きく見える状態)の改善に有効です。
SSRO(下顎枝矢状分割術)は、下顎枝を矢状方向に分割して下顎全体を前後に移動させる手術です。受け口(下顎前突)の改善や、下顎後退症での前方移動に用いられます。骨を分割した後、チタンプレートやスクリューで固定するのが一般的です。
両者の決定的な違いをまとめると以下の通りです。
| 項目 | ルフォーI型骨切り術 | SSRO |
|------|-------------------|------|
| 対象部位 | 上顎骨 | 下顎骨 |
| 適応症例 | 上顎前突、ガミースマイル、上顎劣成長 | 下顎前突、下顎後退 |
| 移動方向 | 前後・上下・左右の三次元的移動 | 主に前後方向の移動 |
| 手術時間 | 2〜3時間(単独の場合) | 2〜3時間(単独の場合) |
| 術後の影響 | 鼻の形状が変化する可能性 | 下唇の知覚異常のリスク |
上下顎同時移動術では、これら両方の術式を組み合わせることで、上下の顎のバランスを総合的に整えることができます。下顎だけを大きく移動させるよりも、上下で分担して移動させることで、各顎の移動量を減じることができ、術後の安定性が高まるというメリットがあります。
骨の固定には、チタンプレートや吸収性プレートが使用されます。チタンプレートは強度に優れますが、術後1年以上経過してから除去手術が必要になる場合があります。一方、吸収性プレートは体内で数年かけて分解・吸収されるため、除去手術が不要です。ただし、チタンプレートと比較すると強度がやや劣るため、症例によって使い分けられます。
通常の顎変形症治療では、手術前に1〜2年の術前矯正を行います。これは手術後の咬合を安定させるための重要なステップですが、患者にとっては見た目が一時的にさらに悪化するという大きなデメリットがあります。
術前矯正の目的は、上下の歯列をそれぞれ整え、手術で顎を移動させたときに適切に咬合できるよう準備することです。受け口の症例では、下の前歯をさらに前方に移動させるため、手術直前が最も見た目が悪い状態になります。出っ歯の症例では逆に、上の歯をさらに前に出すことになります。
この問題を解決するアプローチとして、サージェリーファーストが注目されています。サージェリーファーストとは、術前矯正を行わずに、まず手術で顎の位置を理想的な状態に整復してから、矯正治療を開始する方法です。
サージェリーファーストの主なメリットは以下の通りです。
• 治療期間の大幅な短縮:術前矯正期間1〜2年が不要になるため、全体の治療期間が短くなる
• 早期の顔貌改善:手術後すぐに外見のコンプレックスが解消される
• 心理的負担の軽減:一時的に見た目が悪化する期間がない
ただし、サージェリーファーストには注意点もあります。最大の問題は、保険適用外となるため、全額自費診療になることです。外科手術を含めた総額で200万円以上かかる場合もあり、経済的な負担が大きくなります。
また、術後の咬合安定性については、従来の術前矯正を行う方法と比較して長期的な研究データがまだ十分ではありません。後戻りのリスクや、術後矯正の難易度が高くなる可能性も指摘されています。
どちらを選択するかは、患者の経済状況、治療期間への希望、心理的な負担の大きさなどを総合的に考慮して決定する必要があります。保険適用を優先するなら従来の方法、費用負担が可能で早期の改善を希望するならサージェリーファーストという選択になります。
上下顎移動術後の最大の課題の一つが、後戻りの防止です。手術で移動させた顎の位置や、矯正で整えた歯並びは、適切な保定を行わなければ元の状態に戻ろうとする力が働きます。
術後矯正が終了した後は、通常1年半〜2年程度の保定期間が必要です。この期間中はリテーナー(保定装置)を装着し、治療結果を維持します。保定初期は1日20時間程度の装着が推奨され、徐々に装着時間を減らしていきます。
後戻りが起こる主な原因は以下の通りです。
• 保定装置の装着不良:指示通りにリテーナーを使用しないケース
• 保定期間の不足:自己判断で早期に保定を中止してしまうケース
• 筋機能の影響:舌癖や口唇の習癖が残存しているケース
• 成長変化:若年者では術後も成長が続く場合がある
特に上下顎移動術の場合、骨自体を移動させているため、歯列矯正単独の場合よりも後戻りのリスクは低いとされています。しかし、歯の位置については矯正治療と同様に後戻りの可能性があるため、保定は必須です。
骨の固定に使用したチタンプレートは、術後1〜2年経過してから除去することが一般的です。プレート除去手術は2泊3日程度の入院で行われ、局所的な腫れや痛みが1〜2週間続くことがあります。
吸収性プレートを使用した場合は、除去手術が不要です。体内で数年かけて徐々に分解・吸収されていくため、患者の負担が軽減されます。ただし、完全に吸収されるまでの間、まれに感染や異物反応を起こすリスクがあります。
術後の定期的な経過観察も重要です。矯正歯科医と口腔外科医が連携して、咬合状態、顎の位置、顔貌の変化を継続的にチェックします。3〜6ヶ月ごとのSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)に移行し、長期的な安定を図ります。
後戻りが生じた場合、軽度であれば再度のリテーナー装着や部分的な矯正で対応できることもあります。しかし、重度の後戻りでは再手術が必要になるケースもあるため、保定期間中の管理を怠らないことが何より重要です。
保定装置は2〜4年で作り直しや修理が必要になることも覚えておきましょう。理想的には、保定期間終了後も就寝時のみのリテーナー装着を継続することで、一生涯にわたって美しい歯並びと咬合を維持することができます。
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