シャープニングし過ぎたキュレットを使うと歯根面を削り過ぎます。
キュレットスケーラーの中で最も使用頻度が高いのはグレーシータイプです。このスケーラーは部位ごとに使用する番号が明確に決められています。グレーシーキュレットは片刃構造で、刃部の先端片側のみに刃がついているのが大きな特徴です。
番号は#1から#14まであり、それぞれが特定の歯や部位に最適化されています。
つまり番号が違うということですね。
前歯部には#1〜#4、前歯部及び小臼歯部には#5-6、大臼歯部頬舌面には#7-8、大臼歯部頬舌面及び根分岐部には#9-10、大臼歯近心部には#11-12、大臼歯遠心部には#13-14を使用します。
各スケーラーのシャンクの角度や刃の湾曲度は、その部位の歯根形状に合致するよう精密に設計されています。例えば大臼歯の遠心面は奥まった位置にあり、直線的なスケーラーでは到達しにくいため、#13-14はシャンクが複屈曲した形状になっています。この部位特異性が理解できれば、番号選択の迷いは大幅に減少します。
歯科衛生士国家試験でもグレーシーキュレットの使用部位は頻出項目です。臨床では4〜7本のスケーラーを使い分ける必要があるため、番号と部位の対応関係を正確に記憶しておくことが作業効率に直結します。間違った番号を使用すると、歯石除去の効率が悪いだけでなく、周囲組織にダメージを与えるリスクも高まります。
こちらの記事ではスケーラーの種類と使用部位について詳しく解説されています
歯科衛生士の間で広く使われているのが「イッサハイニゴロゴロ」という語呂合わせです。これはグレーシーキュレットの番号を覚えるための最強ツールとして知られています。イッサは13、ハは8、イニは12、ゴは5、ロは6を表しています。
この語呂合わせの優れている点は、始点となる番号だけを覚えれば良いところです。右上は頬側遠心から、左上は口蓋遠心から、右下は舌側遠心から、左下は頬側遠心から、というスタート地点の部位さえ把握しておけば、対になる偶数番号(12、9、11、6、5)は奇数番号の反対側であることがわかります。
これで暗記量が半分になりますね。
国家試験前の学生にとって、限られた時間で多くの情報を記憶する必要があります。語呂合わせは短期記憶から長期記憶への定着を助ける効果的な手法です。声に出して何度も唱えることで、試験本番でも自然と思い出せるようになります。実際に多くの歯科衛生士が就職後の臨床現場でも、この語呂合わせを頭の中で唱えながらスケーラーを選択しています。
さらに語呂合わせと一緒に実際のスケーラーを手に取り、視覚と触覚を組み合わせることで記憶の定着率が向上します。教科書の図だけでなく、実物のシャンクの角度や刃の向きを確認しながら語呂合わせを繰り返すと、より実践的な知識として身につきます。
サンスターのこちらのページでは国家試験対策の語呂合わせが詳しく紹介されています
スケーラーの番号を見分ける際に重要なのは、第一シャンクとカッティングエッジの関係性を理解することです。グレーシーキュレットは第一シャンクに対してブレードが70度の角度でついています。この設計により、第一シャンクを歯面(歯軸)に平行に合わせるだけで、刃部が自動的に適正角度になる仕組みです。
偶数番号と奇数番号の見分け方にもコツがあります。スケーラーの先端を自分の方に向けて持ち、目視で確認する方法が基本です。カッティングエッジが左側にあるか右側にあるかで、どちらの番号かを判断できます。ただし数字で判断しても、最終的には目で確認することが必要なので、この視覚的な見分け方も並行して習得しておくべきです。
近遠心用の見分け方では、シャンクの湾曲度合いに注目します。近心用(#11-12)は比較的シャンクがストレートに近く、遠心用(#13-14)はシャンクが大きく湾曲しています。遠心面は歯列の奥に位置するため、アクセスしやすいよう設計されているのです。この形状の違いを手の感覚で覚えると、番号表示を見なくても識別できるようになります。
臨床現場では複数のスケーラーが並んでいる状態で瞬時に選択する必要があります。そのため番号だけでなく、シャンクの角度、刃の向き、全体のシルエットといった複数の視点から見分けられるようになることが作業効率を高めます。見分け方の工夫として、よく使う番号にカラーテープを貼る、専用のトレイに位置を固定するといった方法も有効です。
キュレットスケーラーには大きく分けてユニバーサルキュレットとグレーシーキュレットの2種類があります。ユニバーサルキュレットは両刃で、先端の両側に刃がついているため、多くの歯面に対応できます。一方、グレーシーキュレットは片刃で部位特異性があり、より精密な作業に適しています。
ユニバーサルキュレットはあらゆる歯の表面に適応しますが、深い歯周ポケットではグレーシーキュレットのほうが効果的です。グレーシーキュレットは特定部位に最適化されているため、深さ5mm以上の歯周ポケットや複雑な形状の歯根面での歯石除去に威力を発揮します。刃が片側だけなので、歯肉を傷つけるリスクも低減できますね。
使い分けの基準としては、まず歯肉縁上の粗い歯石除去にはシックルタイプスケーラーを使用し、歯肉縁下3mm以下の浅い部分ではユニバーサルキュレットが適しています。それより深い部分や、根分岐部、最後臼歯の遠心面といった難易度の高い部位では、必ずグレーシーキュレットの該当番号を選択します。
臨床では歯石の付着状況、固さ、位置によって複数のスケーラーを組み合わせて使用します。例えば初めに超音波スケーラーで大まかな歯石を除去し、次にグレーシーキュレットで仕上げるという流れが一般的です。使い分けの判断力は経験とともに向上しますが、基本的な原則を理解しておくことで、新人歯科衛生士でも適切な選択ができるようになります。
キュレットスケーラーの切れ味維持にはシャープニングが不可欠ですが、研ぎ過ぎには注意が必要です。シャープニングで刃を削り過ぎると、ブレードが細くなり強度が低下します。細くなったスケーラーは折れやすく、最悪の場合、患者の歯周ポケット内で刃が折れてしまう医療事故につながります。
シャープニングの頻度は使用状況によって異なりますが、毎日行う必要はありません。多くの歯科衛生士は使用後にまとめて2日に1回程度の頻度でシャープニングを行っています。切れ味が鈍ったと感じたタイミングで行うのが基本ですが、定期的なメンテナンスとして予防的にシャープニングすることで、一度に削る量を減らせます。
こまめに研ぐのが長持ちの秘訣です。
シャープニングの角度設定も重要なポイントです。キュレットタイプスケーラーの側面の角度は70〜80度を維持する必要があります。この角度を保つことがスケーラーの性能を最大限に発揮させる条件です。角度が大きくなり過ぎる傾向があるため、シャープニングストーンとの接触角度を常に意識しながら作業します。
スケーラーの寿命は主に研ぎ方で左右されます。正しいシャープニング技術を身につければ、一本のスケーラーを長期間使用できます。逆に間違った方法で研ぐと、短期間で使えなくなってしまいます。シャープニング後は必ずテストスティックで切れ味を確認し、適切な角度が維持されているかチェックする習慣をつけることで、スケーラーの適正な状態を保てます。
シャープニングの際には、刃部全体を均一に研ぐことも大切です。一部だけを集中的に研ぐと、刃にガタガタができてしまい、スムーズなストロークができなくなります。ストロークの回数を決めて、シャープニングストーンの全表面を使うように心がけると、溝の発生を防げます。
グレーシーキュレットの最大の特徴は、第一シャンクの角度管理にあります。第一シャンクとブレード内面の角度は70度に設計されており、この設計思想を理解することで操作が格段に楽になります。臨床での操作時は、第一シャンクを常に意識することが成功の鍵です。
操作の基本手順として、まず第一シャンクをインスツルメンテーションする面に平行に配置します。すると自動的にカッティングエッジが歯面に適切な角度で当たる仕組みです。この70度という角度は、歯石を効率的に除去しながら歯根面を傷つけない最適値として設計されています。
原則として覚えておけばOKです。
挿入時には0度挿入を行い、ポケット内にスムーズに挿入することが重要です。グレーシーキュレットは片刃なので、刃のない側を歯肉側に向けることで、歯肉を傷つけることなく深部まで到達できます。挿入後、第一シャンクを歯頸部に添わせながら角度を調整し、作業角度である70〜80度に設定します。
角度が85度を超えると作業効率は悪くなります。逆に角度が小さすぎると歯根面を削り過ぎてしまうリスクが高まります。このバランスを保つために、第一シャンクの位置を常に確認しながら操作を進めます。把持している親指と人差し指を少しずつ回転させながら、1〜2mmのストロークで歯頸線に沿って隣接面へ移動させると、歯の湾曲に沿った適切な操作ができます。
ポジショニングも角度管理に大きく影響します。術者の姿勢や患者の頭部の位置を適切に設定することで、第一シャンクを目的の角度に保ちやすくなります。フロントポジション、サイドポジション、バックポジションを使い分け、それぞれの部位で最も第一シャンクを平行に保ちやすいポジションを選択することが、疲労軽減と作業精度向上の両方につながります。