技工物を外注しなくても、ブラケットの精度は十分に確保できます。
歯科情報
ダイレクトワイヤリング、正式にはダイレクトボンディングシステム(Direct Bonding System:DBS)とは、矯正医が患者さんのお口の中で直接、一歯ずつブラケットを歯面に接着していく方法です。ワイヤー矯正における最もスタンダードな装着手法であり、国内の多くの矯正歯科医が日常臨床で採用しています。
ブラケットはワイヤーの矯正力を歯に伝えるいわば「ハンドル」の役割を担います。つまり、DBSはその司令塔を歯に取り付ける、治療の起点となる重要なプロセスです。手順としては、①歯面の研磨・清掃 → ②防湿 → ③エッチング → ④ボンディング材の塗布 → ⑤ブラケットの圧接・位置調整 → ⑥光重合による硬化、という流れで進みます。
特に④⑤のステップでは、接着剤が硬化する前の短い時間内でブラケットポジションを確定させる必要があります。技術的な難易度が高い工程ですが、その分リアルタイムでの微調整が可能という大きな強みがあります。これがDBSの根本的な特長です。
カルテへの記録は「DB」「DBS」と表記するのが一般的で、例えば「上顎7-7 DBS」と記載すれば上顎全歯へのブラケット装着を意味します。ブラケットを付け直した場合は「ReSet」「ReBond」と記載し、治療経過を正確に追跡できます。記録の習慣化が、後の調整をスムーズにします。
歯科矯正のブラケット装着方法(DBS)の記録例と関連用語について詳しく解説されたページです。カルテ表記の標準化に活用できます。
DBSの最大のメリットのひとつが、事前に技工物を作製する必要がまったくないという点です。インダイレクトボンディング法(IDBS)では、トランスファートレーの設計・製作に外部技工所への依頼が必要になることが多く、1症例あたりの技工費用・時間コストが上乗せされます。対してDBSは、ブラケットとボンディング材があれば即座に治療を始められます。コストゼロというのは、経営面でも大きな利点です。
診療効率の面でも優れています。外部技工所へのデータ送付・納品待ちというロスタイムが生じないため、患者さんへのスムーズな治療開始が実現します。検査終了から