診療録管理規定の保存期間と記載事項

歯科医院で診療録管理規定を適切に整備していますか?保存期間や記載義務、電子保存の三原則など、法令違反を避けるために必要な知識を具体的に解説します。あなたの医院は本当に大丈夫ですか?

診療録管理の規定と保存義務

診療録の保存期間は「完結日」から起算される点に注意しましょう


この記事の3つのポイント
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診療録の保存期間は完結日から5年間

最終診療日ではなく治療完結の日から起算されます。 違反すると50万円以下の罰金が科されます。

⚖️
記載不備は個別指導や監査の対象

診療録の記載が不十分な場合、保険診療の返還請求や指導の対象となります。

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電子保存には三原則の遵守が必須

真正性・見読性・保存性を満たさない電子カルテは法令違反となります。


診療録の保存期間と起算日の正しい理解


歯科医師法第23条により、診療録は完結の日から5年間の保存が義務付けられています。この保存期間の起算日が「最終診療日」ではなく「完結の日」である点は、実務上非常に重要です。


完結の日とは、一連の治療が完了した日を指します。例えば矯正治療を3年間継続している場合、治療開始から5年経過しても保存義務は継続します。治療が終了してから初めて5年間のカウントが始まるのです。


また、療養担当規則第9条でも「その完結の日から五年間」と明記されています。つまり、継続的な診療を行っている患者のカルテは、治療終了まで永続的に保管する必要があるということですね。


この規定に違反して保存期間内にカルテを破棄した場合、歯科医師法により50万円以下の罰金が科される可能性があります。実際に個別指導や監査において、保存義務違反が指摘される事例も報告されています。


保存期間の管理を効率化するには、電子カルテシステムの活用が有効です。最終診療日と治療完結日を区別して記録できるシステムを選ぶことで、保存期間の判断ミスを防げます。


厚生労働省「診療録の保存年限に係る現行法令上の規定について」では、保存期間の法的根拠が詳細に説明されています。


診療録の記載事項と法令遵守

歯科医師法第23条および療養担当規則第22条により、診療録に記載すべき事項が明確に定められています。患者の住所、氏名、性別、年齢、病名及び主要症状、治療方法(処方及び処置)、診療年月日は必須記載事項です。


特に注意が必要なのは、診療の都度記載する義務です。後日まとめて記載することは法令違反とみなされます。個別指導では、この「診療の都度」という要件が厳しくチェックされており、入院患者については毎日の記載が求められます。


記載不備が指摘されやすい項目として、画像診断に関する所見があります。歯科エックス線撮影やパノラマ撮影を行った場合、診療録に写真診断に係る必要な所見を記載しなければなりません。単に「撮影実施」と書くだけでは不十分なのです。


厳しいところですね。


また、算定要件として「指導の要点を記載」することが定められている診療報酬項目については、カルテに具体的な指導内容を記録する必要があります。この記載がない場合、算定自体が認められず返還請求の対象となります。


診療録の記載義務違反に対しては、医師法第33条の2により50万円以下の罰金が科される可能性があるだけでなく、不正請求として保険診療の取消処分や返還請求につながるリスクもあります。


複数の歯科医師が同一患者を担当する場合には、責任を明確にするため診療の都度、署名または捺印を行うことが推奨されています。電子カルテの場合は、誰が入力したか記録に残る仕組みが必要です。


厚生労働省「法令上作成保存が求められている書類」では、診療録の記載事項の詳細が確認できます。


診療録管理規定の整備と院内体制の構築

適切な診療録管理を行うには、院内規定の整備が不可欠です。診療録管理規定には、診療録の作成・保管・廃棄に関する具体的な手順、責任者の明確化、アクセス権限の設定、外部保存を行う場合の基準などを盛り込む必要があります。


大規模な医療機関では診療記録管理委員会の設置が推奨されています。委員会では診療録の管理方式、設備・機器の設置、管理のための諸規則等の整備について協議します。小規模な歯科医院でも、管理責任者を明確にし、定期的な点検を行う体制を作ることが重要です。


つまり明確な管理体制が必要ということです。


診療録管理規定には、以下の項目を含めることが望ましいとされています。


📌 診療録の定義と範囲(診療録、検査記録、画像データ、看護記録等)
📌 診療録の作成方法と記載事項
📌 保管方法と保管場所
📌 保存期間と起算日の定義
📌 アクセス権限と閲覧制限
📌 外部持ち出しの禁止と例外規定
📌 電子保存の場合の三原則遵守
📌 個人情報保護に関する規定
📌 開示請求への対応手順
📌 廃棄方法と廃棄記録


診療録管理体制加算を算定する場合は、より厳格な体制整備が求められます。専任の診療記録管理者の配置、中央病歴管理室の設置、疾病統計および退院時要約の作成などが施設基準となっています。


院内規定は作成するだけでなく、職員への周知と定期的な見直しが重要です。年1回程度、規定の内容を確認し、法令改正や運用上の問題点を反映させる必要があります。


規定作成の際には、厚生労働省や医療機関団体が公開しているサンプルを参考にしつつ、自院の実情に合わせたカスタマイズを行うことが効果的です。


診療録の電子保存と三原則の実践

電子カルテを使用する場合、厚生労働省が定める「電子保存の三原則」を遵守する必要があります。この三原則とは、真正性・見読性・保存性の3つを指します。


真正性とは、正当な人が記録し、不正な改ざんや虚偽入力がないことを保証することです。具体的には、ユーザー認証の実施、電子署名やタイムスタンプの付与、アクセスログの記録などが求められます。誰がいつどの記録を作成・修正したか追跡可能な状態を維持することが真正性の確保です。


見読性とは、電子媒体に保存された内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできることです。保存された記録を速やかに画面表示または書面出力できる環境を整備する必要があります。システム障害時にも読み取れる仕組み、例えばバックアップ体制の整備も見読性の一部です。


これは使えそうです。


保存性とは、記録された情報が法令で定められた期間にわたって真正性を保ち、見読可能な状態で保存されることを指します。定期的なバックアップ、媒体の劣化対策、システム更新時のデータ移行などが保存性確保のポイントとなります。


電子保存の三原則を守らない場合、医師法や歯科医師法の保存義務違反として50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、個別指導や監査で指摘を受けた場合、電子カルテシステム全体の見直しを求められることもあります。


クラウド型の電子カルテを導入する場合は、外部保存に関する追加要件も確認が必要です。患者への事前説明、受託事業者の選定基準、データセンターの所在地確認、サービスレベル契約(SLA)の締結などが重要になります。


電子保存の三原則を満たすシステムを選ぶには、ベンダーに対して具体的な確認を行うことが効果的です。アクセス制御機能の仕様、バックアップの頻度と方法、ログの保存期間などを文書で確認しましょう。


厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」では、電子保存の詳細な技術要件が記載されています。


個別指導・監査への備えと記載改善策

個別指導や監査において、診療録の記載不備は最も指摘されやすい項目の一つです。実際に、通報による個別指導のきっかけの約9割が診療録関連だという調査報告もあります。従業員や患者からの情報提供により、突然指導対象となるケースが少なくありません。


意外ですね。


個別指導で指摘されやすい記載不備の典型例として、以下のようなものがあります。


⚠️ 処置内容の記載が曖昧(「通常処置」など抽象的な表現)
⚠️ 画像診断所見の記載が不十分(「X線撮影実施」のみ)
⚠️ 指導管理料算定時の指導内容未記載
⚠️ 算定日の患者状態が不明確
⚠️ 診療日の記載漏れ
⚠️ 署名・捺印の欠落


ごくわずかな記載漏れであっても自主返還(返金)を求められる事例があります。数年分の診療報酬をさかのぼって返還することになれば、経営に大きな影響を与えかねません。


記載改善のための具体的な対策として、テンプレートの活用が有効です。よく行う処置については、必要な記載事項を網羅したテンプレートを作成し、記載漏れを防ぎます。ただし、テンプレートをそのまま使い回すのではなく、個々の患者の状態に応じて修正を加えることが重要です。


定期的な院内監査も効果的な対策です。月に1回程度、無作為に抽出したカルテをチェックし、記載の質を確認します。問題点が見つかった場合は、職員へのフィードバックと研修を実施します。


電子カルテの場合、記載必須項目を入力しないと次の画面に進めない仕組みを設定することで、記載漏れを防げます。アラート機能を活用し、必要な記載が不足している場合に警告を表示する設定も有効です。


個別指導の通知を受けた場合は、速やかに弁護士や医療経営コンサルタントに相談することが推奨されます。持参すべき書類の準備、想定される質問への回答準備など、専門家のサポートを受けることで適切な対応が可能になります。


厚生労働省「令和6年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」では、実際の指摘事例が確認できます。




診療録 B5 社保2号紙 1-2号 1冊入