あなたのクリニックは、口管強を届け出ていないだけで毎月120点を取り逃がしています。
SPT(歯周病安定期治療)の保険点数は、処置対象となる歯の本数によって3段階に区分されています。具体的には、1歯以上10歯未満で200点、10歯以上20歯未満で250点、20歯以上で350点です。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa8/r06s28_sec1/r06s281_cls3/r06s2813_I011_2.html)
歯の本数を正確に把握しておくことが大前提です。
算定頻度は「前回実施月から2か月空ける」、つまり原則3か月に1回が基本ルールです。これは保険診療の大原則であり、この間隔を守らないと審査で査定される可能性があります。 3tei(https://3tei.jp/news/_MBSQEMf)
月1回まで算定可能という記述も見かけますが、これは「月1回を上限」という意味であり、毎月算定できるわけではありません。つまり「月1回=毎月OK」ではないということですね。
算定の際には、歯管(歯科疾患管理料)・歯在管(歯科疾患在宅療養管理料)・特疾管のいずれかを算定していること、かつ管理計画に歯周病に関する内容が含まれていることも算定要件の一つです。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/190915-100000.php)
また、4mm以上の歯周ポケットを有する患者が対象であることも重要な条件です。ポケット深さの記録が不十分だと、算定根拠が問われた際に対応できません。記録の整備が条件です。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/190915-100000.php)
令和6年の診療報酬改定によって、これまでのSPT(Ⅰ)・SPT(Ⅱ)という2区分の仕組みが大きく変わりました。口腔管理体制強化加算(口管強)という新しい届出制度が新設され、従来の区分に替わる形で整理されています。 3tei(https://3tei.jp/news/OJHp054x)
これは使えそうです。
口管強の届出を行った診療所では、SPT開始時に120点の加算が算定可能になります。20歯以上の患者なら350点+120点=470点と、届出の有無で1回あたりの点数が大きく変わります。 3tei(https://3tei.jp/news/OJHp054x)
さらに口管強届出診療所では、患者のリスクが高い場合に毎月のSPT算定が認められます。原則3か月に1回だった頻度制限が緩和されるため、年間の算定回数が最大4倍になる計算です。 3tei(https://3tei.jp/news/_MBSQEMf)
以前はSPT(Ⅱ)を算定していた診療所が最も恩恵を受けやすく、含まれていた検査などの点数が別途算定可能になったため、最大で90点以上多く算定できるケースもあります。 oned(https://oned.jp/posts/4588)
口管強の届出を検討していない診療所は、一度シミュレーションをしてみることをおすすめします。条件を満たしていれば、患者1人あたり年間で数千円単位の請求額の差が生まれます。
SPTに関連する算定ルールについては、保険請求Q&Aが詳しいです。
保険請求Q&A「歯周病安定期治療(SPT)」|北海道歯科医師会(算定要件・対象患者の詳細が確認できます)
SPTを算定できる患者の条件は、「4mm以上の歯周ポケットがあるが炎症が認められない状態」です。ポケットが3mm以下で治癒状態にある患者はメインテナンスの対象であり、SPTとは明確に区別されます。 sato-dental-clinicasa(https://www.sato-dental-clinicasa.com/blog/69%E3%80%90%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%80%91spt%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%EF%BC%9F%E3%80%80%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84/)
ここを混同している診療所が意外と多いです。
「定期検診と内容が変わらない」と感じる患者さんも多いですが、SPTとメインテナンスでは算定できる保険点数が異なります。メインテナンスは自費扱いが基本であるのに対し、SPTは保険適用内での継続治療に位置づけられています。 sato-dental-clinicasa(https://www.sato-dental-clinicasa.com/blog/69%E3%80%90%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%80%91spt%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%EF%BC%9F%E3%80%80%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84/)
| 項目 | SPT(歯周病安定期治療) | メインテナンス |
|---|---|---|
| 歯周ポケット深さ | 4mm以上あり(炎症なし) | 3mm以内 |
| 病状の状態 | 病状安定 | 治癒 |
| 保険適用 | 保険算定可 | 原則自費 |
| 算定頻度(基本) | 原則3か月に1回 | 規定なし |
診察のたびに歯周検査の結果を正確に記録し、SPTとメインテナンスのどちらに該当するかを判断する必要があります。判断根拠の記録が算定の根拠です。
SPT管理中の患者に病状の悪化が見られ、歯周外科手術が必要になった場合、算定ルールが変わります。このときSPTの所定点数は50/100(半額)での算定となります。 hhk(http://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/190915-100000.php)
半額になるとは、意外ですね。
具体的な流れとしては、①歯周外科手術が必要になったタイミングでSPTの算定をいったん中止し、②術後の歯周精密検査で病状安定を確認してからSPTを再開します。この手順を踏まずに算定を継続すると、過誤請求として返戻・指導の対象になる可能性があります。 hhk(http://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/190915-100000.php)
SPT中断→外科→精密検査→再開、という流れが原則です。
また、SPT算定中に行った歯周精密検査は、SPTの点数に含まれず別途算定できます。令和6年改定以降、この「別途算定」の部分が整理され、旧SPT(Ⅱ)相当の内容では最大90点以上の加算が可能になっています。 oned(https://oned.jp/posts/4588)
外科手術に伴うSPTの算定中断と再開のタイミングを誤ると、数か月分の請求が査定対象になります。算定の流れを院内でフローチャート化しておくと、スタッフ間の認識ズレを防ぎやすくなります。
SPT中の算定の中断・再開ルールの詳細はこちらが参考になります。
I011-2 歯周病安定期治療|しろぼんねっと 歯科診療報酬点数表(最新の点数・算定要件が確認できます)
SPTに関連する算定漏れは、点数単体の見落としよりも加算の組み合わせで発生することが多いです。見落とされがちな加算として以下が挙げられます。
3tei(https://3tei.jp/news/OJHp054x)
oned(https://oned.jp/posts/4588)
shirobon(http://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=33406)
hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/190915-100000.php)
特に訪問診療との組み合わせは見落とされやすいです。
居宅療養管理指導費を算定している患者でも、4mm以上のポケットがあり病状安定であればSPTの算定対象になります。在宅患者への歯周管理は、算定の機会として捉えられていないケースが散見されます。 hhk(https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/190915-100000.php)
請求漏れを防ぐには、レセコン(レセプトコンピュータ)のチェック機能をSPT関連の加算に対応した設定にしておくことが重要です。口管強の届出状況、患者のポケット記録、前回算定日の3点を毎回確認する仕組みをつくることが、最も現実的な対策になります。
毎回の確認を仕組み化するだけで、算定漏れは大幅に減ります。
SPTは「治療が終わった患者の維持管理」という位置づけで軽視されがちですが、正しく算定できれば診療所の安定した収益基盤にもなります。改定内容を踏まえた算定フローの見直しを、定期的に行うことをおすすめします。