SLA方式3Dプリンターは「精度が高い分、導入コストも高い」と思い込んでいませんか?実は25ミクロン積層ピッチで高精度なのに、工業用SLAの半額以下で導入できる機種も登場しています。
SLA方式(Stereolithography Apparatus)は、液状の光硬化性レジンにレーザービームを1点集中で照射し、1層ずつ積層して立体造形物を作る方式です。 レーザーが「一筆書き」のように走査するため、XY平面での造形面積が広くとれるという特徴があります。 つまり大型の歯列模型や義歯床など、面積の大きな造形物に向いているということですね。 blogs.ricoh.co(https://blogs.ricoh.co.jp/3dp-expert/column/detail16.html)
歯科用途では、積層ピッチを25〜100ミクロンの範囲で設定できるSLAプリンターが主流です。 積層ピッチ25ミクロンはおよそ人間の髪の毛の直径(約70〜80ミクロン)の3分の1以下であり、肉眼では判別できないほどの薄さで積み重ねることができます。 meiboukoushi(https://www.meiboukoushi.jp/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%94%A8%EF%BC%93d%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BCstereo-lithography-apparatus%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E6%A8%A1%E5%9E%8B%E3%81%AE%E7%8F%BE/)
造形の流れは「CADデータをスライスソフトで分割 → レーザー照射で硬化 → プラットフォームに1層ずつ積層 → 洗浄・二次硬化」という工程です。 洗浄と二次硬化は省略できません。後工程は必須です。 i-maker(https://i-maker.jp/blog/sla-method-17339.html)
なお、SLAはDLP方式と混同されることが多いですが、DLPがプロジェクターで「面」照射するのに対し、SLAは「点」照射で走査します。 点で照射する分パワーが集中するため、装置の大型化にも向いており、大判模型の造形がしやすい点が歯科現場での評価ポイントになっています。 dent3d-navi(https://www.dent3d-navi.com/knowledge/type.html)
SLA方式で作製した歯科用モデルのXY平面における寸法誤差は、通常0.1〜0.3%の範囲に収まることが報告されています。 例えば40mmの歯列幅の模型であれば、誤差は最大でも0.12mmほどの計算になります。これはクラウンやブリッジの適合精度として十分に臨床で使用できるレベルです。 meiboukoushi(https://www.meiboukoushi.jp/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%94%A8%EF%BC%93d%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BCstereo-lithography-apparatus%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E6%A8%A1%E5%9E%8B%E3%81%AE%E7%8F%BE/)
ただし、この精度はプリンターのキャリブレーション状態・使用レジン・環境温度などの条件に左右されます。 精度が安定しない状態で量産すると、補綴物の適合不良が続出しかねません。定期的なキャリブレーションが条件です。 meiboukoushi(https://www.meiboukoushi.jp/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%94%A8%EF%BC%93d%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BCstereo-lithography-apparatus%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E6%A8%A1%E5%9E%8B%E3%81%AE%E7%8F%BE/)
Formlabs Form 3などのSLAプリンターではXY解像度46ミクロン・積層ピッチ25〜200ミクロンを実現しています。 矯正アライナー用モデル、サージカルガイド、暫間補綴物など、精度が治療結果に直結するアプリケーションほどSLA方式が選ばれやすい理由はここにあります。 open-dental(https://open-dental.jp/lineup/formlabs-sla-3d%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/)
一方、DLP方式はSLAより若干造形スピードが速い反面、光源からの距離によって硬化精度がわずかに不均一になることがあります。 精度を最優先するなら、SLAのほうが安定しています。これは使えそうです。 shien.co(https://www.shien.co.jp/media/pdf/BK01440p.pdf)
精度を長期間維持するためには、レジンタンクの劣化管理も重要です。Formlabs製品ではレジンタンクの耐用期間が75,000層と規定されており、 それを超えると出力品質が低下するリスクがあります。交換時期を管理するための運用ルールを診療所・技工所内で定めておくことをおすすめします。 open-dental(https://open-dental.jp/lineup/formlabs-sla-3d%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/)
歯科用3Dプリンターの方式別コスト感を整理すると、おおよそ以下のような特徴があります。 dent3d-navi(https://www.dent3d-navi.com/knowledge/choice.html)
| 方式 | 初期費用 | ランニングコスト | メンテナンス性 | 造形スピード |
|---|---|---|---|---|
| SLA | 中〜高 | 中 | やや遅い | |
| DLP | 高め | 中 | 良い | 速い |
| LCD | 安価 | 高い(FEPフィルム交換頻度大) | 低い | 速い |
LCD方式は初期費用が最も安い一方、ランニングコストが高くメンテナンス性が低い点が歯科用途では弱点になります。 一見お得に見えて、長期的な維持コストで差が開くことがあります。痛いですね。 dent3d-navi(https://www.dent3d-navi.com/knowledge/type.html)
工業用の大型SLAプリンターはかつて3,000〜6,000万円が相場でしたが、近年は半額以下のコストで調達できる工業グレードSLAも登場しています。 歯科用途向けではFormlabsのForm 4シリーズが代表的で、歯科向けレジンとセットでの導入が一般的です。 導入前に「どのアプリケーションで使うか」を明確にし、それに合ったレジンと機種を選ぶことが重要です。 pro.mono.ipros(https://pro.mono.ipros.com/pro-site/504/purpose/5040304)
なお、SLA用レジンはFDM用フィラメントより高価なケースが多く、開封後に劣化しやすい性質もあります。 使用頻度が低い歯科医院では、開封済みレジンを無駄にしないための在庫管理が欠かせません。 t-sol.co(https://www.t-sol.co.jp/tech/hardware/3dprinter_fdm-sla-sls/)
参考:歯科用3Dプリンターの造形方式ごとの比較詳細(dent3d-navi.com)
LCDやDLP、SLAなど歯科3dプリンターの造形形式を解説 | dent3d-navi
SLA方式3Dプリンターが歯科臨床で実際に使われている場面は多岐にわたります。主な活用例は以下のとおりです。 open-dental(https://open-dental.jp/news/3201/)
- 🦷 歯列模型の製作:矯正治療計画用や補綴の作業模型として、患者の口腔内を正確に再現
- 📐 サージカルガイド:インプラント埋入の精度を向上させる手術用ガイドの出力
- 🔩 暫間補綴物(テンポラリークラウン):短期間使用する仮歯の迅速製作
- 😁 マウスピース矯正用アライナーモデル:透明矯正装置の元になる高精度モデル出力
- 🦴 義歯床・義歯設計用モデル:大面積造形に強いSLAの特性が活きる場面
技工所への依頼では完成まで数日かかることがありますが、院内にSLA方式3Dプリンターを導入すれば約1時間での製作も可能です。 患者さんへの即日装着がしやすくなるため、治療回数の削減につながります。これは歯科医院の患者満足度向上に直結するメリットです。 dent3d-navi(https://www.dent3d-navi.com/knowledge/3d-printer_dental-technician.html)
また、SLAはDLP方式に比べて造形スピードはやや遅いものの、面積の大きな義歯床模型や複数歯のブリッジ模型を一度にプリントする場面では、SLAの広い積層面積が強みになります。 複数模型を同時出力する場合の時間比較もしっかり検討しておきましょう。 meinandental(https://www.meinandental.com/column/digital_tips/271)
参考:Formlabs社 SLA 3Dプリンター 歯科向け製品ラインナップ(open-dental.jp)
Formlabs SLA 3Dプリンター|製品詳細|歯科用CAD/CAMシステム OpenDental
SLA方式で造形が完了した後は、アルコール(IPA)による洗浄と紫外線による二次硬化が必須です。 この後工程を省いたり不十分にしたりすると、未硬化レジンが残存し、生体適合性の低下や補綴物の強度不足を招くリスクがあります。後処理の品質が造形品質を決めます。 t-sol.co(https://www.t-sol.co.jp/tech/hardware/3dprinter_fdm-sla-sls/)
洗浄に使うアルコール(IPA)は有機溶剤であり、医療機関内での管理が必要です。 適切な換気環境が整っていない小規模歯科医院では、設置場所の選定から安全管理の体制づくりまでを導入前に準備しておく必要があります。 t-sol.co(https://www.t-sol.co.jp/tech/hardware/3dprinter_fdm-sla-sls/)
SLA用レジンは紫外線に弱く、開封後は時間とともに劣化します。 使用頻度が週1〜2回程度の医院では、1リットルボトルを開封してから使い切るまでに2〜3ヶ月かかることも珍しくありません。少量ずつ開封・補充できる小容量パッケージの採用や、使用予定をまとめてバッチ処理する運用が、廃棄ロスを減らすうえで効果的です。 t-sol.co(https://www.t-sol.co.jp/tech/hardware/3dprinter_fdm-sla-sls/)
また、レジンタンクそのものにも耐用期間があります。Formlabsの場合は75,000層が目安とされており、 これを超えるとタンク底面の透明膜(FEP膜)が劣化し、出力精度が低下したり剥離不良が起きたりします。レジンの消費量だけでなく、タンクの積層数も定期的に確認するのが基本です。 open-dental(https://open-dental.jp/lineup/formlabs-sla-3d%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/)
さらに、硬化後の造形物を素手で扱うと、皮膚への刺激リスクがあります。 ニトリルグローブの着用と適切な廃液処理の徹底は、スタッフ全員への教育が欠かせません。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=n-ytWXuqxPY)
参考:SLA方式のデメリット・後処理・材料管理について(t-sol.co.jp)
光造形3Dプリンタの仕組み|メリット・デメリットと選び方! | t-sol.co.jp