歯根肉芽腫治療は根管治療が第一選択肢

根管治療で治らない歯根肉芽腫は外科的治療が必要だと思われていませんか?実は94%の症例で適切な根管治療により改善する可能性があります。手術回避と歯の保存を実現するための治療戦略とは?

歯根肉芽腫 治療

歯根肉芽腫治療の3つのポイント要約
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根管治療で94%改善の実績

しっかり根充が出来ている感染根管処置の167症例では、94%が改善しています。

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肉芽腫は繊維質組織の塊

歯根の膿を覆った繊維質のかたまりで、自然治癒しない組織です。

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外科的治療は最後の手段

歯内療法外科の成功率は90%以上ですが、根管治療を先に優先します。


歯根肉芽腫治療の原因と特徴

歯根肉芽腫は、歯根の先端付近に形成される病変で、その発生メカニズムを理解することが治療方針の決定に重要です。根尖部に膿が形成された際、身体の免疫反応によって膿を覆うように繰維質のかたまり(肉芽腫)が形成されます。このプロセスは身体の防御機構の一部ですが、形成された肉芽腫は自然に治癒することはありません。つまり放置しても消失しないため、何らかの治療介入が必須となります。


歯根肉芽腫と同類の病変に歯根嚢胞があります。


両者はレントゲン画像で区別が困難です。


肉芽腫はブヨブヨしたお肉のかたまりであり、嚢胞は汁が入った肉袋のような構造です。最終的な鑑別診断には病理組織検査が必要になりますが、臨床現場ではこの検査を術前に実施することは倫理的に難しい側面があります。確定診断は抜歯や外科手術後の組織採取によってのみ可能です。


症状がないこともあります。患者が無自覚のうちに根尖部に病変が形成されているケースが少なくありません。打診時に軽度の違和感が認められたり、歯肉の膨隆や圧痛が見られることもあります。ただし最初の段階では症状が現れにくいので、定期的なレントゲン検査による早期発見が重要です。


原因は複数考えられます。深い虫歯からの感染、過去の根管治療の不備、被せ物や土台の適合不良からの再感染、歯周病からの波及などが挙げられます。根管治療後に細菌が残存または侵入すると、根尖で炎症が生じ、膿が溜まって肉芽腫が形成される流れが一般的です。


歯根肉芽腫治療における根管治療の効果

根管治療が最初の治療選択肢となるのは、根管内部の感染源を除去することで病変を制御できる可能性が高いからです。根管治療では感染した歯髄や壊死組織を完全に除去し、根管内をきれいに清掃して消毒します。その後、細菌の再侵入を防ぐため根管に薬剤を詰め、被せ物で塞いで根管システムを密閉させるアプローチを取ります。


特筆すべき実績があります。小机歯科医院での11年間にわたる根管治療の予後調査では、しっかりと根充が出来ている感染根管処置の167症例のうち、94%が改善を示しました。これは従来の学説と異なる臨床成績であり、根管治療の有効性を強く示唆しています。多くの教科書では歯根嚢胞は根管治療では治らないと記載されていますが、実際の臨床現場では異なる結果が報告されているのです。


根管治療の成功率は、施術者の技量と使用する治療方法に大きく左右されます。精密な根管治療、特にマイクロスコープを使用した治療では、肉眼では見えない根管の微細構造を視認でき、より完全な感染源の除去が可能になります。根管の複雑な形態を正確に把握し、細菌をすみずみまで除去できるかどうかが治癒の鍵となります。


治療期間に関しては症状の重症度によって異なります。軽度の炎症であれば2~3回の通院で数週間で治まることもありますが、膿が大きく骨の中に広がっている場合には、数ヶ月かけて膿を徐々に減らしていく必要があります。患者は急速な改善を期待するかもしれませんが、現実的には段階的な治癒プロセスを理解することが重要です。


歯根肉芽腫治療で外科的歯内療法が選択される場面

根管治療を先に行った上で、それでも改善しないケースでは外科的歯内療法の出番となります。歯内療法外科では、歯根の先に膿が出来ている場合、基本的には根管治療を行い、それでも治らなければ外科処置を行うという段階的アプローチを取ります。もし根管治療を行わずに歯内療法外科だけ行ったとしたら、一時的には楽になるかもしれません。しかし根管内の感染が残存している限り、抜本的な解決には至らないのです。


外科的治療が必要になる場面は限定的です。石灰化により根管が塞がって器具が感染源に届かない場合、根管内に根の破折や複雑な解剖学的構造があり非外科的な治療では対応困難な場合などが考えられます。つまり通常の根管治療でアプローチできない複雑なケースが外科治療の対象になります。


歯根端切除術は最も一般的な外科処置です。局所麻酔下で歯肉を切開し、歯根先端部の感染部分を外科的に切除して、根管の断面をバイオセラミクスセメント(MTA)で密閉する方法です。


この手術は相当な侵襲性を伴います。


外科的治療の成功率は高いものの、当然ながら侵襲性があります。マイクロスコープを使用した歯根端切除術・逆根管充填の成功率は、専門医が行った場合で90%以上と報告されています。これは従来の方法による成功率約60%と比較して格段に高い水準です。ただし旧来の方法では約60%程度の成功率に留まります。つまり治療技術の進化により成功率が大きく改善しているのです。


これが基本です。根管治療を先に優先し、それで治らない場合に初めて外科的治療を検討するというのが標準的なプロトコールです。


歯根肉芽腫治療における抜歯回避の重要性

従来の臨床現場では、歯根肉芽腫が発見されると抜歯が安易に勧められることが多くありました。しかし現代の歯科医療では、歯の保存を最優先する思想が広がっています。自分の歯を保存することの価値は計り知れません。たとえ歯根に病変があっても、根管治療や外科的歯内療法により保存できる可能性が高いのです。


抜歯してしまうと、その後の選択肢はインプラントやブリッジなどの補綴治療に限定されます。インプラント治療は自費診療で数十万円の費用がかかり、ブリッジも隣接歯を削合する必要があります。自分の天然歯を保存できれば、こうした二次的な治療を回避できるのです。


レントゲンで歯根に黒い影が見えても、必ずしも症状があるわけではありません。無症状で偶然発見された場合、抜歯やインプラント治療を勧められることがありますが、当院では経過観察を推奨することが多く、15年以上問題なく経過している例も報告されています。つまり根尖部の病変が必ずしも治療対象にならないこともあります。


根管治療の予後を長期観察した研究では、根管治療を受けた歯の寿命の中央値は約11年とされています。しかし適切に根管治療が行われた場合、10年後でも症状がなければ抜歯は不要です。長期間良好に経過している症例が多数存在することから、抜歯という判断を急ぐ必要がないのです。


これで納得できます。つまり歯の保存が原則であり、抜歯は最後の手段という認識が重要です。


歯根肉芽腫治療の長期予後と再治療の可能性

適切な根管治療が行われた場合、病変の改善は段階的に進みます。3ヶ月程度で病変の縮小と骨再生がレントゲンで確認されることが多いものの、骨再生のメカニズムは未解明な部分があります。患者は急速な改善を期待することがありますが、現実的には段階的な治癒プロセスを理解することが重要です。


治療1ヶ月後は症状がある患者の約4割が痛みを訴える傾向にあります。3ヶ月後には3割に減少し、6ヶ月後にはほぼ0人となるというデータもあります。つまり痛みの軽減には相応の期間が必要になるのです。


長期経過観察では、10数年以上にわたって経過を追跡している根尖部の黒い病変(歯根肉芽腫)がほぼ変化のないケースが多数存在します。症状がなく安定している場合は、そのままの状態で経過観察を継続することも選択肢となります。つまり不可逆的な状態だけが治療対象ではなく、安定した状態の保持も治療目標の一つです。


根管治療後に症状が再発した場合、再根管治療の検討が必要になります。初回の根管治療でしっかり根充が出来ていない場合、感染源が完全に除去できていないケースがあるからです。この場合、被せ物や土台を除去した上で、根管充填材を除去して再度精密な根管治療を行う必要があります。大臼歯では確実な除去に約3時間を要するなど、相当な時間と技術を必要とします。


良い結果です。つまり初回の根管治療の質が予後を大きく左右するため、最初から精密な治療を受けることが極めて重要なのです。


ケースルクト法根管治療での歯根肉芽腫と歯根嚢胞の鑑別診断と治療成績について説明しています。


歯内療法外科の治療方法と根管治療が先行される理由について詳しく解説しています。


根管治療の予後と長期経過観察における歯根肉芽腫の安定性について記載されています。


日本口腔病理学会による歯根肉芽腫の臨床事項と診断基準が掲載されています。


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