先発品への変更調剤で処方料が減算されます。
セファレキシンは第一世代セフェム系抗生物質として、歯科領域でも広く使用されている抗菌薬です。ケフレックスカプセル250mgが代表的な先発品として知られていますが、実は現在では薬価面で先発品と後発品の区別がほとんど意味をなさない状況になっています。
ケフレックスカプセル250mgの薬価は31.5円です。これに対して、セファレキシンカプセル250mg「トーワ」やラリキシン錠250mgなど、他社から販売されている製剤も同じく31.5円となっています。通常、後発品は先発品より安価であることが一般的ですが、セファレキシンに関しては薬価が横並びとなっているのです。
つまり、薬価が同一です。
この背景には、セファレキシンが平成28年度薬価改定で「基礎的医薬品」の対象となったことが関係しています。基礎的医薬品とは、保険医療上の必要性が高く、医療現場で長期間にわたり広く使用されて有効性・安全性が確立されている医薬品のことです。これらの医薬品は継続的な市場への安定供給を確保するため、薬価の維持が図られています。
カプセル剤以外にも、顆粒剤や錠剤など複数の剤形が存在します。L-ケフレックス顆粒500mgの薬価は80.9円、セファレキシン顆粒500mg「JG」は80.7円となっており、こちらも価格差はわずかです。セファレキシンドライシロップ小児用50%「日医工」は1gあたり19円と、小児用製剤も用意されています。
製剤選択においては、薬価よりも患者の年齢や嚥下機能、服薬アドヒアランスを優先して考える必要があります。成人であればカプセルや錠剤が便利ですが、小児や嚥下困難な患者には顆粒剤やシロップ剤が適しています。
セファレキシン製剤は基礎的医薬品に分類されていますが、変更調剤に関しては特殊なルールが適用されます。原則として基礎的医薬品は先発品でも後発品でもない独立したカテゴリーとなり、変更調剤の対象外となるはずです。しかし、セファレキシンには例外的な扱いがあります。
平成28年3月31日まで後発医薬品だった品目については、基礎的医薬品に指定された後も引き続き変更調剤が可能とされています。厚生労働省の疑義解釈資料では、「基礎的医薬品であって、それらが基礎的医薬品に指定される以前に変更調剤が認められていたものについては、従来と同様に変更調剤を行うことができる」と明記されています。
変更調剤が可能です。
具体的には、ケフレックスカプセル250mgからセファレキシンカプセル250mg「トーワ」への変更、またはその逆の変更も認められています。ただし、変更調剤を行う際には患者への説明と同意が必要であり、変更後の薬剤料が変更前と比較して同額以下であることが条件となります。
注意すべき点として、基礎的医薬品への変更調剤を行っても、後発医薬品調剤体制加算の計算には含まれません。つまり、薬局の後発品使用率の計算式には反映されないのです。これは基礎的医薬品が「診療報酬における加算等の算定対象とならない」区分に該当するためです。
処方箋に「変更不可」の記載がない限り、薬剤師の判断で変更調剤が可能となります。歯科医師としては、特定の製剤を希望する場合には処方箋に明記する必要があります。逆に、どの製剤でも構わない場合は一般名処方を活用することで、薬局側の在庫状況に応じた柔軟な調剤が可能になります。
また、ケフラールカプセル250mgは別成分(セファクロル)の製剤であり、セファレキシンとは変更調剤の対象となりません。製剤名が似ているため混同しやすいですが、両者は異なる抗菌薬であることを認識しておく必要があります。
ケフレックスとL-ケフレックスは、いずれもセファレキシンを有効成分とする製剤ですが、製剤学的な設計が異なります。この違いを理解することは、適切な処方選択に役立ちます。
ケフレックスカプセル250mgは通常のセファレキシン製剤で、1回250mgを6時間ごと、つまり1日4回の服用が基本となります。半減期が1~2時間と短いため、血中濃度を維持するには頻回投与が必要です。一方、L-ケフレックス顆粒は、セファレキシンにL-リジンを結合させた持続性製剤です。
吸収率が向上しています。
L型製剤の特徴は、腸管からの吸収率が高く、血中濃度をより長く維持できる点にあります。そのため、1日2回の服用で済むという大きなメリットがあります。朝夕食後の服用で済むため、患者のアドヒアランス向上が期待できます。特に日中の服薬が困難な就業患者や、学校に通う小児において、服薬回数の少なさは重要な要素となります。
L-ケフレックス顆粒500mgとL-ケフレックス小児用顆粒があり、小児用は体重あたり1日25~50mg(力価)を2回に分割投与します。重症例や感受性が比較的低い症例では、体重あたり1日60mg(力価)まで増量可能です。成人用のL-ケフレックス顆粒は1回500mg(力価)を1日2回服用します。
ただし、L-ケフレックス顆粒は制酸剤との同時服用を避ける必要があります。制酸剤がL型製剤の吸収を妨げる可能性があるためです。同時服用が必要な場合は、2時間以上の間隔をあけることが推奨されています。
薬価はL-ケフレックス顆粒500mgが80.9円と、通常のケフレックスカプセル(31.5円×4回=126円/日)と比較すると、1日あたりの薬剤費は161.8円となり、やや高めです。しかし、服薬アドヒアランスの向上による治療効果の確実性を考慮すれば、コストパフォーマンスは十分に高いと言えます。
歯科診療における抗菌薬の選択は、感染症の種類や患者の状態によって慎重に行う必要があります。セファレキシンは第一世代セフェム系抗生物質として、歯科・口腔外科領域の感染症に広く使用されています。
セファレキシンが有効な歯科感染症としては、抜歯後感染予防、化膿性唾液腺炎、歯槽膿瘍、蜂窩織炎などがあります。黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌といったグラム陽性球菌に対して良好な抗菌活性を示します。また、大腸菌など一部のグラム陰性桿菌にも効果があります。
アレルギー歴が重要です。
処方前には必ずペニシリン系抗生物質やセフェム系抗生物質に対するアレルギー歴を確認する必要があります。ペニシリンアレルギーがある患者では、セフェム系抗生物質でも交差反応を起こす可能性があります。交差反応率は約5~10%程度とされており、特に重篤なアナフィラキシーの既往がある場合は使用を避けるべきです。
副作用として最も頻度が高いのは消化器症状です。下痢や軟便、吐き気、胃部不快感などが現れることがあります。これは抗菌薬による腸内細菌叢の乱れが原因です。症状が軽度であれば整腸剤の併用で対応できますが、血便を伴う激しい下痢が続く場合は偽膜性大腸炎の可能性があるため、直ちに投与を中止する必要があります。
皮膚症状として発疹やかゆみが出現することもあります。軽度の発疹であれば経過観察可能ですが、広範囲に広がる場合や水疱を伴う場合は、重症薬疹(Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症)への進展を考慮し、速やかに投与を中止して専門医への紹介を検討します。
厚生労働省が発行している「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」では、セファレキシンはアクセス薬として分類されています。アクセス薬とは、基本的な感染症治療に欠かせない、常に入手可能であるべき抗菌薬のことです。歯科診療において第一選択となる抗菌薬の一つとして位置づけられています。
一般名処方は、医薬品の商品名ではなく有効成分の名称で処方箋を発行する方法です。セファレキシンの場合、「セファレキシンカプセル250mg」や「セファレキシン錠250mg」と記載することで一般名処方となります。この方法には診療報酬上のメリットがあります。
一般名処方加算は、処方箋の全体または一部を一般名処方で行った場合に算定できる加算です。後発医薬品のある先発医薬品について、一般名処方を行った場合には1処方箋につき加算が認められています。ただし、基礎的医薬品に分類されているセファレキシンの場合、この加算の取り扱いがやや複雑です。
加算対象になります。
平成28年3月31日時点で後発医薬品として変更調剤が認められていた品目については、基礎的医薬品となった後も一般名処方加算の対象となります。したがって、セファレキシンを一般名処方すれば、処方医は一般名処方加算を算定できます。
薬局側では、一般名処方箋を受け取った場合、在庫している銘柄のセファレキシン製剤を調剤できます。ケフレックスカプセル、セファレキシンカプセル「トーワ」、ラリキシン錠など、複数の選択肢から在庫状況に応じて選択可能です。薬価が同一であるため、どの銘柄を選んでも患者負担額は変わりません。
ただし、剤形を変更する場合には注意が必要です。カプセル剤として処方されたものを錠剤に変更する、あるいは顆粒剤に変更するといった剤形変更は、患者への説明と同意が必要です。特にカプセル剤からL-ケフレックス顆粒への変更は、服用回数が1日4回から1日2回へ変わるため、十分な説明が求められます。
一般名処方を活用することで、薬局での医薬品の欠品や供給不安定時にも、代替品での対応が可能になります。近年、後発医薬品の供給不足が社会問題となっており、特定の銘柄にこだわらない処方は、医薬品の安定供給確保の観点からも重要です。
診療所側でも、薬局からの疑義照会を減らすことができ、業務効率化につながります。特定の銘柄を希望する理由がない限り、一般名処方を活用することは双方にとってメリットがあると言えます。
歯科医師として知っておくべき点は、基礎的医薬品であっても変更調剤が可能な品目があること、薬価が同一であるため銘柄による患者負担の差がないこと、そして一般名処方が診療報酬上も有利であることです。これらの知識を活用することで、より効率的で患者に配慮した処方が可能になります。
厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」
歯科診療における抗菌薬の適正使用に関する最新のガイドラインです。セファレキシンの位置づけや推奨される使用方法について詳しく解説されています。
KEGG MEDICUS セファレキシン製剤一覧
セファレキシン製剤の薬価、添加物、適応症などの詳細な比較情報が掲載されています。
各製剤の特徴を確認する際に有用です。
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