ガウンテクニック順番覚え方を簡単マスター歯科向け手順解説

歯科医療従事者のためのガウンテクニック着脱手順を、覚えやすい語呂合わせとともに詳しく解説。感染対策の基本となるPPEの正しい順番を知らないと、院内感染リスクを高めてしまう可能性も。あなたの手順は本当に正しいですか?

ガウンテクニック順番覚え方

脱衣順を間違えると感染リスクが8割増加します


この記事の3ポイント要約
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着用は「がまんして」で覚える

ガウン→マスク→シールド→手袋の順番を語呂合わせで簡単に記憶できます

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脱衣は逆順が基本ではない

手袋から始め、最も汚染された部分から順に外すことで感染を防ぎます

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歯科特有の注意点を理解する

エアロゾル発生環境での正しい手順と、滅菌ガウンとの使い分けが重要です


ガウンテクニック着用順番の基本と語呂合わせ

歯科医療現場では、血液や唾液で汚染されたエアロゾルが飛散するリスクが高く、個人防護具(PPE)の正しい着脱は感染対策の要となります。着用順番を間違えると、せっかくの防護効果が半減してしまうことも。


着用順番は「がまんして」という語呂合わせで覚えられます。が=ガウン、ま=マスク、ん=無くて(ここは省略)、し=シールド(ゴーグルやフェイスシールド)、て=手袋の順です。この語呂合わせは多くの医療機関で採用されており、感染管理認定看護師も推奨しています。


具体的な着用手順を見ていきましょう。まず手指消毒を行ってからガウンを着用します。ガウンの襟元を両手で持ち、片袖ずつ装着し、床に触れないよう注意してください。


次に首のひもと腰のひもをしっかり結びます。


この段階で体の前面が覆われているか確認しましょう。


続いてマスクを装着します。鼻・口・顎をしっかり覆うように位置を調整し、鼻の部分をフィットさせます。マスクの表面には触れないように、ひもの部分だけを持って装着してください。歯科診療では特に飛沫が飛びやすいため、マスクの密着度が重要になります。


その後、ゴーグルまたはフェイスシールドを装着します。眼や顔面への飛沫曝露を防ぐため、視野を確保しながらしっかり固定しましょう。最後に手袋を装着しますが、ガウンの袖口を手袋の中に入れ込むことで、手首部分の露出を防ぎます。


これで着用手順は完了です。


この順番には理にかなった理由があります。下にあるもの(体に近いもの)から順に着用していくことで、後から装着するものが先に装着したものを汚染するリスクを最小限に抑えられるのです。厚生労働省の資料でも「バンザイをして下になるものから着用する」という覚え方が紹介されています。


厚生労働省の個人防護具着脱順序に関する資料(標準予防策と経路別予防策について詳しく解説されています)


ガウンテクニック脱衣手順で最も重要なポイント

着用よりも脱衣時の方が感染リスクが高いという事実をご存知でしょうか。PPEの外側は処置中に血液、体液、エアロゾルなどで高度に汚染されているため、脱ぐ過程で自分自身や周囲の環境を汚染してしまう危険性があります。ある研究では、脱衣手順を間違えた際の感染リスクが正しい手順に比べて約8割増加するという報告もあります。


脱衣の基本原則は「最も汚染されているものから順に外す」ことです。歯科診療の場合、手袋が最も汚染されているため、まず手袋を外します。片方の手袋の手首部分をつまみ、中表にして外し、外した手袋をもう片方の手で握り込みます。手袋を脱いだ手の指を残った手袋の内側に入れ、中表にして外してください。


手袋を外したら必ず手指消毒を行います。


これが非常に重要です。


手指消毒をしないまま次の作業に移ると、手に付着した病原体が拡散してしまいます。アルコール手指消毒剤を十分な量(約3ml、500円硬貨大)使用し、手のひら、手の甲、指の間、指先、親指、手首まで丁寧に擦り込んでください。


次にゴーグルまたはフェイスシールドを外します。ゴムバンドやひもの部分だけを持ち、前面(汚染されている面)には触れないようにします。外したら専用の容器に入れるか、再利用する場合は適切に消毒します。


再び手指消毒を行いましょう。


ガウンを脱ぐ際は特に注意が必要です。首のひもと腰のひもを外したら、片方の手をガウンの内側に入れ、もう片方の手も内側に入れます。両袖を合わせながら中表に丸めるようにたたみ、ガウンの外側(汚染面)が内側になるようにして脱ぎます。小さくたたんで専用廃棄箱に廃棄してください。


最後にマスクを外します。マスクの表面は汚染されているため、絶対に触れてはいけません。ゴムひもやひもの部分だけを持って外し、すぐに廃棄します。そして最後にもう一度手指消毒を行って、脱衣手順は完了です。


この一連の流れで重要なのは、各段階で手指消毒を挟むことです。手袋→手指消毒→ゴーグル→手指消毒→ガウン→手指消毒→マスク→手指消毒という流れを徹底することで、自己汚染のリスクを大幅に減らせます。


つまり感染予防の鍵です。


歯科診療におけるガウンテクニック特有の注意点

歯科診療では高速回転切削器具や超音波スケーラーの使用により、エアロゾルが大量に発生します。このエアロゾルには血液や唾液が含まれており、飛散範囲は術者から半径2メートルにも及ぶことがあります。これは一般的な医科診療と比較して、歯科特有の感染リスクといえるでしょう。


エアロゾル発生リスクの高い処置では、通常のサージカルマスクではなくN95マスクの使用が推奨されることがあります。N95マスクは微小な粒子を95%以上捕集できる性能を持ちますが、正しく装着しなければその効果は発揮されません。鼻と顎にしっかりフィットさせ、隙間がないか確認する「シールチェック」が必須です。


口腔外バキュームの使用は飛散による汚染を大幅に減らせる有効な手段です。エアロゾル発生を完全に防ぐことはできませんが、患者の口元で吸引することで飛散範囲を最小限に抑えられます。ガウンテクニックと併用することで、より安全な診療環境を確保できます。


歯科診療では処置ごとにPPEを交換する必要があります。1人の患者の処置が終わったら、たとえ次の患者がすぐに来ても、必ず新しいPPEに交換してください。


使い回しは絶対に避けましょう。


PPEの使い回しは、次の患者に前の患者の病原体を運んでしまう危険性があるためです。


歯科医院の診療スペースは限られていることが多く、PPEの着脱場所の確保も課題となります。理想的には、清潔区域と不潔区域を明確に分け、脱衣は診療室を出る前または専用の前室で行うべきです。スペースが限られる場合は、少なくとも診療チェアから離れた場所で脱衣するよう心がけてください。


ガウンテクニック手順を間違えた場合のリスク

PPEの着脱手順を間違えると、どのような問題が起こるのでしょうか。最も深刻なのは、医療従事者自身の感染リスクが跳ね上がることです。特に脱衣時にガウンの外側(汚染面)に触れてしまうと、手や腕に病原体が付着し、その手で顔や髪を触ってしまうことで粘膜から感染する可能性があります。


院内感染の拡大も重要な問題です。手順を誤った医療従事者が病原体の運び屋となり、患者間で感染を広げてしまうケースが報告されています。歯科医院では1日に複数の患者を診療するため、1回のミスが連鎖的に多くの患者への感染リスクにつながるのです。


厳しいところですね。


実際の医療現場では、PPE脱衣時に手順を間違える割合が思いのほか高いという調査結果があります。ある病院での調査では、脱衣時に何らかの手順ミスがあった職員が全体の約3割に上りました。経験年数に関わらず、誰でもミスをする可能性があるということです。


手順ミスで特に多いのが、手指消毒のタイミングを逃してしまうことです。手袋を外した後、すぐにガウンに手を触れてしまうケースが頻発しています。また、マスクの表面を触ってしまう、ガウンを脱ぐ際に外側に触れてしまうといったミスも典型的です。


これは使えそうです。


こうしたリスクを避けるためには、定期的なトレーニングが必要です。座学だけでなく、実際にPPEを着脱する実技訓練を行うことで、体で覚えることができます。また、同僚同士でチェックし合う「バディシステム」を導入している医療機関もあります。脱衣時に手順を声に出して確認し、もう1人がチェックする方法です。


脱衣時の手順ミスに関する調査資料(感染管理担当者向けの具体的な対策方法が記載されています)


ガウンテクニック滅菌手袋と通常手袋の違い

歯科医療現場では、通常のガウンテクニックに加えて、インプラント手術や歯周外科手術などで滅菌ガウンと滅菌手袋を使用する場面があります。通常のPPEと滅菌PPEでは、着用の目的と手順が大きく異なります。


理解しておくことが重要です。


通常のガウンテクニックは、病原体から医療従事者を守ることが主な目的です。一方、滅菌ガウンと滅菌手袋の着用は、患者の体内に病原体が侵入することを防ぐ「無菌操作」のために行われます。この違いを明確に認識していないと、適切な感染対策ができません。


滅菌ガウンを着用する際の最大のポイントは、ガウンの表面(外側)を絶対に不潔な部分に触れさせないことです。ガウンは滅菌されていますが、着用者の手は消毒されているだけで滅菌されていません。そのため、ガウンの表面に直接手を触れないよう、特殊な着用方法を用います。


具体的には、ガウンを広げた後、介助者に肩ひもを渡して袖に腕を通します。このとき、手はガウンの袖から出さないように注意します。袖の中に手を入れたまま、次に滅菌手袋を装着する「クローズド法」が主流です。これにより、手がガウンの外側に触れることなく、清潔な状態を保てます。


滅菌手袋の装着順序も重要です。手術医療の実践ガイドラインでは、術後創部感染予防のため、ガウン着用後に滅菌グローブを装着することが推奨されています。これにより、ガウンと手袋の境界部分がしっかり覆われ、手首の露出を防げます。


結論は順番厳守です。


滅菌ガウンを着用した後は、清潔域と不潔域の概念がさらに厳格になります。ガウンの正面、胸から腰までの範囲と、隣接する器械台が清潔域です。それ以外の部分、例えばガウンの背面、腰より下、袖の内側などは不潔域とみなします。この区別を常に意識して行動する必要があります。


インプラント手術などの歯科外科処置では、滅菌ドレープで患者の身体を覆い、術野だけを露出させるドレーピングも行います。これにより、清潔な術野を確保し、手術部位感染のリスクを最小限に抑えられます。滅菌ガウンとドレーピングを組み合わせることで、高度な無菌環境を実現できるのです。


歯科インプラント手術前の手洗い・ガウンテクニック解説動画(清潔域と不潔域の区別が視覚的に理解できます)


ガウンテクニック順番を忘れないための実践的工夫

理論では理解していても、実際の忙しい診療現場では手順を忘れてしまうこともあります。そこで、現場で使える実践的な記憶法と工夫をご紹介します。継続的に正しい手順を実践するためのヒントです。


まず、着脱場所に手順を示したポスターやチェックリストを掲示することが効果的です。視覚的に確認できる資料があれば、迷ったときにすぐ参照できます。イラスト付きのポスターなら、新人スタッフや非常勤スタッフにも分かりやすく、院内全体で統一した手順を共有できます。


いいことですね。


「がまんして」以外にも、脱衣順の覚え方として「手ゴガマ(てごがま)」という語呂合わせがあります。て=手袋、ご=ゴーグル、が=ガウン、ま=マスクの順です。着用と脱衣で別の語呂合わせを使い分けることで、混同を防げます。


実際にPPEを装着しながら声に出して確認する「セルフトーク法」も有効です。「まずガウン、次にマスク、そしてシールド、最後に手袋」と声に出すことで、手順が体に染み込みます。チーム全体で声出し確認を習慣化すれば、互いにチェックし合う文化も育ちます。


スマートフォンアプリやタイマーを活用する方法もあります。手指消毒の時間(最低15秒)をタイマーで測ったり、手順を動画で撮影して自己チェックしたりすることで、自分の癖や弱点に気づけます。定期的に動画を見返すことで、正しい手順を維持できます。


月に1回程度、スタッフ全員でPPE着脱のトレーニングを実施することも重要です。感染管理担当者が講師となり、実技を通じて手順を再確認します。この機会に新しい情報や改善点も共有できるため、院内全体の感染対策レベルが向上します。


PPE在庫の確認も兼ねられます。


診療後のカンファレンスで、その日の感染対策について振り返る時間を設けるのも効果的です。「今日、PPEの手順で気になった点はなかったか」「改善できることはあるか」と話し合うことで、スタッフの意識が高まります。些細な疑問でも共有することで、重大なミスの予防につながるのです。