33Gより細い35Gの針でも、注入速度を誤ると33Gより強い痛みが出ることがあります。
「ゲージ(G)」とは注射針の外径を表す単位で、数字が大きいほど針は細くなります。 これは直感と逆のため、現場でも混乱が起きやすいポイントです。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/word/4596)
もともとゲージとは「1インチ(約25.4mm)の何分の1か」を示す規格に由来しており、バーミンガムワイヤーゲージ(BWG)と呼ばれる針金の太さ規格が起源です。 つまり20Gは1インチの20分の1=約1.20mm、27Gは1インチの27分の1=約0.40mmという計算になります。 igaku.co(http://www.igaku.co.jp/pdf/kihonrinsho-02.pdf)
歯科で実際に使用される注射針の太さを整理すると、以下のとおりです。 shiron-dental-office(https://shiron-dental-office.com/2026/02/18/dental-needles/)
| ゲージ | 外径(mm) | 主な用途 |
|---|---|---|
| 27G | 約0.40mm | 下顎孔伝達麻酔、深部浸潤麻酔 |
| 30G | 約0.30mm | 一般的な浸潤麻酔(標準的選択肢) |
| 31G | 約0.25mm | 極細針、表面近くの浸潤麻酔 |
| 33G | 約0.26mm | 痛みに敏感な患者への浸潤麻酔 |
| 35G | 約0.23mm | 最も細い歯科用針、最近普及中 |
つまり、歯科の麻酔針は医科の採血針(21〜22G、約0.7mm)と比べると直径で約3分の1以下の細さということですね。 これが「歯科麻酔は痛みが少ない」という評価につながる大きな理由の一つです。 yodosha.co(https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758124324/10.html)
歯科麻酔で使用する針のゲージは「部位」と「術式」で選択します。 浅い部位への浸潤麻酔には細い針が有利ですが、深部に届かせる必要がある術式では細すぎる針は適しません。 kijimadc(https://kijimadc.com/blog/%E3%81%8D%E3%81%98%E3%81%BE%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E9%99%A2%E3%81%A7%E3%81%AE%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%80%E2%91%A3%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8F%E7%B4%B0/)
✅ 27G(0.40mm)
下顎孔伝達麻酔など、針を深く長く刺入する場面で使用します。 深部穿刺では針に横方向の力がかかりやすいため、ある程度の剛性(太さ)が必要です。細い針を無理に深部まで刺入すると、針折れのリスクが高まります。 yoshinaka-dc(https://www.yoshinaka-dc.com/blog_detail?actual_object_id=1889)
✅ 30G(0.30mm)
歯科の浸潤麻酔で最も広く使われている「標準ゲージ」です。 剛性と細さのバランスが良く、通常の上下顎浸潤麻酔・歯根膜注射など多用途に対応します。多くの歯科医院でデフォルトとして採用されています。 nakanishi-shikaiin(https://www.nakanishi-shikaiin.net/blog/2020/12/11/%E7%97%9B%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%84%E9%BA%BB%E9%85%94%E6%B3%A8%E5%B0%84%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E3%80%80%E3%80%9C%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%81%AE%E9%87%9D%E3%81%AB%E3%81%A4/)
✅ 33G・35G(0.26〜0.23mm)
痛みに敏感な患者や小児への麻酔で採用される極細針です。 33Gの直径は約0.26mmで、ほぼ人間の髪の毛(0.07〜0.15mm)の2倍程度。刺通抵抗が低いため粘膜への刺入時の「チクッ」という感覚が大幅に軽減されます。メーカーのデータによれば、35Gは33Gと比べて刺通抵抗値が15%以上低下しています。 matsuoka-dc(https://matsuoka-dc.com/column/post-2749/)
これは使えそうですね。ただし、33Gおよび35Gはその細さゆえ、深部刺入には不向きです。 太さを使い分けることが原則です。 yoshinaka-dc(https://www.yoshinaka-dc.com/blog_detail?actual_object_id=1889)
歯科麻酔における針折れは、過去に実際の損害賠償判決が出た重大インシデントです。 抜歯の際に注射針の選択を誤り、折れた針が患者の右上顎部組織内に残存したケースでは、後遺症を考慮して歯科医師に損害賠償責任が認められています。 medsafe(https://www.medsafe.net/precedent/hanketsu_0_113.html)
針折れが起きる主な原因は以下のとおりです。
- 細すぎるゲージ(33G以上)を深部刺入に使用する
- 刺入中に針を曲げたまま方向転換する
- 針の根元(針基との接合部)に繰り返し屈曲力をかける
ニプロジェクトなど一部メーカーは「段差構造」を採用し、針基との接合部での屈曲点を2箇所に分散することで針折れリスクを低減しています。 道具の構造も重要です。 fordynet.fordy(https://fordynet.fordy.jp/storage/products/20130131153111.pdf)
厳しいところですね。ただし正しいゲージ選択と手技を守れば防げるリスクでもあります。深部に刺入する術式(下顎孔伝達麻酔など)では、剛性のある27Gを選ぶことが基本です。 正しい知識だけ覚えておけばOKです。 kijimadc(https://kijimadc.com/blog/%E3%81%8D%E3%81%98%E3%81%BE%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E9%99%A2%E3%81%A7%E3%81%AE%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%80%E2%91%A3%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8F%E7%B4%B0/)
「とにかく細い針を使えば痛くない」というのは誤解です。 痛みには針の太さ以外にも複数の要因が絡んでいます。 matsuoka-dc(https://matsuoka-dc.com/column/post-2749/)
① 麻酔液の温度
麻酔液を体温(37℃)に近い温度に温めてから注入すると、温度差による刺激が軽減されます。 冷蔵保存したままの麻酔液を使用すると、35Gの極細針を使っても注入時に「じわっとした痛み」が出ることがあります。 asazawa-dental(https://www.asazawa-dental.jp/2025/08/19/221/)
② 注入速度(圧痛)
麻酔液を急激に注入すると、組織内圧の上昇により「圧痛」が発生します。 電動注射器を使い、一定のごく緩やかな速度で注入することで圧痛を防ぎます。つまり「速度管理」も痛みコントロールの一部です。 iida-dent(https://iida-dent.jp/contents/menu/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/)
③ 表面麻酔の使用
注射前にゼリー状表面麻酔を粘膜に3分間貼付することで、刺入時の痛点への刺激を大幅に緩和できます。 特に33G・35Gの極細針と組み合わせることで、患者が麻酔を「ほとんど感じない」状態を実現しやすくなります。 asazawa-dental(https://www.asazawa-dental.jp/2025/08/19/221/)
これらを組み合わせた「無痛麻酔プロトコル」として取り組んでいる医院では、歯科恐怖症の患者の通院継続率が上がるという現場の報告も増えています。 一つひとつの工夫が患者の信頼につながります。 iida-dent(https://iida-dent.jp/contents/menu/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/)
【参考:きじま歯科医院ブログ】33Gを中心とした歯科麻酔針の使い分けと痛点回避の解説
一般的に「ディスポーザブル(使い捨て)針だから毎回清潔」と考えられていますが、実は1回使用した後でも針先の変形が起きています。これは見落とされやすいポイントです。
研究によれば、注射針は初回刺入の時点でのみ設計どおりの鋭さを発揮し、1回の使用後に針先が微細に変形・鈍化することが確認されています。使い捨て針を途中で一度抜いて再刺入する「同一患者内の再刺入」においても、初回より刺通抵抗が増加し、患者が「2回目のほうが痛かった」と感じる原因になります。 matsuoka-dc(https://matsuoka-dc.com/column/post-2749/)
また、歯科用ディスポーザブル針には「ランセット加工」と呼ばれる刃面処理が施されており、初回刺入時の抵抗を最小化する設計になっています。 この加工の恩恵は1回限りであるため、使い回しは性能面でも明確に不利になります。 adent-call(http://adent-call.com/img/item-list/itm4-2.pdf)
【参考:MedSafe 医療安全判例集】歯科麻酔針の選択ミスによる針折れ・後遺症と損害賠償判決の詳細
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