あなたの訪問歯科が“医療費削減”の対象になるかもしれません。
介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)は、2015年の介護保険制度改正で創設されました。目的は「要介護状態の予防」と「生活支援サービスの多様化」。この事業は市区町村が主体で、従来の要支援者向けサービス(訪問介護・通所介護など)を、地域の実情に合わせて柔軟に提供できる仕組みです。
つまり、国主導だった介護予防が「地域主導」へと変わったのです。重要なのは、歯科やリハビリ専門職など医療職がこの仕組みに連携できるようになった点です。ここが意外ですね。
2026年現在、東京都内では約7割の自治体が独自メニューを運用中です。市ごとに内容が異なるため、関与の仕方を勘違いすると大きな損失になりかねません。
つまり自治体ごとの制度把握が基本です。
歯科従事者にとって最も関わりが深いのが「介護予防のための口腔機能向上事業」です。行政のデータでは、2024年度に全国で約12万人が利用。歯科衛生士の訪問指導や合同教室が中心ですが、これが総合事業の「介護予防サービスB」に分類されます。
意外なのは、自治体によってはこのプログラムを民間歯科医院が直接受託できるケースがある点です。たとえば大阪府豊中市では、1回の口腔機能向上教室で医院あたり最大2万円の委託費が出ます。
つまり、医院規模に応じた地域活動が実質的な報酬になるわけです。いいことですね。
ただし、受託条件には研修修了などの資格制限があります。研修には期限があります。
日常生活支援総合事業には「生活支援サービス(A型・B型)」があります。A型は介護職員資格者が担い、B型は地域ボランティアや民間企業も参加可能です。近年、B型の活動で「買い物支援と口腔ケアの啓発」を同時に行う取り組みが増えています。
2023年、兵庫県尼崎市では「お口の健康チェックボランティア」が延べ480件派遣されました。これにより介護予防教室への参加率が前年比+18%に。
つまり、口腔ケアが生活支援の入り口になり得るということですね。
歯科医院がこの仕組みに協賛するだけでも地域貢献として高評価を得られます。これは使えそうです。
多くの歯科医従事者が、「介護予防・総合事業は介護施設専用」と誤解しています。実際には65歳以上の介護認定を受けていない高齢者も対象となるケースが多く、地域包括支援センター経由なら歯科の関与も可能です。
また、通所リハや訪問リハとは異なり「医療保険ではなく介護保険外の事業」になるため、レセプト請求の感覚とは異なります。つまり経理処理の考え方も別枠です。
報酬モデルを勘違いすると、支払い遅延が起こりやすいです。注意が必要ですね。
行政との委託契約前には必ず金額と支払サイクルを確認する、これが条件です。
今後、歯科医院が「地域包括支援センター的な役割」を担う動きも始まっています。兵庫県西宮市では、歯科衛生士が介護予防相談の初期担当に入り、医療と介護の情報をデジタル連携。2025年度で参加医院は42件に増加しています。
つまり、歯科が地域包括の入口になる時代が来ているということです。意外ですね。
お口の健康維持は「食べる力=生活支援」。その概念が制度全体に組み込まれつつあります。 もし自院がまだ自治体登録をしていない場合は、地域包括支援センターに参加条件を確認しておきましょう。登録には期限があります。
結論は、歯科が今行動すれば地域の信頼を先取りできる、ということです。
参考:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の概要」
https://www.mhlw.go.jp/kaigo/seido/chiiki/chiiki.html