柴苓湯を9か月飲み続けても、ニキビが一時的に悪化することがあります。 instagram(https://www.instagram.com/p/CGkKmdOD65p/)
柴苓湯(さいれいとう)は、小柴胡湯と五苓散を合わせた12種類の生薬からなる漢方薬です。 作用の柱は3つあります。抗炎症作用、免疫調整作用、そして水分バランス調整(利水作用)です。 bihadado(https://bihadado.tokyo/media/38516/)
この薬がニキビに有効とされるのは、主に「炎症性ニキビ」に対してです。 通常の外用薬や抗菌薬でなかなか改善しない赤ニキビや、膿腫型ニキビに対して、標準治療の「補助的治療」として処方されます。単独での使用は少なく、桂枝茯苓丸加薏苡仁や十味敗毒湯などと組み合わせて使われることが多いです。 urata-hifuka(https://urata-hifuka.com/acne/kampo.html)
つまり「ニキビそのものを直接治す薬」ではありません。
免疫の過剰反応(アレルギー的な炎症反応)を鎮める働きによって、皮膚の赤みや腫れを抑えるのがメカニズムです。 外用薬の効果が出にくい体質的な問題に対して、内側から環境を整えるイメージで使われます。これは使えそうです。 bihadado(https://bihadado.tokyo/media/38516/)
💡 補足:なぜ「難治性」に有効なのか?
難治性ニキビの根底には、免疫異常が絡んでいるケースがあると考えられています。 通常の治療は細菌を退治したり皮脂分泌を抑えたりすることを目的にしますが、免疫調整が必要な症例にはその視点が欠けます。柴苓湯はその「免疫の問題」にアプローチする点が特徴です。 kojindo.kagoshima(https://kojindo.kagoshima.jp/case/1222)
ニキビが治っても赤みや盛り上がりが残る——それが「ニキビ跡(肥厚性瘢痕・ケロイド)」です。柴苓湯はこの後遺症に対しても有効性が報告されています。 philkampo(https://www.philkampo.com/pdf/phil49/phil49-08.pdf)
日本医科大学形成外科の研究では、柴苓湯を1年以上継続投与した10症例において、開始時に平均9.6点だったJSW scar scale(傷跡評価指標)が、平均4.6点まで低下したと報告されています。 点数でいうと約半分以下になった計算です。野球のストライクゾーンくらいの感覚で言えば、「かなり的を絞って改善できた」ケースと言えます。悪化した症例はゼロでした。 philkampo(https://www.philkampo.com/pdf/phil49/phil49-08.pdf)
結論は「続けることが重要」です。
また、ケロイド・肥厚性瘢痕に対してトラニラスト(保険適用の抗ケロイド薬)と柴苓湯を比較した75例の臨床研究でも、柴苓湯はトラニラストと同等、または一部症状では優れた効果を示し、副作用が少ないことが報告されています。 kamitsure-shop(https://www.kamitsure-shop.com/?mode=f9)
ケロイド患者に柴苓湯を紹介したい場合、線維芽細胞の異常増殖を抑制する薬理作用が根拠になります。 内因性ステロイドホルモンを誘導する作用も持つため、外用ステロイドに抵抗がある患者への選択肢になり得ます。 philkampo(https://www.philkampo.com/pdf/phil25/phil25-08.pdf)
ニキビ跡の改善には半年以上の継続が目安です。 takeipac.livedoor(https://takeipac.livedoor.blog/archives/28169710.html)
参考資料:ケロイドと柴苓湯の臨床データについてはこちらを参照ください。
phil漢方 No.49「柴苓湯によるケロイドの炎症抑制効果」(日本医科大学 形成外科)
柴苓湯の標準的な処方量は、医療用製剤(ツムラ柴苓湯など)で1日7.5〜9gです。 食前または食間に分けて服用します。市販薬も存在しますが、生薬の含有量が医療用と異なる場合があるため、難治性ニキビや瘢痕への使用には医師の処方薬を選ぶべきです。 kampo-ikai(https://kampo-ikai.jp/wp-content/uploads/2019/08/f44e607396679d04adb8ea272f9d599d.pdf)
効果判定の目安は3か月が一般的です。 ニキビ跡・ケロイド改善を目標にする場合は、さらに6か月〜1年以上の継続が必要になることもあります。 長期服用になるため、副作用の観察が欠かせません。 takeipac.livedoor(https://takeipac.livedoor.blog/archives/28169710.html)
副作用には注意が必要です。
特に知っておくべき重篤な副作用は2つあります。 k-mesen(https://k-mesen.jp/lp/online/posts/category/kampo/saireito1)
歯科医従事者としては、患者が他科から柴苓湯を処方されているケースに遭遇することがあります。 その場合、口腔内処置で使用する薬剤との相互作用にも注意が必要です。甘草を含む漢方薬(柴苓湯にも含まれます)と他の甘草含有製剤を重複服用すると、低カリウム血症や偽アルドステロン症のリスクが高まります。 ir.tdc.ac(https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/4563/1/34_15.04.pdf)
これは見落としがちな点です。
柴苓湯はニキビ以外にも幅広く使われています。 むくみ・夏バテ・感染性胃腸炎などが代表的な適応ですが、歯科・口腔外科領域での活用事例は意外と知られていません。 bihadado(https://bihadado.tokyo/media/38516/)
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)への使用がその1つです。 扁平苔癬は口腔粘膜に生じる慢性炎症性疾患で、難治例も多いです。実際に歯科口腔外科で五苓散から柴苓湯に変更し、炎症のコントロールに使った症例報告があります。 kampo-ikai(https://kampo-ikai.jp/wp-content/uploads/2019/08/f44e607396679d04adb8ea272f9d599d.pdf)
これは独自視点ですね。
また、歯科口腔外科領域における漢方治療のエビデンスをまとめた東京歯科大学の資料でも、口腔内の炎症性疾患に対して柴苓湯が処方されている例が記載されています。 ir.tdc.ac(https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/4563/1/34_15.04.pdf)
| 適応領域 | 主な使用目的 | 備考 |
|---|---|---|
| 炎症性ニキビ | 赤みの鎮静、難治例の補助 | 他剤との併用が基本 |
| ニキビ跡・ケロイド | 線維芽細胞抑制・傷跡の改善 | 1年以上の継続が目安 |
| 口腔扁平苔癬 | 口腔粘膜炎症のコントロール | 五苓散との使い分けも |
| むくみ・水分代謝異常 | 利水作用による体内水分調整 | 夏場や術後浮腫にも |
参考資料:歯科口腔外科と漢方薬の関係性については以下が詳しいです。
東京歯科大学「歯科口腔外科領域における漢方治療のエビデンス」
ニキビに漢方薬を使う場合、「どれを選ぶか」の判断が重要です。 柴苓湯が適しているのは特定の状態に限られます。 shop.ominedo.co(https://shop.ominedo.co.jp/blogs/column/chinese_medicine_acne_effect)
以下の状態に当てはまる場合に柴苓湯が選ばれやすいです。 takeipac.livedoor(https://takeipac.livedoor.blog/archives/28169710.html)
一方、軽度の炎症ニキビには十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)がファーストチョイスになります。 柴苓湯は「より重症・難治」または「瘢痕フェーズ」にステップアップするイメージです。 philkampo(https://www.philkampo.com/pdf/phil28/phil28-00.pdf)
| 漢方薬 | 適した状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 十味敗毒湯 | 初期〜中等度ニキビ | 抗炎症・排膿・抗酸化作用 |
| 荊芥連翹湯 | 慢性的な炎症ニキビ | 慢性炎症への適応 |
| 柴苓湯 | 難治・膿腫型・瘢痕期 | 免疫調整・ケロイド抑制 |
| 桂枝茯苓丸加薏苡仁 | 赤紫色の瘀血型ニキビ | 柴苓湯と併用されることが多い |
患者への説明の際は、「何か月で効果が出るか」をあらかじめ伝えることが重要です。 効果判定の目安は3か月で、「3か月で改善がなければ他の漢方に切り替える」という方針を持っておくと患者の脱落を防ぎやすくなります。3か月が条件です。 takeipac.livedoor(https://takeipac.livedoor.blog/archives/28169710.html)
参考資料:ニキビの漢方使い分けの詳細はこちらを参照。
たけい小児科・アレルギー科「ニキビの漢方(その3)」
うらた皮膚科「ニキビの漢方薬」(名古屋市・皮膚科専門医監修)