回転数を2倍にすれば研磨時間は半分になるが歯髄刺激は3倍になる
ラバーポイントは特殊なゴム素材に研磨用の砥粒を配合した歯科用研磨材です。弾力性があり、被研磨物の表面に良くフィットすることで均一な研磨が可能になります。主な構成要素は合成ゴムベースと、その中に含まれるホワイトアランダムやダイヤモンド粒子などの砥粒です。
この構造により、硬い研磨材と異なり歯面や修復物に優しく作用しながらも、効率的に表面を滑らかにできます。
弾力性が高いということですね。
歯科用ハンドピースまたは歯科技工用レーズに装着し、回転させながら被研磨物に断続的に押し付けることで研磨を行います。断続的な接触がポイントで、連続的に強く押し付けると過度の発熱や摩耗の原因となります。形状は円筒形が基本ですが、用途に応じて先端が細くなったタイプや球状のものなど様々なバリエーションが存在します。
研磨対象としては、コンポジットレジン、グラスアイオノマー、セラミック、金属(貴金属合金、非貴金属合金)など多岐にわたります。それぞれの材質に適した砥粒の種類や粒度が設定されているため、対象素材を確認してから選択することが重要です。一般的な歯科医院では、レジン用と金属用を最低限揃えておくと臨床の大半に対応できます。
ラバーポイントの粒度は番手(#)で表され、数字が大きいほど細かい粒子を含みます。一般的な分類として、粗研磨用は#120〜#400程度、中仕上げ用は#1000程度、仕上げ研磨用は#1500以上となります。どういうことなのか?
例えばジーシーの「プレシャイン」は1000番相当のホワイトアランダムを配合した中仕上げ用ラバーポイントで、粒径は10〜20μmです。コシのある合成ゴムを使用しているため従来のシリコーンポイントと比較して耐久性があり、コストパフォーマンスに優れています。6本入りで定価2,400円程度という価格設定は、1本あたり400円となり、複数症例に使用できる耐久性を考慮すれば経済的です。
粒度の選択を誤ると、粗すぎる場合は表面に傷が残り、細かすぎる場合は研磨効率が極端に低下します。基本的な流れは、粗目で形態を整えた後、中仕上げで表面を滑らかにし、最後に仕上げ研磨で光沢を出すという3段階です。
つまり段階的研磨が原則です。
松風のシリコンポイントでは、R1(荒仕上げ:グレー)→R2(中仕上げ:茶)→R3(研磨仕上げ:白)の順に使用すれば、効率よく滑らかな面が得られます。この順番を守ることで、前工程の傷を次の工程で確実に除去でき、最終的な仕上がりが向上します。急いで仕上げ用から始めても、粗い傷は取れず、作業時間が長くなるだけです。
材質別の選び方も重要で、貴金属合金にはグリーン系の細粒タイプ、コバルト・クロムなどの非貴金属合金にはブラック系の粗粒タイプが適しています。セラミックやジルコニアには専用のダイヤモンド配合ラバーポイントを使用すると、効率的に研磨できます。
ラバーポイントの使用において最も重要なのが回転数の管理です。製品ごとに推奨回転数と最大回転数が設定されており、これを超えると危険です。一般的な推奨回転数は22,000rpm程度で、最大回転数は30,000rpmとされています。
指定の最大回転数を超えて使用すると、ラバーポイント自体が破損したり、発熱により歯髄刺激を引き起こしたりするリスクがあります。高速回転は効率的に見えますが、実際には研磨面が粗くなり、修復物にダメージを与える可能性が高まります。
最大回転数は必ず守ることが基本です。
特に注意が必要なのは無注水下での使用です。水をかけずに回転が速すぎたり、ポイントを強く押しつけると、摩擦熱による歯髄刺激が心配されます。無注水・低速回転で表面をなでるように研磨するのが安全です。具体的には10,000〜15,000rpm程度の低速で、軽いタッチを心がけます。
使用前には必ず予備回転を行い、振れがないことを確認することが重要です。半チャックの状態や軸の挿入が不十分だと、回転時に振動が発生し、均一な研磨ができないだけでなく、ポイントが飛び出す危険性もあります。ハンドピースのチャックに確実に固定されているかを目視と手で触れて確認してから使用を開始しましょう。
損傷、変形(錆、表面キズ、曲がり、汚染)等のあるものは使用しないことも重要です。すでに摩耗が進んだラバーポイントは研磨効率が低下するだけでなく、金属部分が露出すると修復物を傷つけます。定期的に状態をチェックし、劣化が見られたら交換するという管理体制を整えておくと、トラブルを未然に防げます。
また、研磨時は断続的に被研磨物に押し付けることが推奨されています。連続的に強い圧力をかけ続けると、発熱や目詰まりの原因となり、研磨効率が低下します。ソフトタッチで断続的に当てることで、ラバーポイントの寿命も延び、仕上がりも向上します。
コンポジットレジンの研磨では、中仕上げ用のラバーポイントから始めるのが一般的です。形態修正後、1000番相当のラバーポイントで表面を整え、その後ダイヤモンドポリッシャーや専用ペーストで最終仕上げを行います。
レジン専用品を使うのが確実です。
ジーシーの「プレシャイン」で研磨後は「ダイヤシャイン」などの仕上げ研磨材に移行することで、天然歯に近い光沢が得られます。この組み合わせは多くの臨床で実証されており、審美性と効率性のバランスが優れています。レジン充填の最終段階で手を抜くと、患者満足度に直結するため、適切な研磨システムの確立が重要です。
セラミックやジルコニアの研磨には、天然ダイヤモンドを配合した専用ラバーポイントが効果的です。一般的なラバーポイントでは研磨効率が低く、作業時間が長くなります。ジルコニア用としては「正宗技 ダイヤモンドラバーポイント」などがあり、粗研磨から仕上げまで段階的に使用します。
金属の研磨では、貴金属合金と非貴金属合金で異なるタイプを選択します。貴金属合金にはグリーン系の細粒タイプが適しており、表面を傷つけずに光沢を出せます。一方、コバルト・クロムやニッケル・クロムなどの硬質合金には、ブラック系の粗粒タイプを使用します。
硬質合金用として「キーストン スーペリアラバーポイント」は、カキ傷を素早く除去して仕上げ研磨ができる製品です。レギュラータイプ(仕上げ用)とブルータイプ(ツヤ出し用)があり、用途に応じて選択できます。サイズは直径6.3mm×全長23.8mmで、20,000rpm以下の回転数で使用します。
パラジウム合金の研磨では、中間研磨と仕上げ研磨の両方に対応できる製品を選ぶと効率的です。「正宗ハイブリッドラバーポイント」は、タッチが柔らかく作業性に優れたラバー製ポイントで、中研磨・中仕上げ作業に向いています。推奨回転数は22,000rpm、最大30,000rpmという設定です。
陶歯や陶材の研磨には、セルフグレーズしたときと同じようなツヤに仕上がる専用ポイントがあります。PA、PB、P2(中粒)、P3(細粒)など粒度の異なるバリエーションから選択し、段階的に使用することで高い審美性が得られます。これらは一般的なレジン用とは異なる組成のため、適材適所の使用が求められます。
ラバーポイントの耐久性は製品により大きく異なります。従来のシリコンポイントと比較して、最新のラバーポイントは耐久性が向上しており、1本で複数症例に使用できるものが増えています。
耐久性は使用コストに直結します。
「正宗ウルトララバーポイント」は、圧倒的な切削力と耐久性を持ち、シリコンポイントの代替品として5回使用しても性能が維持されるとされています。価格は12本入りで設定されており、1本あたりの単価を抑えながらも高い性能を実現しています。
耐久性が高いということですね。
コストパフォーマンスを考える際には、初期購入価格だけでなく、1症例あたりのコストを計算することが重要です。安価でも耐久性が低ければ頻繁に交換が必要となり、結果的に高コストになります。逆に高価でも長寿命であれば、トータルコストは抑えられます。
在庫管理の観点では、本数ではなく症例数で管理するのが効率的です。低単価のレジン用ラバーポイントは余裕在庫を持ち、高単価のジルコニア用は必要時に発注する体制を整えると、在庫リスクとコストのバランスが取れます。使用頻度の高い形状や粒度を特定し、それらを重点的に在庫することで、診療の流れをスムーズにできます。
製品選択の際には、メーカーの推奨使用回数や実際の臨床での耐久性データを参考にします。ジーシーの「プレシャイン」は6本入りで定価2,400円、1本400円という価格設定ですが、従来品より耐久性が高いため、実質的なコストパフォーマンスは優れています。同様の性能を持つ他社製品と比較検討し、自院の症例構成に合った製品を選択することが、長期的なコスト削減につながります。
廃棄のタイミングも重要で、研磨効率が明らかに低下した時点で交換することが推奨されます。摩耗が進んだラバーポイントを無理に使い続けると、作業時間が長くなり、結果的に人件費や診療時間のコストが増加します。定期的な状態チェックと適切なタイミングでの交換が、トータルコストの最適化につながります。
ラバーポイント使用時のトラブルで最も多いのは、回転数の設定ミスによる発熱と歯髄刺激です。特に無注水下で高速回転させた場合、摩擦熱により患者が痛みを訴えるケースがあります。これを防ぐには、使用前に必ずハンドピースの回転数設定を確認し、推奨範囲内であることを確かめる習慣をつけることです。
半チャックによるトラブルも見逃せません。軸が確実に奥まで挿入されていない状態で回転させると、振動が発生し、ラバーポイントが飛び出す危険性があります。装着時には軸を確実に挿入し、手で軽く引っ張って固定を確認してから使用を開始しましょう。この確認作業は数秒で済みますが、安全性は大きく向上します。
研磨中の過度の圧力もトラブルの原因です。強く押し付けすぎると、ラバーポイントの摩耗が早まるだけでなく、修復物にダメージを与えたり、発熱により患者に不快感を与えたりします。ソフトタッチで断続的に当てるという基本を守ることで、これらのリスクを最小化できます。
圧力は最小限が原則です。
使用後の洗浄と滅菌も重要な管理項目です。松風シリコンポイントなど一部製品はオートクレーブ滅菌(134℃ 3分、または121℃ 30分)に対応していますが、すべての製品が滅菌可能とは限りません。製品の添付文書を確認し、滅菌可能であれば適切に処理し、不可能であれば単回使用として廃棄します。感染管理の観点から、この区別は厳格に行う必要があります。
在庫の保管環境も品質維持に影響します。高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所に保管することで、ゴム素材の劣化を防げます。長期保管により硬化や変質が生じた場合は、たとえ未使用でも廃棄する判断が必要です。保管状態の定期チェックを行い、品質管理体制を整えることが、安全な臨床につながります。
スタッフ教育も安全管理の重要な要素です。ラバーポイントの種類と用途、適切な回転数、装着方法、圧力のかけ方などを、新人スタッフだけでなくベテランスタッフにも定期的に再教育することで、院内全体の安全意識が高まります。実際の症例での使い分けを写真や動画で記録し、マニュアル化しておくと、教育効率が向上します。
知らないと治療品質に差が出ます。
Please continue.