咬合支持がゼロの大臼歯に、2026年6月からハイブリッドレジン製CAD/CAM冠が保険算定できるようになります。
CAD/CAM冠の保険適用は、2014年の小臼歯からスタートし、段階的に拡大されてきました。 2020年9月には前歯・下顎第一大臼歯が追加され、2023年12月にはPEEK冠(材料Ⅴ)の保険収載によりすべての大臼歯で何らかの形でCAD/CAM冠が使えるようになりました。 そして2024年6月改定でハイブリッドレジン冠(材料Ⅲ)も条件付きで第二・第三大臼歯に拡大されています。 nonmetal(https://www.nonmetal.jp/blog/20240607/)
現在(2026年6月改定前)の部位別ルールは以下のとおりです。
| 部位 | 材料 | 保険適用の条件 |
|---|---|---|
| 前歯(1〜3番) | 材料Ⅰ〜Ⅲ | 条件なし |
| 小臼歯(4〜5番) | 材料Ⅰ〜Ⅲ | 条件なし |
| 第一大臼歯(6番) | 材料Ⅲ | 7番が上下左右4本残存、かつ咬合支持あり |
| 第二大臼歯(7番) | 材料Ⅲ | 反対側に咬合支持あり+同側条件のいずれか |
| 第三大臼歯(8番) | 材料Ⅲ | 第二大臼歯と同様の咬合支持条件 |
| 大臼歯(6〜8番) | 材料Ⅴ(PEEK) | 単冠のみ・条件なし |
前歯・小臼歯は条件なしが原則です。 大臼歯については材料の選択で算定要件がまったく変わるため、まずどの材料を使うかを確認するのが現場での第一ステップになります。 kasai-haisya(https://www.kasai-haisya.com/column/cad-cam-insurance-coverage/)
大臼歯にハイブリッドレジン製CAD/CAM冠(材料Ⅲ)を使う場合、咬合支持の確認が必須です。 具体的には「装着する歯の反対側に上下で噛み合う大臼歯があること」が必須条件で、さらに①同側に咬合支持があり過度な力がかからない、または②同側に咬合支持がないが手前の歯がしっかり噛み合う、のどちらかを満たす必要があります。 w-nakayama(https://w-nakayama.com/diary-blog/14612)
これが条件です。
「反対側の咬合支持」という必須条件を見落としているケースが、臨床現場では特に多く報告されています。たとえば右上7番に装着しようとする際、左上6・7番が欠損していると必須条件を満たさず保険算定できません。 患者の訴えや主訴だけで判断せず、対合歯・隣接歯の状況をパノラマやデンタルX線で確認することが算定ミスを防ぐポイントです。 kasai-haisya(https://www.kasai-haisya.com/column/cad-cam-insurance-coverage/)
なお、金属アレルギーの患者(医科の診断書あり)については、従来から上記の咬合支持要件が免除されてきた経緯があります。 この例外を知らないと、算定できる症例を見逃してしまうことになります。見逃さないようにしたいですね。 sdc(https://sdc.nagoya/peekhokenn/)
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製CAD/CAM冠は2023年12月に材料Ⅴとして保険収載された比較的新しい材料です。 ハイブリッドレジン(材料Ⅲ)と最も大きく異なる点は「大臼歯単冠であれば咬合支持要件なしで保険適用」という点です。 yashima-shika(https://yashima-shika.com/peek-crown/)
つまり咬合支持の確認が不要です。
ただし、PEEK冠は単冠のみが対象でインレーやブリッジへの応用は不可とされています。 また色調が白色系に限られ、審美性ではハイブリッドレジンと比較して歯の色に近づけるカスタマイズに制約がある場合もあります。現場での使い分けの目安は以下のとおりです。 kuwatsuru-dc(https://www.kuwatsuru-dc.jp/peek%E5%86%A0%E3%81%8C%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/)
>咬合支持条件を満たせる症例 → 材料Ⅲ(ハイブリッドレジン)で審美性を優先
>咬合支持が不十分だが白い被せ物を希望する大臼歯の症例 → 材料Ⅴ(PEEK冠)を選択
>2026年6月以降 → 材料Ⅲでも咬合支持要件が撤廃されるため、両材料の選択肢がさらに広がる
材料の選択を誤ると保険算定できないだけでなく、患者への説明も変わってきます。 算定前に材料区分を確認する習慣をつけることが大切です。 yashima-shika(https://yashima-shika.com/cadcam-crown/)
令和8年度(2026年)診療報酬改定の説明資料(厚生労働省、2024年3月公開)によると、2026年6月よりCAD/CAM冠の咬合支持要件が削除される予定です。 これは東北大学の研究で「大臼歯のCAD/CAM冠装着歯の予後に装着部位による統計学的有意差は認められない」という知見が中医協で認められた結果です。 yashima-shika(https://yashima-shika.com/cad-cam-crown-2026/)
これは大きな変更です。
具体的には、以下の症例が2026年6月以降に新たに保険算定対象となります。
>咬合支持のない大臼歯へのハイブリッドレジン製CAD/CAM冠
>第三大臼歯(親知らず)へのハイブリッドレジン製CAD/CAM冠
>後継永久歯が先天的に欠如している乳歯
今まで「条件を満たさないから銀歯か自費」と案内していた大臼歯症例が、6月以降は保険でハイブリッドレジン製CAD/CAM冠を提供できる可能性があります。 院内の説明用トークや書類の更新を、改定前から準備しておくことをおすすめします。 yashima-shika(https://yashima-shika.com/cad-cam-crown-2026/)
厚生労働省の令和8年度改定資料(咬合支持要件の根拠となった資料)はこちらから確認できます。
厚生労働省|令和8年度診療報酬改定について(CAD/CAM冠関連)
保険適用の条件を正しく理解していても、レセプト記載のミスで返戻・査定が発生するケースがあります。 小臼歯のCAD/CAM冠は「歯CAD」の項に点数・回数を記載しますが、大臼歯に使用した場合は「その他」欄に「歯CAD(大)」と表示し、部位・点数・回数を記載するルールになっています。 記載欄が異なる点に注意が必要です。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/171215-070000.php)
また、2024年6月の改定からエンドクラウンが保険収載され、診療報酬点数は1,450点と設定されています。 エンドクラウンは支台築造および支台築造印象が所定点数に含まれており、別途算定できないことを把握しておく必要があります。 CAD/CAMインレーについても、2024年6月改定から窩洞形成に150点が加算されるようになりました。 yamakin-gold.co(https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/ym222_insurance/)
算定ミスを防ぐ実務チェックリストとして以下をご活用ください。
>✅ 使用材料の区分(Ⅲ・Ⅴ等)を確認し、適応条件と照合する
>✅ 大臼歯は反対側・同側の咬合支持を記録に残す
>✅ 金属アレルギー症例は医科の診断書の有無を確認し、カルテに添付する
>✅ 大臼歯レセプトは「その他」欄への「歯CAD(大)」記載を忘れない
>✅ エンドクラウンは支台築造を別算定しない
>✅ 2026年6月以降の改定内容を院内スタッフで事前共有する
レセプト記載の詳細ルールは兵庫県保険医協会のQ&A資料が実務面で参考になります。
兵庫県保険医協会|CAD/CAM冠のレセプト記載Q&A(実務向け)
| リスク分類 | 推奨メンテナンス間隔 |
| -------- | ---------- |
| リスクが高い患者 | 2〜3か月に1回 |
| リスクが低い患者 | 4か月に1回 |