ラダー回路を正確に書いても、センサの配置ミスが原因で金属ワーク1個の流出につき数十万円のリワーク費用が発生することがあります。
コンベア搬送のラダープログラムで最初に設計するのは、ワーク(荷物)の存在を検出する「荷有センサ」と、そのON/OFF信号をもとに各コンベアを動かすシーケンスです。 基本的な構成では、入口荷有(X000)・荷有1(X001)・荷有2(X002)といった入力アドレスをセンサに割り当て、コンベア1(Y010)・コンベア2(Y011)などの出力コイルを動作させます。 前方のワークが存在しないことを確認してから次のコンベアへ移動させる、という条件分岐がラダー回路の骨格になります。 mitsubishi-plc(https://mitsubishi-plc.xyz/?p=1542)
金属加工ラインで重要なのは、ワークが「いる」「いない」の判定を誤らないことです。センサが0.5秒以上継続してONになった場合のみコンベアを停止するよう、タイマ回路を組み込む手法が実務では標準的に使われています。 単純にセンサのON/OFFだけでコンベアを止めると、振動や切粉の飛散による誤検知が頻発します。これは避けたいですね。 rsi.jrcnet.co(https://rsi.jrcnet.co.jp/column-plc-ladder/)
タイマの設定時間は搬送速度と部品サイズに依存します。はがきの横幅(約10cm)程度の小型ワークを毎秒30cm で搬送する場合、センサ通過時間は0.3秒前後になるため、タイマ判定を0.5秒にすると正常な通過をロスとして誤判定するリスクがあります。アドレス設計の段階で搬送速度・ワーク長を必ず確認することが基本です。
フローチャートを先に描いてからラダー回路に落とし込む手順が、設計ミスを防ぐ最短ルートです。 4ゾーン構成であれば4つのフローチャートを用意し、それぞれに専用のメモリアドレス(M10〜M49など)とタイマ(T10〜T29など)を割り当てます。アドレスを重複させると回路干渉が起き、コンベアが予期せず誤動作します。 mitsubishi-plc(https://mitsubishi-plc.xyz/?p=1542)
参考:三菱PLC実践講座によるコンベア搬送ラダー回路の具体的なアドレス割り付けと設計例
コンベア搬送システムのラダープログラム作成 – 三菱PLC/シーケンサ
インターロックとは、複数のコンベア間でワークの衝突や詰まりが起きないよう、信号のやり取りで動作を制限し合う仕組みです。 具体的には、下流コンベアにワークがない場合に「搬入可能」フラグを上流に送信し、上流コンベアがそれを受け取って初めて搬出動作を開始します。シンプルに見えますが、これが崩れると連鎖的に詰まりが発生します。 ameblo(https://ameblo.jp/k-ose/entry-11796823080.html)
金属加工ラインでは、ワークが重量物であるケースが多く、コンベア上での衝突は設備破損に直結します。 例えば搬送ベルトのリレー接点が溶着して停止命令を受け付けなかった事例では、ブレーキドラムが過熱し減速機のオイルシールが溶損・出火という重大事故につながっています。 非常停止回路は独立して設計する原則が不可欠です。 fdma.go(https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-146/02/syousaihyou.pdf)
インターロックのラダー設計では「下流が主導権を持つ」パターンが標準です。 コンベア①にワークがない → 上流へ「搬入可」を伝達 → 上流から搬出要求 → コンベア①が搬入完了まで制御、という流れを守ります。この順序が逆になると、上流が勝手にワークを押し出して詰まりや衝突が起きます。 ameblo(https://ameblo.jp/k-ose/entry-11796823080.html)
| 信号の流れ | ラダー上の処理 | リスク |
|---|---|---|
| 下流「搬入可」→ 上流 | 搬入可フラグ(M)をON | 設定漏れで上流が誤起動 |
| 上流「搬出要求」→ 下流 | 搬出要求フラグをON | タイミングずれで衝突 |
| 下流「搬入完了」→ 上流停止 | 完了フラグでコイルOFF | フラグ未リセットで二重起動 |
フラグのリセット忘れは多いミスです。 搬入完了後に完了フラグを確実にOFFにしないと、次のワークが来た際に二重起動となり、コンベアが連続で動き続けるトラブルが発生します。デバッグ時は完了フラグのリセット条件を必ず確認しましょう。 ameblo(https://ameblo.jp/k-ose/entry-11796823080.html)
参考:コンベア搬送インターロック設計のラダー回路パターンと考え方
勝手な私のPLCラダープログラミングルール(搬送回路)
トラッキング制御とは、コンベア上のワークが現在どの区間を通過中かをPLC内のデータとして常時追跡する技術です。 エンコーダやTLセンサから取り込んだパルス信号を使い、ワークの位置情報をデータレジスタ(D)に変換して管理します。これがないと複数コンベアをまたぐワーク管理が破綻します。 nasueidensha(https://nasueidensha.com/tracking-automatic-control/)
具体的には、コンベア1のエンド位置(例:D5765)にデータが書き込まれた時点で、コンベア2の受取ポイント(D6000)に同じデータを転送し、トラッキングを次のコンベアへ引き継ぐ仕組みになります。 コンベア2のエンド位置(D6009)に達したらコンベア3の受取ポイント(D6250)へ転送、という連鎖でラインの長さに関わらず追跡が続きます。 nasueidensha(https://nasueidensha.com/tracking-automatic-control/)
金属加工ラインでワーク種別が混在する場合、このデータに「品種フラグ」を持たせることで、下流工程での振り分けや加工条件の切り替えを自動化できます。これは使えそうです。途中でワークが取り出された場合のトラッキングリセット処理も必須で、取り出し検出ロジックを別途組み込む必要があります。 niwakafa(https://www.niwakafa.com/entry/2021/06/26/%E3%80%90%E4%B8%8A%E7%B4%9A%E7%B7%A8%E3%80%91%E6%90%AC%E9%80%81%E7%89%A9%E9%80%94%E4%B8%AD%E5%8F%96%E3%82%8A%E5%87%BA%E3%81%97%E6%A4%9C%E5%87%BA_%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0)
エンコーダを使わずタイマだけでトラッキングを代替する方法もありますが、コンベア速度が変動する場面では位置ずれが起きやすいです。 搬送速度が±10%変動すると、タイマ換算では10cm以上の位置誤差が生じることもあります。精密加工ラインではエンコーダ入力を原則とするのが安全です。 nasueidensha(https://nasueidensha.com/tracking-automatic-control/)
参考:トラッキングパルス回路とラダープログラムの詳細な設計例
トラッキング自動制御 | 株式会社栄電舎
参考:搬送物の途中取り出し検出(トラッキングシーケンス制御 上級編)
搬送物途中取り出し検出 トラッキングシーケンス制御 – 上級編
金属加工現場では、切粉・ミスト・振動という3つの要因がセンサ誤検知を引き起こします。 特に切粉は光電センサの投受光部を遮ってしまい、ワークが存在しないのに「荷有」とPLCが判断するケースが頻繁に発生します。誤検知が起きると、コンベアが不必要に止まり生産タクトが乱れます。 eonet.ne(http://www.eonet.ne.jp/~anzen/diary2024.html)
タイマ回路を用いたチャタリング対策が基本です。 センサがONになってから0.5秒継続した場合にのみコンベアを停止する、という条件を組めば、一瞬の遮光による誤停止を9割以上防げます。ただし、このタイマ値が長すぎると小型ワークの通過を「停止条件なし」と誤判定するため、ワークの通過時間を実測して設定します。 rsi.jrcnet.co(https://rsi.jrcnet.co.jp/column-plc-ladder/)
センサ誤検知に強い対策をもう一段加えたい場合、三菱電機のiQ Sensor Solutionのような構成では、センサのパラメータをラダーから直接読み書きでき、現場での再調整作業を大幅に削減できます。 センサを交換するたびに手動で感度設定し直す手間が省け、段取り時間が1台あたり15〜30分短縮できるケースがあります。 mitsubishielectric.co(https://www.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/plc/l08253/l08253m.pdf)
🔧 センサ誤検知の主な原因と対策一覧。
センサ種類の選定ミスは後から変えにくいです。 重量物のチェーンコンベアラインでは振動が大きいため、非接触でも検出距離が短い近接スイッチよりも、スポット型光電センサの方が誤検知を抑えやすい場面があります。設備の機械的特性に合わせたセンサ選定をラダー設計と並行して行うのが原則です。 meisei-web.co(https://meisei-web.co.jp/2024-06-26/)
一般的なラダー設計の解説では触れられないことが多い「搬送タクト計測」は、実は金属加工ラインの生産効率改善に直結する強力な機能です。 考え方はシンプルで、ワークが特定センサ区間を通過するのにかかった時間をPLCのタイマで計測し、そのデータをD(データレジスタ)に蓄積します。タクト管理が鍵です。 niwakafa(https://www.niwakafa.com/entry/2022/06/23/%E3%80%90%E4%B8%AD%E7%B4%9A%E7%B7%A8%E3%80%91%E6%90%AC%E9%80%81%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%88%E8%A8%88%E6%B8%AC%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%A4%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%90%AC)
タイマリセットに「立ち上がり否定(LDF命令)」を使う理由は、PLC内でワーク通過時間を正確に区切れるからです。 単純なリセット命令だと、計測の開始・終了がワークの挙動によってズレる可能性があります。特に金属加工ラインで短いワーク(10cm以下)を高速搬送する場合、1スキャン(1〜10ms)のズレが累積して数秒の誤差になることもあります。 niwakafa(https://www.niwakafa.com/entry/2022/06/23/%E3%80%90%E4%B8%AD%E7%B4%9A%E7%B7%A8%E3%80%91%E6%90%AC%E9%80%81%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%88%E8%A8%88%E6%B8%AC%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%A4%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%90%AC)
計測したタクトデータをGOT(タッチパネル)や上位システムに送れば、どのコンベア区間で詰まりやすいかをリアルタイムで把握できます。 例えば工程Aと工程Bの間の搬送タクトが平均より1.5倍かかっていれば、その区間のコンベア速度やセンサ配置を見直す根拠になります。感覚ではなくデータで判断できるのはいいことですね。 niwakafa(https://www.niwakafa.com/entry/2021/06/26/%E3%80%90%E4%B8%8A%E7%B4%9A%E7%B7%A8%E3%80%91%E6%90%AC%E9%80%81%E7%89%A9%E9%80%94%E4%B8%AD%E5%8F%96%E3%82%8A%E5%87%BA%E3%81%97%E6%A4%9C%E5%87%BA_%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0)
タクト計測ラダーを組み込む際は、既存の搬送制御ラダーとアドレス干渉しないよう、計測専用のデータエリア(例:D2000〜D2999)を事前に確保しておくことが重要です。後付けで追加しようとすると既存アドレスと被り、予期しない制御干渉を起こすリスクがあります。設計初期にアドレスマップを整理しておくのが原則です。
参考:搬送タクト計測のラダー回路設計と管理の具体的手法
搬送タクト計測方法とコンベヤによる搬送タクト管理の設計方法 – 中級編