空腹時服用すると胃腸障害リスクが約3倍に跳ね上がります
ポンタール(一般名:メフェナム酸)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一つで、歯科領域において長年使用されている鎮痛薬です。その作用機序は、体内で痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンの合成を抑制することにあります。
つまり、基本的な仕組みですね。
プロスタグランジンはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によって産生されますが、ポンタールはこのCOXの働きを阻害することで鎮痛効果を発揮します。特筆すべき点は、中枢性の鎮痛作用と末梢性の消炎作用の両方を持ち合わせているということです。この特徴により、単に痛みを和らげるだけでなく、炎症そのものにもアプローチできるのです。
歯科臨床における実際の効果を見てみましょう。ポンタールは比較的強い鎮痛作用を有するNSAIDsとして位置づけられており、歯痛や抜歯後の疼痛管理に広く用いられています。医薬品インタビューフォームによると、鎮痛作用が強く、解熱作用もあり即効性が認められることから、急性上気道感染症にも適応があります。
抗炎症作用については比較的弱めです。
このため、炎症を強く抑える必要がある症例よりも、痛みのコントロールを主目的とする場面での使用が推奨されます。歯科医師として処方を検討する際には、この「鎮痛作用は強いが抗炎症作用は中等度」という特性を理解しておくことが、適切な薬剤選択につながります。
実際の臨床現場では、患者さんの痛みの質や強度、既往歴などを総合的に判断して使用します。特にロキソニンなどの第一選択薬が効きにくいケースや、患者さんとの相性が悪かった場合の代替薬として有効な選択肢となるのです。
歯科医師の皆様が最も気になるのは、「ポンタールとロキソニンではどちらが強いのか」という点でしょう。患者さんからもよく聞かれる質問ですが、実は単純に優劣をつけることは困難です。鎮痛薬の効果には個人差が非常に大きく、同じ薬でもAさんには著効してもBさんには効果が乏しいということが日常的に起こります。
どういうことでしょうか?
これは薬物代謝酵素の遺伝的多型や、痛みの種類(炎症性疼痛か神経障害性疼痛かなど)、心理的要因など、複数の因子が関与するためです。
整形外科医の臨床経験に基づくと、ボルタレンの方がロキソニンよりも鎮痛効果が強い印象を持つ医師が多いとされています。一方で、ロキソニンは最高血中濃度到達時間(Tmax)が0.79時間と速く、ボルタレンの2.72時間と比較して即効性に優れています。
ポンタールの位置づけはこの中間的です。
鎮痛効果の強さとしては、一般的にボルタレン>ロキソニン>ポンタール>イブプロフェン≧アスピリンという順序が示されることが多いです。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個々の患者さんでは異なる結果が得られることを念頭に置く必要があります。
歯科臨床での使い分けのポイントをまとめましょう。ロキソニンは即効性が高く、軽度から中等度の術後疼痛に対する第一選択として広く用いられています。一方、ポンタールはロキソニンが効きにくい患者さんや、ロキソニンで胃腸障害が出た患者さんへの代替薬として価値があります。
副作用プロファイルも考慮が必要です。
ロキソニンの副作用発現率は比較的低いとされていますが、ポンタールは下痢の発現率が0.55%とやや高めです。この点を患者指導の際に説明しておくことで、副作用発現時の対応がスムーズになります。
くすりのしおり(ポンタールカプセル250mg)には、詳細な効能効果や用法用量が記載されており、処方時の参考になります。
歯科診療におけるポンタールの適切な処方方法について、具体的に解説します。添付文書に基づく標準的な用法用量は、手術後及び外傷後の炎症及び腫脹の緩解、歯痛の消炎・鎮痛の場合、成人では初回500mg(250mgカプセル2個)、その後6時間毎に250mg(1カプセル)を経口投与するというものです。
年齢や症状により適宜増減しますが、1日最大量は1500mg(6カプセル)までとされています。
空腹時の投与は避けることが強く推奨されています。これは非常に重要なポイントで、NSAIDs全般に言えることですが、胃粘膜保護作用を持つプロスタグランジンの産生を抑制するため、胃腸障害のリスクが高まるからです。
必ず食後服用を患者さんに指導してください。
抜歯後の疼痛管理での実践例を見てみましょう。親知らず抜歯後など強い疼痛が予想される場合、帰宅直後に500mg服用してもらい、その後6時間空けて痛みが再燃した際に250mgを追加服用するという方法が効果的です。痛みが強い場合は4時間毎に服用することも可能ですが、短期間の使用に留めるべきです。
長期投与は原則として避けます。
急性炎症や疼痛の程度を考慮し、原則として同一薬剤の長期投与を避けることが添付文書にも明記されています。仙台歯科医師会の推奨消炎鎮痛薬リストでは、高用量(1日1500mg超)長期投与では定期的肝機能検査が必要とされています。
高齢者への処方には特別な配慮が必要です。代謝・排泄機能が低下していることが多いため、少量から開始し、副作用の発現に特に注意を払うべきです。また、複数の薬を服用している場合が多いため、薬物相互作用のチェックも欠かせません。
患者指導のポイントとしては、めまいや眠気が現れることがあるため、自動車の運転や危険を伴う機械操作には注意するよう伝えることです。また、下痢や腹痛が強い場合は直ちに服用を中止し、連絡するよう指導しておくと、トラブルを未然に防げます。
ポンタールの副作用について、歯科医師として知っておくべき重要な情報をまとめます。総症例12,070例(散剤を含む)の集計では、795例(6.59%)に副作用が認められました。主な副作用は、消化器系の胃腸障害(0.90%)、悪心(0.88%)、下痢・軟便(0.55%)、過敏症の発疹(0.31%)などです。
下痢はポンタールで特に注意すべき副作用です。
これが他のNSAIDsと異なる特徴的な点で、一度ポンタールで下痢を起こした患者さんは、再投与時にも下痢を繰り返すことが多いとされています。このため、過去にポンタールで下痢を起こした患者さんには投与禁忌となっています。初回処方時には必ずこの点を問診で確認しましょう。
重大な副作用としては、頻度は不明ですが以下のようなものがあります。ショック、アナフィラキシー、消化管出血、消化管潰瘍、消化管穿孔、溶血性貧血、無顆粒球症、再生不良性貧血、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性腎障害、ネフローゼ症候群、間質性腎炎などです。
これらは稀ですが重篤です。
空腹時服用による胃腸障害のリスクについて、具体的な数値データは限られていますが、臨床的には空腹時投与で胃腸障害の発現リスクが明らかに上昇することが知られています。添付文書にも「空腹時の投与は避けさせることが望ましい」と明記されています。
患者さんへの説明では、「食事をした後30分以内に服用してください」と具体的に伝えることが効果的です。軽食でも構わないので、何か食べてから飲むよう指導します。また、就寝前に服用する場合は、軽いスナックやビスケットなどを食べてから服用するよう案内するとよいでしょう。
併用注意の薬剤についても把握が必要です。他の解熱鎮痛薬との併用は成分が重複し副作用のリスクが高まります。抗凝固薬(ワーファリンなど)との併用で出血傾向が増強する可能性があります。降圧薬や利尿薬の効果を減弱させることもあるため、これらを服用中の患者さんには特に注意が必要です。
妊娠末期(妊娠28週以降)の女性には投与禁忌となっています。これは胎児の動脈管収縮のリスクがあるためです。妊娠の可能性がある女性患者さんには、問診時に必ず確認し、該当する場合は別の鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を選択します。
歯科診療の現場でポンタールを処方する際、患者さんへの適切な説明と指導が治療効果を左右します。まず服用タイミングについて、抜歯などの外科処置後であれば、帰宅後すぐに食事を摂って初回500mgを服用することを勧めます。麻酔が切れる前に服薬することで、痛みのピークを抑えられるからです。
効果が現れるまでの時間は個人差がありますが、一般的に服用後30分から1時間程度で痛みが和らいでくることが期待できます。ただし、効果を感じなくても勝手に量を増やしたり、服用間隔を短くしたりしないよう、必ず指導しておきます。もし4時間経過しても痛みが強い場合は、まずクリニックに連絡してもらうよう伝えておくと安心です。
副作用の早期発見のために、患者さん自身が気をつけるべき症状を具体的に説明しましょう。「お腹がゆるくなったり、下痢がひどい場合は服用を中止して連絡してください」「発疹やかゆみが出た場合もすぐに教えてください」「めまいや眠気を感じたら、車の運転や高所作業は避けてください」といった具体的な指示が有効です。
痛み止めの減量・中止のタイミングも重要です。
術後2〜3日で痛みが軽減してきたら、服用回数を減らしていくよう指導します。「痛くないのに予防的に飲み続ける必要はありません」と明確に伝えることで、不要な長期服用を防げます。逆に、3日以上経っても痛みが全く改善しない場合は、感染などの合併症の可能性もあるため再診を促します。
アルコールとの併用についても注意喚起が必要です。ポンタールもアルコールも胃の粘膜を荒らす作用があり、併用すると胃腸障害や胃出血のリスクが非常に高まります。処方時に「服用期間中は飲酒を控えてください」と明確に伝えましょう。特に抜歯後は出血リスクもあるため、この点は強調して説明すべきです。
他院で処方された薬との重複を避けるため、お薬手帳の持参を促すことも大切です。すでに他のNSAIDsや痛み止めを服用している場合、成分が重複して副作用のリスクが高まります。初診時や処方時には必ず「他の病院や診療科で薬をもらっていませんか」と確認する習慣をつけましょう。
処方日数については、急性期の痛みに対する短期使用が原則です。通常は2〜3日分、長くても5日分程度の処方に留めるべきです。それ以上の期間、痛みが続く場合は、原因疾患の再評価や他の治療法の検討が必要になります。

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