歯科でよく使うコーンビームCTが、実は耳鼻科疾患の発見に直結することがあります。
コーンビームCT(CBCT)は、歯科用として普及していますが、その撮影範囲には上顎洞(副鼻腔の一部)が含まれます。 そのため、インプラント治療や根管治療の目的で撮影した画像に、副鼻腔炎や嚢胞が偶然写り込むケースがあります。つまり、歯科のCTが耳鼻科疾患の早期発見につながることがあるということですね。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%A0CT)
コーンビームCTは、0.1mmという非常に細かい空間分解能を持ちます。 これは骨や硬組織の描出に特に優れており、上顎洞底と歯根の位置関係を詳細に評価できる点が耳鼻科医にとっても有用です。 副鼻腔の排泄ルートの細かい構造も確認できるため、手術計画にも活用されています。 nagatomo-ent(https://nagatomo-ent.jp/%E8%80%B3%E9%BC%BB%E7%A7%91%E9%A0%98%E5%9F%9Fct)
耳鼻科専用のコーンビームCTを導入したクリニックでは、撮影から結果の確認まで数分で行えます。 歯科クリニックでも、撮影画像を耳鼻科と共有することで連携がスムーズになります。これは使えそうですね。 fukami-orl(https://www.fukami-orl.com/sinusitis_allergy/ultrasonic/)
歯性上顎洞炎とは、歯が原因で起こる副鼻腔炎(蓄膿症)のことです。 上顎の奥歯(特に第一・第二大臼歯、第二小臼歯)の根尖が上顎洞底に近接しているため、根尖性歯周炎が直接副鼻腔へ波及することがあります。歯根病変が原因の副鼻腔炎という点が、通常の副鼻腔炎と大きく異なります。 sato-clinic(https://www.sato-clinic.jp/special/sub12.html)
注目すべきデータがあります。一側性副鼻腔炎を疑ってコーンビームCT検査を行った52例の調査では、31%(16例)に副鼻腔との関連を疑う根尖性歯周炎が見つかりました。 原因歯として最も多かったのは7番(第二大臼歯)、次いで6番(第一大臼歯)、5番(第二小臼歯)の順でした。 ohisamaclinic(http://www.ohisamaclinic.com/pdf/20131201.pdf)
特に厄介なのは、口腔内の視診では異常がきれいに見えるケースが多いという点です。 これは意外ですね。表面上問題がないように見えても、根尖に慢性的な炎症が潜んでいる可能性があります。コーンビームCTによる画像診断が、こうした「見えない病変」の発見に不可欠です。 ohisamaclinic(http://www.ohisamaclinic.com/pdf/20131201.pdf)
歯科でインプラントや根管治療のためにCTを撮影した際は、上顎洞の状態も積極的に確認する習慣が有効です。副鼻腔に異常を発見した場合は、早めに耳鼻科へ紹介することで患者のQOL向上につながります。 mori-endo(https://mori-endo.com/cooperation/)
副鼻腔炎の診断と治療の関係については、以下の文献が詳しく解説しています。
患者への説明でも重要になるのが被ばく量の話です。耳鼻科用コーンビームCTの被ばく量は0.04〜0.09mSv程度です。 一般的な頭部ヘリカルCTが1.8〜3mSvであることと比較すると、約30分の1以下という非常に低い値です。 kjibi(http://kjibi.net/facillities.html)
さらに驚くべき比較があります。通常の鼻のレントゲンは3方向撮影で0.36mSvですが、コーンビームCTで鼻を撮影した場合はその3分の1以下の被ばく量で済みます。 レントゲンより被ばくが少ない場合があるということですね。 kjibi(http://kjibi.net/facillities.html)
歯科用コーンビームCTでも被ばく量は一般CTに比べて大幅に抑えられています。 妊娠中の患者については、胎児への影響が予想されるのは50mSv以上からとされており、耳鼻科CT1回で0.04mSvという数値は安全域に大きく収まります。 患者に安心して検査を受けてもらうためにも、この数字を覚えておくと役立ちます。 fujishiroshika(https://fujishiroshika.jp/dental_ct.html)
副鼻腔は上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞の4つに分かれています。 このうち篩骨洞と蝶形骨洞は、通常のレントゲンでは確認できません。これが盲点です。 hamacho-ent(https://hamacho-ent.com/cone-beam-ct/)
特に蝶形骨洞の脇には視神経が走っています。 発見が遅れると失明の恐れもあるため、コーンビームCTによる早期発見が非常に重要になります。 歯科でCTを撮影した際に蝶形骨洞周囲に異常陰影があれば、迷わず耳鼻科への紹介を検討すべきです。 machiya-ent(https://www.machiya-ent.com/ct/)
また副鼻腔には、副鼻腔真菌症・副鼻腔嚢胞・副鼻腔腫瘍なども生じます。 これらはレントゲンでは発見が難しく、コーンビームCTがあって初めて正確に診断できる疾患群です。歯科のコーンビームCT画像を読影する際に、これらの可能性も念頭に置くことが重要です。 hamacho-ent(https://hamacho-ent.com/cone-beam-ct/)
耳鼻科領域での見落としリスクについては以下が参考になります。
せんきた耳鼻咽喉科「CT検査(コーンビームCT)」:蝶形骨洞と視神経の関係や副鼻腔腫瘍診断について詳しく解説
歯科と耳鼻科は、扱う領域が一部重なっています。 口腔と鼻腔は上顎洞を介してつながっており、どちらかに病変があれば隣接領域にも影響が出やすい構造です。連携が必要なのは当然です。 mori-endo(https://mori-endo.com/cooperation/)
具体的な連携の流れとしては、以下のステップが有効です。
歯科でインプラント治療を行う際、上顎洞底と歯根の距離はコーンビームCTで1mm単位で把握できます。 この精度が耳鼻科側にとっても有益な情報となり、手術前の情報共有に役立ちます。 cir.nii.ac(https://cir.nii.ac.jp/crid/1390003825205786368)
副鼻腔炎を繰り返す患者の中に、歯原性の原因が潜んでいるケースがあります。 こうした患者では耳鼻科での治療だけでは根本解決にならないため、歯科による根管治療や抜歯が必要になることもあります。歯科と耳鼻科の双方向の連携が、患者の長期的な健康管理に欠かせません。 ohisamaclinic(http://www.ohisamaclinic.com/pdf/20131201.pdf)
歯科と耳鼻科の連携診療の実例については以下が参考になります。
モリデンタルクリニック「耳鼻科との連携診療」:歯科と耳鼻科が診療範囲を共有する理由と連携の必要性を解説
歯性上顎洞炎の診断と治療の詳細については以下をご参照ください。
佐藤クリニック「歯性上顎洞炎外来」:コーンビームCTを用いた歯性上顎洞炎の診断・治療フローを詳しく紹介