都内で10年以上の実績があるのに、川越では「新店」として扱われているお店があります。
「パステラリア テンテン」という名前、一度聞くと不思議と耳に残りますよね。この店名には、シェフのキャリアと人間関係が凝縮されています。
「Pastelaria(パステラリア)」はポルトガル語で、スイーツやお菓子を取り揃えたバルを意味する言葉です。料理とお菓子の両方を提供する店のスタイルにぴったりと合っていることから、店名の前半に使われることになりました。一方「Ten.Ten(テンテン)」は、以前の職場でシェフ・市毛せつ子さんがスタッフから呼ばれていたニックネームが由来です。「10年間店長として働いた10(テン)」と「店長のテン」をかけた愛称で、当時のアルバイトスタッフから親しみを込めて呼ばれ続けていたそう。語感がかわいいのも決め手でした。
市毛さんのキャリアは、フレンチシェフとしてのスタートに始まります。東京都文京区白山にあった二つ星フレンチレストラン「ラ・ベル・ドゥ・ジュール」で3年間腕を磨き、その後パティシエへ転身しました。南青山の人気イタリアンレストラン「青山ラピュタガーデン Altomond(アルトモンド)」ではデザート担当として活躍し、日本テレビ「ぐるナイ ゴチになります」のロケが行われた際にはトマトを使ったオリジナルケーキを担当したという経歴も持ちます。つまり、テレビ番組に登場したほどのパティシエが川越で毎日商品を作っているということです。これは意外ですね。
資生堂ビル内のイタリアンレストラン「FARO(銀座)」での勤務を経て、2005年頃に東京・市ヶ谷にカフェレストラン「Pastelaria 五條(パステラリア ゴジョウ)」を開業。10年間にわたり、ランチプレートやパン・ケーキを提供しながら音楽イベントや宴会なども開催する賑やかな場所として愛されていました。その後、東日本大震災による建物の老朽化でやむなく閉店。一時休業を経て、川越に移住し新たな活動拠点を探すことになります。
2022年8月から東京・水天宮のシェアキッチンで販売を再開し、川越のイベントにも出店をはじめました。U\_PLACEの「川越Farmer's Market」や「小江戸川越お芋festival!」などへの出店を重ね、川越での認知度を着実に高めていきます。そして2024年8月29日、埼玉県川越市中原町に念願の実店舗をオープンしました。都内からの長年のファンはもちろん、川越の地域住民にも急速に広まっていきました。実績は新しいお店とは思えないほどです。
パステラリア テンテン 公式サイト(メニュー・営業時間・アクセスなど詳細情報)
お店に通い始めると、まず覚えておきたいのが「3つの定番スイーツ」の存在です。
パステラリア テンテンでは、ガトーショコラ・チーズケーキ・地卵のプリンが「常時提供の定番3品」として位置づけられています。それ以外は季節や仕入れによって変わっていく日替わり・季節限定ラインナップで構成されています。つまり定番3品が基本です。
ガトーショコラは、製法にこだわり抜いた渾身の一品で、仕上げにラム酒を香らせる製法が採用されています。購入後に日を追うごとに濃厚さが増す性質があり、「翌日・翌々日のほうがおいしくなる」という体験談も多く聞かれます。食べるタイミングを分けて楽しむのも、このケーキならではの醍醐味です。チーズケーキは小麦粉不使用で作られており、なめらかな舌触りと濃厚さを持ちながら後味がさっぱりと仕上がっています。小麦アレルギーが気になる方にも相談できる商品です。
地卵のプリンは、地元産の濃厚な卵を使い、甘さに頼らず卵本来の風味を前面に出した仕上がりになっています。「毎回違うお化粧を楽しんで」という説明の通り、トッピングやソースが訪問のたびに少し変化するのも楽しみのひとつ。これは使えそうです。
季節のケーキも見どころのひとつで、12月のショートケーキにはいちごとシャインマスカットが大粒で入っており、スポンジ生地にフルーツを練り込んでピンク色に仕上げるこだわりがあります。756円(税込)という価格帯も、手土産や自分へのご褒美にちょうどよい設定です。モンブランは2024年に「ダントツ1位の人気」を記録したメニューで、下地にガトーショコラを使うという斬新な組み合わせが話題になりました。
クリスマス限定の「サンタルト」はシャンパンを使用した大人向けのケーキとして2025年末に登場し、予約分はすぐに完売するほどの人気を誇ります。このようにシーズンごとに新しい驚きが用意されていますので、定期的に公式Instagramをチェックしておくと、見逃さずに済みます。
パステラリア テンテン 公式Instagram(季節限定メニューや営業情報の最新情報)
「スイーツのお店だから甘いものしかない」と思っていたとしたら、それは大きな誤解です。
パステラリア テンテンは「ブーランジェパティスリー」という業態に分類されます。お菓子とパンの両方を扱うお店という意味で、フランス語のブーランジェ(パン職人)とパティシエ(菓子職人)を合わせた呼び名です。パンや惣菜を一緒に扱うのが原則です。
クロワッサンは発酵バターの香りを楽しめる本格的な仕上がりで、フレンチで鍛えた感覚が活きています。メロンパンは生クリームをふんだんに使った柔らかい小さめのサイズで2個入り324円(税込)。平日の午後13時頃にはすでに売り切れになっていたという報告もあるほどの人気商品です。
米粉パンは「塩パン(ノーマル)」に加え、日替わりで異なるフレーバーが登場します。チーズ、野菜などを使ったものが日によって並び、常連さんが「来るたびに楽しみにしている」と話すほどのリピート率を誇ります。1個216円(税込)という手軽な価格帯も嬉しいところです。
ランチタイム限定の「日替わりキッシュ(486円・税込)」と「フレッシュサンド(540円・税込)」も見逃せません。キッシュはシェフがフレンチ修業時代から作り続けてきた思い入れの深いメニューで、季節の野菜をたっぷりと使っています。フレッシュサンドにはローストビーフやサーモンなどが入る日もあり、野菜・タンパク質・炭水化物のバランスが一皿で整うランチとして支持されています。
これらのパン・惣菜系メニューは、お菓子に興味のない家族や、甘いものが苦手な方へのお土産にもなります。親子で来店してお子さんはメロンパン、親御さんはケーキという買い方もよく見られるそうです。幅広い層に対応できるお店です。
焼き菓子コーナーで存在感を放つのが「おつまみクッキー」シリーズで、これを目当てに来店するリピーターも多くいます。
おつまみクッキーは、チーズ・トマト・ガーリック・のり&わさびといった塩味フレーバーが特徴で、甘いクッキーとはまったく異なるカテゴリに属しています。大人の男性からの支持も高く、おつまみとして実際にビールや日本酒のおともにもなります。驚くことに、このおつまみクッキーは現在でも東京・神田のBARに卸されており、プロの飲食店が認めた商品としての実績があります。つまりプロのお眼鏡にかなった味です。
保存料を使用せず、素材の風味を最大限に活かす製法にこだわっているため、一般的な市販品とは風味の次元が異なります。シェフのフレンチ経験から生まれた「野菜やスパイスをお菓子に活かす」という発想が、このクッキーにも反映されています。
シュトーレンも焼き菓子の人気商品のひとつで、クリスマスに向けて少しずつ食べていくドイツの伝統菓子です。市ヶ谷時代から長年のファンを持つこのシュトーレンは、小麦粉・卵・バター・黒砂糖・イースト・香辛料・アーモンドプードル・栗・いちじく・クランベリー・プルーン・オレンジ・ドライレーズン・ラム酒という豊富な原材料で作られています。大サイズ3,240円(税込)・中サイズ1,620円(税込)・小サイズ216円(税込)の3サイズ展開で、購入してから約1ヶ月日持ちするのも嬉しいポイントです。はがき1枚程度のサイズ感の「小」を試し買いしてみるのも一つの方法です。袋を開けた瞬間に広がる香辛料のスパイシーな香りは「子供には内緒にしたい大人のおやつ」と表現されるほど印象的です。
11月後半から予約受付が始まることが多く、事前に公式Instagramで情報を確認しておくことをおすすめします。期限があります。
人気のお店には、賢く利用するためのちょっとしたコツがあります。知っておくと損しない情報をまとめました。
まず、営業時間は11:30〜18:30で、定休日は水曜日と木曜日です。ただし商品がなくなり次第閉店になることがあります。人気のメロンパンや特定のケーキは、平日午後13時頃にはすでに売り切れになっているという例も報告されています。確実に目当ての商品を手に入れたい場合は、開店直後の11:30〜12:30頃の来店が得策です。
バースデーケーキの注文には10日前までにお店へ直接問い合わせが必要です。これは公式サイトにも記載されている条件で、予約なしでは対応できない場合があります。特別な日のケーキを考えているなら10日前が条件です。シュトーレンやクリスマスケーキなど季節限定の予約商品は、さらに早めの対応が求められる場合もありますので、11月に入ったらInstagramのチェックを習慣にしておきましょう。
支払い方法は現金とPayPayに対応しています。カード払いには対応していない可能性があるため、現金またはPayPayの残高を確認してから来店すると安心です。
お店は現在ワンオペ(シェフ市毛さん1人)での運営が基本となっており、1日に出せるケーキやパンの数量は限られています。姉の伊藤さんが通販や店頭販売のサポートを担っていますが、混雑時には少し待つこともあります。ゆとりある時間帯を選ぶのが気持ちよく買い物できる秘訣です。
アクセスは本川越駅(西武新宿線)西口から徒歩約3分、川越市駅(東武東上線)から徒歩約5分の場所にあります。住所は埼玉県川越市中原町2-7-9 BAUM 1Fです。電話番号は049-227-3829で、事前に確認の電話を入れておくとより確実に来店できます。
川越style「Pastelaria Ten.Ten」詳細レポート(店内の様子・メニュー紹介・シェフのストーリーなど)