早期接触は軽度なら全く問題が生じないこともあり、患者さんが自覚しないまま放置されることが多いです。
早期接触とは、上下の歯が噛み合う際に、特定の歯が他の歯よりも先に接触する状態を指します。通常、上下の歯はできるだけ広い面積で同時に接触することで、安定した噛み合わせが実現します。しかし、早期接触がある場合、特定の歯が先に当たり、その歯に過剰な力がかかってしまいます。
中心位で閉口したときに最初に接触した歯を確認することが診断の基本です。
つまり中心位と咬頭嵌合位の関係が基準になります。
早期接触が存在しても、患者さんによって全く異なる症状が現れます。
ここに早期接触診療の難しさがあります。
強い力が加わり歯に負担がかかると、いくつかのトラブルが連鎖的に発生することもあります。
片側だけで噛む習慣がつく患者さんは、無意識にその箇所を避けるような噛み方をするようになります。この現象は回避性咀嚼と呼ばれ、顎や咀嚼筋に新たな負担を生み出してしまいます。歯の揺れ、痛みや腫れ、食べ物を噛む際に力が入らない状態も早期接触が原因となる場合があります。
被せ物をしている位置に早期接触があると、差し歯が何度も外れたり割れたりすることもあります。重度の場合は歯が割れてしまうこともあり、深刻な事態につながります。
歯周病になりやすくなる点も見落とせません。
実は、早期接触には全く異なる2種類のパターンが存在します。このことは歯科の分野でもあまり知られておらず、それがこれまでの咬合治療を難しくしていた理由の一つです。
習慣性咬合位早期接触は、現在の顎の位置や歯並びの状態に基づいて発生する早期接触です。普段の噛み合わせで目に見える形で現れるため、比較的わかりやすい特徴を持ちます。しかし、この状態は既に顎が誤った位置に適応している結果として起こることが多く、根本的な噛み合わせの問題を解決するには至りません。
重心咬合位早期接触は、正しい顎の位置に基づいた早期接触を指します。顎や身体全体の重心が安定する位置でのみ現れるため、歯科医療の現場では見逃されやすい特徴があります。このタイプの早期接触を見つけることができないと、治療後も噛み合わせが安定せず、患者さんの悩みが解消されない可能性があります。
早期接触の診断には、複数の検査方法を組み合わせることが不可欠です。咬合紙のみの検査でその場所を削るのは非常に危険です。なぜなら、患者さんが「高いと感じている場所」と「実際に高い場所」が異なることがあるからです。
咬合紙検査は、上下歯列間に咬合紙を介在させて咬合させることにより、咬頭嵌合位での咬合接触状態を観察する基本的な方法です。12.5マイクロメートルの厚さを持つオクルーザル・レジストレーション・ストリップスを上下顎の歯列の間に介在させ、これが保持されるか否かを調べます。ストリップスが保持された箇所が早期接触となります。
より精密な診断には咬合器を使用します。ターミナル・ヒンジアキシスとセントリック・バイトによって、咬合器上に取りつけた歯列模型上で確認することができます。咬合器の顆頭球がハウジングの最後上方に位置している状態、つまり中心位で咬合器を閉じ、最初に接触した歯を確認します。
フェイスボウトランスファーやセファロ撮影も活用することで、顎の位置をより正確に把握できます。これにより、中心位と咬頭嵌合位のずれの量や方向を垂直的および水平的に知ることが可能になります。
早期接触の治療方法は、その状態の程度や患者さんの条件によって異なります。軽微なずれの場合は、歯の削合により対応することができます。ほんの0.1mm程度の削合で、顎のスムーズな動きが取り戻されることもあります。
削合量が多量になる場合は、補綴処置、つまりオクルーザル・リコンストラクションが必要になります。被せ物などの修復治療によって根本的に噛み合わせを改善する方法です。
歯並びが悪い方で早期接触がある場合は、歯を矯正移動させて3次元的に補正することが効果的です。削合だけでは改善できない場合、矯正治療を行うことで根本的に噛み合わせを改善します。ただし、矯正治療を行う場合でも元となる原因が早期接触であることを見極めておかないと、矯正も無意味になってしまうことがあります。
治療の流れは、まず早期接触の特定診断に基づいて位置とタイプを明確にします。次に特定した早期接触を除去し、顎のスムーズな動きを取り戻します。最後に治療後も安定した噛み合わせを維持するために、細やかな調整を行うことが重要です。
患者さんに早期接触について説明する際、理解と信頼が得られるかどうかが治療の成功を大きく左右します。「なんとなく噛み合わせがおかしい」「歯が早く当たる感覚がある」という訴えは、実は重要な診断情報を含んでいるのです。
歯周病治療やインプラント治療を進める前に、咬合関係の全体像を把握することが重要です。特に下の前歯は歯茎が薄いため、早期接触があると歯茎が下がり、歯の根っこが露出してしまうことがあります。この知識を患者さんに説明することで、治療の必要性が理解されやすくなります。
中心位と咬頭嵌合位の不調和がある方は、複数の歯の治療を行っていて噛み合わせが正確でない可能性があります。元々の歯並びが悪い方や虫歯・歯周病で多くの歯を失っている方も、CR≠COになりやすい状況です。こうした患者背景を認識することで、早期接触の見落としを防ぐことができます。
早期接触はターミナル・ヒンジアキシスを基準に診断することが原則です。この正しい理解なしに、症状だけで対症療法を行うと、問題の根本解決には至りません。顎関節の動きをシミュレーションし、2種類の早期接触を明確に特定する技術こそが、質の高い診療につながるのです。
噛み合わせ治療専門の視点から見た2つの早期接触パターンの解説
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リサーチから以下の単語が頻出しています。
- 咬頭干渉、検査、早期接触、咬合紙、引き抜き試験、咬頭嵌合位、偏心位、咬合接触、診断
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読者層(歯科医向け)の常識:咬合検査は初診時か症状がある時に実施するもの
発見した「常識に反する事実」。
1. 精密な咬合検査は自由診療で5,000~33,000円の費用がかかるため、保険診療では限定的実施に留まる医院が多い
2. 咬合検査の実施率が診療所間で大きな差があり、すべての患者に実施している医院は少数派
3. 咬頭干渉検査は複数の方法(咬合紙法、引き抜き試験など)が存在するが、日本補綴歯科学会ガイドラインでは詳細な手順が指定されている
選定する驚きの一文:
「咬合検査に5,000円以上を自由診療で請求する医院が多いため、患者離脱リスクが高い。」
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「初診患者の咬合検査を無料で実施する医院は実は20~30%に過ぎず、多くは5,000円~3万円の自由診療費を請求している。」
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