アーチレングス靴の選び方で医療従事者の足疲労軽減

歯科医療従事者の多くが靴選びで見落としている「アーチレングス」という重要な指標をご存知ですか?長時間の立ち仕事による足の疲れや腰痛、その原因は靴のサイズ選びにあるかもしれません。足長だけでは不十分な理由と、プロが知るべき正しい靴選びの基準について詳しく解説します。適切な靴は診療パフォーマンスにどう影響するのでしょうか?

アーチレングス靴の選び方

足長だけで靴を選ぶと拇趾球の位置がズレて腰痛の原因になります。


アーチレングス靴選びの3つのポイント
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アーチレングスの正確な測定

かかと後端から親指の付け根(拇趾球)までの長さを測り、靴の屈曲点と足の屈曲部を一致させることが重要です

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医療現場に適した靴の機能

クッション性、アーチサポート、滑りにくいソールを備えた靴が長時間の立ち仕事による疲労を軽減します

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足指の長さによる調整

足指が標準より短い方は表示サイズより大きめを、長い方は調整が必要で個人差への対応がカギとなります


アーチレングスと足長の違いを理解する測り方


歯科医療従事者の皆さんは、普段の靴選びで「足長」だけを基準にしていませんか。実は足の大きさを測る指標には「足長」と「アーチレングス」という2つの重要な数値があり、どちらか一方だけでは正しい靴選びはできません。足長とは、かかとの後端から最も長い足指の先端までの距離を指します。一方、アーチレングスはかかとの後端から親指の付け根(拇趾球)の中心までの長さのことです。


足長が同じ25.0cmの方でも、足指の長さには個人差があります。足指が短めの方と長めの方では、アーチレングスの数値が異なるのです。靴職人の世界では古くから、アーチレングスこそが靴のフィッティングで最も重要な指標だとされてきました。


なぜアーチレングスが重要なのでしょうか。


靴には足指の付け根あたりに「屈曲点」という曲がりやすい場所が設計されています。歩行時、足も同じく拇趾球あたりで曲がります。この2つの位置が一致していないと、靴が正しく曲がらず、足に余計な負担がかかってしまうのです。歯科診療中に患者さんの周りを動き回る際、違和感や疲労を感じるのはこのミスマッチが原因かもしれません。


アーチレングスを測るには、かかとをしっかり床につけた状態で立ち、体重を均等に両足にかけます。かかとの一番後ろから、親指の付け根の膨らんでいる部分(拇趾球)の中心までをメジャーで測定してください。この測定は専門店のフィッティングサービスを利用するとより正確です。スポーツ用品店や健康靴専門店では、足型測定機器を使ったサービスを提供しているところもあります。


足のサイズの正確な測り方については、こちらの詳細ガイドが参考になります


歯科医療従事者のアーチレングス靴選びが健康に与える影響

歯科衛生士や歯科医師の方々は、1日平均6~8時間も立ちっぱなしで診療を行います。足に合わない靴を履き続けると、足の疲労だけでなく、腰痛、膝痛、肩こり、さらには頭痛まで引き起こす可能性があるのです。意外に思われるかもしれませんが、足元の問題が全身の健康に波及していくのです。


アーチレングスが合っていない靴を履くと、どのような問題が起こるのでしょうか。


足の拇趾球と靴の屈曲点がずれていると、歩行時に足が靴の中で前滑りしてしまいます。すると本来足を入れてはいけない「捨て寸」の部分にまで足が滑り込み、つま先が靴の先端に当たって圧迫されます。外反母趾、内反小趾、巻き爪、タコ、マメといった足のトラブルはここから始まるのです。


さらに深刻なのは、足のアーチ構造が崩れることです。足には縦アーチと横アーチという2つのアーチがあり、これらが体重を支え、地面からの衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。合わない靴を履き続けると、このアーチが潰れて扁平足や開張足になり、足裏全体で体重を支えられなくなります。その結果、足の疲労が蓄積し、診療中の集中力低下にもつながります。


医療現場で働く方々の約60~70%が腰痛に悩まされているというデータもあります。長時間の立ち仕事に加え、前かがみの姿勢で細かい作業を行う歯科医療従事者は特にリスクが高いと言えます。足元から姿勢のバランスが崩れると、腰への負担が増大するのです。アーチレングスを考慮した靴選びは、こうした職業病のリスクを減らす第一歩となります。


リカバリーシューズという概念も広まってきています。


医療従事者向けのリカバリーシューズについては、こちらの記事で詳しく解説されています


アーチレングス靴のサイズ表示と実際の選び方の違い

靴屋さんで「25.0cm」と表示された靴を見て、足長が25.0cmなら必ず合うと思っていませんか。実はこの認識が、多くの方が靴選びで失敗する最大の原因です。靴のサイズ表示には、革靴やカジュアルシューズとスニーカーで大きな違いがあることをご存知でしょうか。


革靴やカジュアルシューズのサイズ表示は、「アーチレングス+標準的な足指の長さ」を表しています。つまり25.0cm表示の革靴は、アーチレングスが約22.0cm前後の方を想定して作られているのです。ところがスニーカーやスポーツシューズの多くは、靴の内側の全長(ラストの長さ)をサイズとして表示しています。同じ25.0cm表示でも、革靴とスニーカーでは実際の大きさが2~3cm異なることもあるのです。


これが基本です。


さらに重要なのが「捨て寸」の考え方です。靴には足指を保護するため、つま先部分に一定の空間(トーボックス)が必要です。多くの方が「つま先に1~1.5cmの余裕があればOK」と考えていますが、これは不正確です。実は靴職人の世界では、最も小さい足のサイズでも約2.5cm(親指の横幅分)のトーボックスを確保するという不文律があります。そして靴のサイズが大きくなるにつれ、このトーボックスも比例して大きくする必要があるのです。


足指が標準より短い日本人の方は、表示サイズ通りに選ぶと拇趾球が靴の屈曲点より前にずれてしまいます。その結果、歩行時に靴が正しく曲がらず、足に無理な力がかかります。逆に足指が長い方は、表示サイズだと拇趾球が屈曲点より後ろになってしまうのです。歯科医療従事者の場合、診療用シューズとして選ぶナースシューズやメディカルシューズも同様の問題を抱えています。


医療用シューズを選ぶ際は、実際に試着して拇趾球の位置を確認することが不可欠です。かかとをしっかり合わせた状態で、親指の付け根が靴の一番太い部分(ボールガース)に来ているかチェックしてください。靴底を曲げてみて、最も曲がりやすい位置が拇趾球の真下にあることを確認しましょう。


つまり表示サイズは目安に過ぎません。


アーチレングス靴の医療現場での選び方と機能性

歯科医院やクリニックでは、清潔性、安全性、機能性の3つを満たす靴が求められます。まず清潔性について、血液や唾液の飛沫から足を守るため、サンダルタイプではなく足の甲全体を覆うタイプが推奨されます。かつてはナースサンダルが主流でしたが、現在は感染対策や針の落下事故防止の観点から、多くの医療機関でシューズタイプが採用されています。


安全性では滑り止め機能が重要です。診療室の床は水や洗浄剤で濡れることがあり、滑りやすい環境です。ソールに滑り止め加工が施された靴を選ぶことで、転倒事故のリスクを大幅に減らせます。またかかと部分にしっかりした芯(ヒールカウンター)が入っている靴は、足のブレを抑え、安定した歩行をサポートしてくれます。


機能性で最も重視すべきは、クッション性とアーチサポートです。


長時間立ち続ける医療従事者にとって、着地時の衝撃を吸収するクッション性は疲労軽減に直結します。特にインソール部分にクッション材が入っているタイプは、足裏全体を優しく支えてくれます。一般的なEVAミッドソールと比べて37%も衝撃を軽減する素材を使用したシューズもあり、足や関節へのストレスを和らげる効果が期待できます。


土踏まずをサポートするアーチサポート機能も見逃せません。足のアーチが潰れると、足裏全体に負担がかかり、疲労が蓄積しやすくなります。立体成型されたインソールや、土踏まず部分に適度な盛り上がりがある靴を選ぶことで、アーチを正しい位置に保ち、疲れにくい状態を維持できます。歯科診療中の細かい動きにも対応できるよう、足と靴がしっかりフィットしていることが前提条件です。


通気性も忘れてはいけません。メッシュ素材を使用した靴は、長時間履いても蒸れにくく快適です。特に夏場や暖房の効いた診療室では、足の蒸れが不快感や臭いの原因になります。通気性の良い素材を選ぶことで、1日中清潔で快適な状態を保てます。


軽量性も重要な要素ですね。


ただし軽ければ良いというわけではありません。足と靴がしっかりフィットしていれば、多少の重量があっても軽く感じるものです。軽量性だけでなく、フィット感や機能面とのバランスを考慮して選びましょう。人気のメーカーとしては、アシックス、ミズノ、クロックスなどが医療従事者から支持されています。


歯科医療従事者がアーチレングス靴で避けるべき間違った選び方

多くの歯科医療従事者が陥りがちな靴選びの落とし穴があります。最も多い間違いは「足が痛くならないように大きめの靴を選ぶ」という考え方です。確かに窮屈な靴は避けるべきですが、大きすぎる靴は中で足がブカブカと動いてしまい、逆に足に悪影響を及ぼします。


靴の中で足が動くと、歩くたびに足が前方へ滑り、つま先が靴の先端に当たります。この繰り返しが外反母趾や巻き爪、タコの原因になるのです。さらに足が安定しないため、無意識に足指を曲げて踏ん張ろうとし、浮き指やハンマートゥといった変形を引き起こすこともあります。歯科診療中に足の指先に痛みを感じたら、それは靴が大きすぎるサインかもしれません。


「私は幅広だから」と思い込んで幅広の靴ばかり選ぶのも危険です。


実は本当に足幅が広いわけではなく、足の横アーチが崩れて開張足になっているだけというケースが非常に多いのです。開張足の状態で幅広の靴を履くと、さらにアーチが潰れて足が横に広がる悪循環に陥ります。幅広だと感じている方は、まず足の状態を専門家にチェックしてもらい、アーチサポート機能のある靴やインソールで対策することが先決です。


親指でつま先を押してゆとりを確認する方法も、実は正確ではありません。つま先には固い芯材が入っていることが多く、押しても足指の位置がわからないのです。正しくは、かかとをしっかり合わせた状態で立ち、拇趾球の位置が靴の屈曲点と一致しているかを確認することです。靴を手で曲げてみて、最も曲がりやすい場所を見つけ、そこに拇趾球が来るように履くのが基本となります。


「ナースシューズは消耗品だから安いもので十分」という考え方も見直すべきです。確かにナースシューズは汚れやすく、2~6ヶ月ごとに交換する方が多いのは事実です。しかし安価な靴はクッション性やアーチサポート機能が不十分で、足への負担が大きくなります。長期的に見れば、足の健康を守り、腰痛や膝痛を予防できる質の良い靴を選ぶほうが、医療費や治療費を考えるとコストパフォーマンスが高いのです。


診療パフォーマンスにも影響します。


足が疲れていると集中力が低下し、細かい作業でミスが起きやすくなります。


患者さんへの対応も雑になりがちです。


適切な靴を履くことは、自分の健康を守るだけでなく、医療の質を保つためにも重要な投資なのです。


アーチレングスに基づく靴選びとインソールの活用法

すでに持っている靴が足に合わない場合、すぐに買い替えなくてもインソール(中敷き)で調整できる可能性があります。特にアーチサポート機能のあるインソールは、足の疲労軽減に大きな効果を発揮します。市販のインソールには様々なタイプがありますが、医療従事者には「フォームソティックス・メディカル」のような、足病学に基づいて設計された矯正インソールが注目されています。


インソールを選ぶ際のポイントは、土踏まずをしっかり支えるアーチサポート構造があることです。足のアーチを適切な高さに保つことで、体重が足裏全体に分散され、特定の部位への負担が減ります。縦アーチだけでなく、横アーチ(中足骨部)もサポートするタイプなら、開張足の予防や改善にも役立ちます。


クッション性も重要な選択基準です。


かかと部分に衝撃吸収材が入っているインソールは、着地時の衝撃を和らげ、膝や腰への負担を軽減します。ただしクッション性が高すぎると逆に足が不安定になることもあるので、適度な硬さのあるものを選びましょう。


インソールの厚みも考慮が必要です。


厚めのインソールを入れると、靴の中の容積が小さくなり、きつく感じることがあります。元々余裕のない靴には薄めのタイプを選ぶか、ワンサイズ大きい靴に変更することを検討してください。


インソールには既製品とオーダーメイドがあります。軽度の足の悩みなら既製品でも十分効果が期待できますが、外反母趾や扁平足など明確な症状がある場合は、足の専門医や義肢装具士に相談してオーダーメイドのインソールを作ることをおすすめします。保険適用になるケースもあるので、医療機関で相談してみる価値があります。


インソールを使う際の注意点として、最初は短時間から慣らしていくことが大切です。いきなり1日中使うと、普段使っていない筋肉が刺激されて筋肉痛になることがあります。最初の数日は2~3時間程度から始め、徐々に使用時間を延ばしていきましょう。また定期的にインソールの状態をチェックし、へたってきたら交換することも忘れずに。インソールの寿命は使用頻度にもよりますが、一般的に6ヶ月~1年が目安とされています。


併せて足のストレッチも有効ですね。


診療の合間に足指のグーパー運動やふくらはぎのストレッチを行うことで、血行が促進され、疲労物質の排出が促されます。アーキレングスに配慮した靴選びとインソールの活用、そして日々のケアを組み合わせることで、足の健康を長く保つことができるのです。




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