ベースプレートワックス使い方と種類・保管方法

ベースプレートワックスは義歯製作の要となる材料ですが、季節による使い分けや保管温度を誤ると精度に影響します。曲げ強度3倍の新素材や適切な選択基準を知っていますか?

ベースプレートワックス使い方と選び方

夏用ワックスを冬に使うと咬合採得で2mm変形します


この記事の3つのポイント
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ベースプレートワックスの基本と種類

義歯製作に欠かせない材料で、季節用・溶融性など複数のタイプがあり、それぞれ曲げ強度や融点が異なります

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使用手順と温度管理のポイント

50〜55℃で30秒軟化させる手順と、25℃以下での保管が精度維持に重要です

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季節ごとの選択と失敗回避

夏用(1.5mm)と常用(1.3mm)の使い分けを誤ると咬合採得時に変形リスクが高まります


ベースプレートワックスの定義と義歯製作での役割


ベースプレートワックスは、義歯製作過程において咬合床の製作や人工歯の排列に使用される歯科用材料です。主成分は精製パラフィンとミツロウで構成されており、加熱により可塑性を持つ特性があります。


義歯製作では咬合採得から蝋義歯の試適まで、複数の工程でこのワックスが活用されます。咬合堤の築盛、人工歯の仮固定、ブロックアウト処理など、その用途は多岐にわたります。軟組織に支えられるレジン床義歯の製作過程で仮床として機能し、最終的な義歯の精度を左右する重要な役割を担っているのです。


従来はレジン系ベースプレートも使用されていましたが、操作性と経済性の観点から、現在でもベースプレートワックスは臨床現場で高い使用頻度を維持しています。


つまり基礎床材料の主流です。


東京歯科大学のベースプレート・ワックスに関する臨床研究では、総義歯製作における使用頻度の高さが報告されています


ベースプレートワックスの種類と特性比較

ベースプレートワックスは使用目的と季節に応じて複数のタイプに分類されます。最も基本的な分類が硬さによるもので、JIS規格では軟質(タイプ1)、中硬質(タイプ2)、硬質(タイプ3)の3種類が定められています。


季節別の分類では、常用タイプ(厚さ1.3mm)と夏用タイプ(厚さ1.5mm)が存在します。夏用タイプは気温が高い環境でも軟化しにくいよう融点が調整されており、通常は常用より約6℃高い64℃程度に設定されています。保管温度は両タイプとも25℃以下が推奨されており、これを超えると形状変化のリスクが生じます。


近年では溶融性ベースプレートという革新的な製品も登場しています。メルトベースプレートと呼ばれるこのタイプは、曲げ弾性率がパラフィンワックスの約3倍(305MPa)を誇り、咬合採得時や試適時の変形が起こりにくい特性を持ちます。50〜55℃の温水に30秒浸すことでプレート全体が白っぽく均一に軟化し、従来のワックスと同様の操作性を保ちながら精度向上を実現しています。


結論は使用環境に合わせた選択が重要です。


デンケンハイデンタルの溶融性ベースプレート資料では、曲げ強度がパラフィンワックスの3倍であることが試験データで示されています


ベースプレートワックス使用手順と温度管理

ベースプレートワックスを使用する際の基本手順は、まず板状のワックスを炎または温水で加熱して軟化させることから始まります。溶融性タイプの場合は50〜55℃の温水に30秒程度浸すと、プレート全体が白っぽく変化して均一に軟化します。


軟化したワックスは適度に柔らかい状態で模型に圧接します。この時、上から押し当てるように圧接することで気泡の混入を防ぎ、密着性を高めることができます。従来のパラフィンワックスの場合は、適度に軟化させたところでロール状に巻いて棒状にし、馬蹄形にして基礎床に圧接していく方法が一般的です。


温度管理が精度維持の鍵となります。ワックスが過度に加熱されると形状が崩れる可能性があるため、適切な温度での取り扱いが求められます。保温器を使用して軟化状態を維持する方法も有効で、作業効率を高めながら品質を保つことができます。圧接不足の場合は再度お湯に浸けることで再圧接が可能です。


咬合床の調整では熱したインストゥルメントで部分的に軟化・切除が可能で、ワックスを追加することも容易です。過不足部分は盛り足したり削ったりして咬合床を完成させ、その後は通法に従って人工歯の排列や蝋義歯の作製を行います。


操作性が基本ですね。


ベースプレートワックス保管方法と劣化防止

ベースプレートワックスの保管環境は製品の品質維持に直接影響します。推奨保管温度は25℃以下と明確に定められており、この温度を超えると軟化や変形のリスクが高まります。特に夏季の保管には注意が必要で、エアコンの効いた室内や専用の保管庫を使用することが望ましいです。


可燃性のある材料であるため、火気厳禁の場所に保管することが必須条件です。1つの保管庫に大量に保管しないという規定もあり、これは火災リスクの分散と通気性の確保を目的としています。密栓して直射日光を避けることも重要で、紫外線による劣化を防ぎます。


保管状態が不適切だと、ワックスの物性が変化して臨床使用時の精度に影響を及ぼします。例えば高温環境に長時間さらされると、軟化温度や硬度が変化し、咬合採得時に想定外の変形が生じる可能性があります。開封後は特に湿気や汚染から保護するため、元のパッケージに戻すか密閉容器での保管が推奨されます。


温度管理だけ覚えておけばOKです。


歯科の従事者以外が触れないように適切に管理・保管することも、医療安全の観点から重要な要件となっています。


ベースプレートワックス選択基準と臨床での注意点

ベースプレートワックスを選択する際は、使用する季節と臨床環境を第一に考慮します。室温が25℃を超える夏季には夏用タイプ(厚さ1.5mm)を選択し、それ以外の時期は常用タイプ(厚さ1.3mm)を使用するのが基本原則です。季節と環境に適さないワックスを使用すると、咬合採得時に最大2mm程度の変形が生じることが臨床研究で報告されています。


咬合採得の精度を重視する症例では、溶融性ベースプレートの使用を検討する価値があります。曲げ弾性率が通常のパラフィンワックスの約3倍あるため、咬合圧による変形が起こりにくく、特に多数歯欠損補綴や全顎的な咬合再構成を行う場合に効果を発揮します。4床の製作で約1時間の作業時間短縮も期待できるというメリットもあります。


注意すべき点として、即時重合レジンの築盛前にメルトベースプレートハードタイプに即時重合レジンの液を塗らないことが挙げられます。


接着力が落ちる場合があるためです。


また、ワックスの溶融再硬化を繰り返すと寸法変化や硬度変化が生じるため、できるだけ少ない加熱回数で成形することが望ましいです。


インレーワックスとの使い分けも重要な臨床知識です。インレーワックスは補綴物のワックスパターン製作に特化しており、ベースプレートワックスとは融点や硬度が異なります。用途に応じた適切な材料選択が、最終的な補綴物の精度を左右します。


精度優先なら溶融性です。


Ciモールのメルトベースプレート製品情報では、咬合採得時の精度向上について詳しく解説されています




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