ダラシンTゲルステロイド入っているか効果と副作用

ダラシンTゲルにステロイドは含まれているのでしょうか。歯科医師が知っておくべき成分や使用期間、耐性菌のリスク、適応症について詳しく解説します。

患者への説明に役立つ情報が満載です。


ダラシンTゲルステロイド入っているか

4週間以上使うと耐性菌が出現します


この記事の3ポイント
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ステロイド不含有

ダラシンTゲルはクリンダマイシンという抗生物質のみで、ステロイドは含まれていません

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使用期間は4週間まで

長期使用により5~20%の確率で耐性菌が発生するため、使用期間の管理が重要です

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歯科領域での適応

内服のダラシンカプセルは歯科感染症予防に使用されますが、ゲルは皮膚科領域専用です


ダラシンTゲルステロイド成分の有無

ダラシンTゲルにステロイドは含まれていません。主成分はクリンダマイシンリン酸エステルという抗生物質のみです。


患者さんから「ステロイドが入っているのでは」と質問されることがありますが、これは誤解です。ダラシンTゲルは化膿性炎症を伴うざ瘡(ニキビ)に対して、アクネ菌やブドウ球菌を殺菌する目的で使用される外用抗生物質製剤になります。1gあたりクリンダマイシンとして10mg(力価)を含有しており、添加物としてアラントイン、カルボキシビニルポリマー、パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコール、マクロゴール400、pH調節剤が配合されています。


ステロイド成分は一切含まれていないため、ステロイド特有の副作用である皮膚萎縮や毛細血管拡張、酒さ様皮膚炎などの心配はありません。


つまり安心して使用できます。


ただし、抗生物質であることから別のリスクが存在します。


それは耐性菌の問題です。


ダラシンTゲルを不適切に使用すると、クリンダマイシンが効かないアクネ菌が出現する可能性があります。日本では5~20%の割合で耐性菌が存在するというデータがあり、海外では50%を超える国もあります。


KEGGの医薬品情報には、ダラシンTゲルの詳細な成分情報が記載されており、添付文書の確認に役立ちます。


患者への説明では、「ステロイドではなく抗生物質なので、長期間使い続けると効かなくなる可能性がある」と伝えることが重要です。どういうことでしょうか?


抗生物質は細菌を殺す薬ですが、同じ薬を長く使い続けると細菌が薬に慣れてしまい、効果が薄れてしまうのです。


これを耐性菌の発現と呼びます。


4週間を目安に使用期間を区切ることで、このリスクを最小限に抑えることができます。


ダラシンTゲル効果と使用期間の関係

ダラシンTゲルの効果が現れるまでには1週間程度かかります。臨床試験では4週間の使用で炎症性ニキビが約58%減少したというデータがあります。


効果の実感には個人差がありますが、平均すると1ヶ月の使用で赤ニキビは半分程度まで減少します。ただし、すでに耐性菌を持っている患者さんでは、このような効果が得られないこともあります。日本では80~95%の人に効果があるとされていますが、逆に言えば5~20%の人には効果が限定的ということです。


使用期間については添付文書で明確に規定されています。本剤の使用にあたっては4週間で効果が認められない場合には使用を中止すること、また炎症性皮疹が消失した場合には継続使用しないことが記載されています。これは耐性菌の発現を防ぐための重要な指針です。


実際の臨床では、1日2回洗顔後に患部へ適量を塗布する使い方が基本となります。


刺激感は少ないです。


ゲルタイプは粘り気のある性状で、乾燥している肌や狭い範囲の病変に適しています。一方、ローションタイプは広範囲や脂性肌に向いていますが、乾燥しやすいという特徴があります。使用感の違いはありますが、効果自体に大きな差はありません。


効果判定のタイミングも重要です。2~3日で効果がないと判断してやめてしまう患者さんもいますが、最低1週間は使用してから効果を評価するべきです。逆に1ヶ月使っても全く効果が見られない場合は、耐性菌の可能性を考えて治療方針を見直す必要があります。


ダラシンTゲル副作用と耐性菌リスク

ダラシンTゲルの副作用は比較的少ないものの、いくつかの注意点があります。主な副作用としてかゆみ、発赤、蕁麻疹、刺激感、ヒリヒリ感、つっぱり感などが報告されています。


ディフェリンゲルやベピオゲルなどの新しいニキビ治療薬と比較すると、ダラシンTゲルの副作用発現率は低いとされています。しかし副作用がゼロではないため、使用中に赤みやかぶれが日に日に悪化する場合は、すぐに使用を中止して医師に相談する必要があります。


最も注意すべきは耐性菌の問題です。ダラシンTゲルを長期間使用すると、クリンダマイシンに対する耐性を持ったアクネ菌が出現する恐れがあります。


厳しいところですね。


耐性菌が発生すると、ダラシンTゲルだけでなく他のクリンダマイシン系抗生物質の効果も低下してしまう可能性があります。このため、不必要に広範囲へ塗布したり、ニキビが治った後も予防目的で使い続けたりすることは避けるべきです。


日本歯周病学会の抗菌薬適正使用ガイドラインでは、抗菌薬の適正使用について詳しく解説されており、耐性菌対策の重要性が強調されています。


患部以外への塗布も問題です。ダラシンTゲルは炎症を伴うニキビにのみ効果があり、白ニキビや黒ニキビには効果がありません。患部以外に塗ると、皮膚の常在菌(善玉菌)まで殺してしまい、肌のバランスが崩れてかゆみやかぶれを引き起こす可能性があります。


妊娠中や授乳中の使用については、妊婦または妊娠している可能性のある女性には使用しないことが望ましいとされています。治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討する必要があります。


目や口唇、粘膜、傷のある皮膚には使用できません。


これは基本です。


ダラシンTゲル歯科領域での使用と適応

ダラシンTゲルは皮膚科領域の外用薬ですが、同じクリンダマイシン系薬剤として内服薬のダラシンカプセルが歯科領域で使用されることがあります。


歯科での主な用途は感染性心内膜炎の予防投与です。抜歯やインプラント手術など、出血を伴う侵襲的な歯科処置の際に、ペニシリンアレルギーがある患者さんに対してクリンダマイシン(ダラシン)が第一選択薬の代替として使用されます。具体的には、処置の1時間前にクリンダマイシン300~600mgを単回投与する方法が推奨されています。


厚生労働省の抗微生物薬適正使用の手引き(歯科編)には、歯科領域における抗菌薬の適切な使用方法が詳しく記載されています。


ただし、ダラシンTゲルそのものを口腔内に使用することは適応外です。


口腔粘膜への塗布は推奨されていません。


歯性感染症の治療においても、クリンダマイシンは重要な位置づけにあります。特に顎骨周辺の蜂巣炎や顎炎など、嫌気性菌が関与する重度の歯性感染症に対して、クリンダマイシンは効果を発揮します。ペニシリン系抗生物質が第一選択となる軽度~中等度の歯性感染症に対し、ペニシリンアレルギーがある場合の代替薬としても使用されます。


歯科医師として知っておくべき点は、クリンダマイシン注射剤は歯科口腔外科領域において標準的療法として推奨されているということです。開口障害や嚥下困難を伴い経口投与が困難な重症例では、注射剤の使用が検討されます。


しかし、ダラシンTゲルを歯科治療に流用することは適切ではありません。皮膚科領域専用の製剤であることを理解し、歯科での抗菌薬使用には適切な剤形と用量の薬剤を選択する必要があります。


患者さんから「歯医者でもらった薬と名前が似ている」と質問されることがありますが、同じクリンダマイシン系でも剤形や適応が異なることを説明しましょう。


ダラシンTゲル処方時の注意点と代替療法

ダラシンTゲルを処方する際には、いくつかの重要な注意点があります。


まず処方量についてです。10g規格のダラシンTゲル1本の薬価は約226円(3割負担で約68円)となっています。一般的には1回の処方で1~2本程度が妥当とされていますが、塗布面積や使用頻度により必要量は変わります。治療上必要最小限の範囲にとどめることが原則です。


処方制限については明確な規定はありませんが、添付文書では「本剤を塗布する面積は治療上必要最小限にとどめること」「4週間で効果が認められない場合には使用を中止すること」と記載されています。


厳密に守ってください。


ダラシンTゲル単独での治療は、現在では推奨されていません。抗生物質単独使用は耐性菌を生み出すリスクを高めるためです。最近のニキビ治療では、ディフェリンゲルやベピオゲルなどの他の外用薬との併用が基本となっています。


代替療法としては、以下のような選択肢があります。まずナジフロキサシン(アクアチム)やオゼノキサシン(ゼビアックス)といった他の外用抗菌薬です。特にゼビアックスはダラシンやアクアチムより抗菌力が高いとされています。また過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)やアダパレン(ディフェリンゲル)との併用も効果的です。


重症例や難治性のニキビに対しては、ケミカルピーリング、光治療、ホルモン療法、イソトレチノイン治療(アキュテイン)などの選択肢も検討されます。


これは使えそうです。


保管方法も重要です。ダラシンTゲルの使用期限はゲルタイプで21ヵ月、ローションタイプで3年です。室温保存が可能ですが、直射日光や高温多湿を避けて保管する必要があります。開封後は速やかに使用し、使用期限を過ぎたものは使用しないでください。


患者指導では、正しい使用方法を丁寧に説明することが大切です。洗顔後に化粧水で肌を整えてから、炎症のあるニキビにのみピンポイントで塗布すること、顔全体に広げないこと、ニキビが治ったら使用を中止することを強調しましょう。


市販薬との併用については注意が必要です。他のニキビ治療薬や化粧品との併用により、刺激が強くなったり効果が減弱したりする可能性があります。併用する場合は必ず医師や薬剤師に相談するよう指導してください。


ダラシンTゲルは古くから使われている薬で、副作用が少なく使いやすいという利点がありますが、耐性菌のリスクという大きな欠点も抱えています。適切な使用期間と使用方法を守り、必要に応じて他の治療法と組み合わせることで、より効果的で安全なニキビ治療が実現できます。