セビメリンは、唾液腺に存在するM3型ムスカリン受容体を選択的に刺激し、唾液分泌を促進します。この受容体の活性化は、細胞内のイノシトールリン脂質代謝を促進し、結果として唾液の分泌が増加します。この作用は、特に口腔乾燥症やシェーグレン症候群の治療において重要です。
セビメリンとピロカルピンは、共に唾液分泌を促進する薬剤ですが、その作用機序には違いがあります。ピロカルピンは中枢神経系にも影響を及ぼし、口渇感を誘発することがあります。一方で、セビメリンは主に末梢で作用し、口渇感を抑制することが示されています。これにより、患者の快適さを向上させることが可能です。
臨床試験では、セビメリンがシェーグレン症候群患者において有効であることが確認されています。具体的には、214例を対象とした研究で、セビメリン投与後に中等度以上の改善が見られました。この結果は、セビメリンが実際に唾液分泌を促進し、口腔内環境を改善することを示しています。
セビメリンは一般的には安全性が高いとされていますが、一部の患者では副作用が報告されています。主な副作用には、発汗増加や消化不良があります。また、高齢者や特定の病歴を持つ患者では注意が必要です。医師との相談を通じて、安全な使用方法を確認することが重要です。
最近の研究では、セビメリンが口腔乾燥症だけでなく、他の口腔疾患にも有効である可能性が示唆されています。例えば、唾液分泌が低下することで引き起こされるう蝕や歯周病への影響についても検討されています。今後の研究によって、新たな治療法としての可能性が広がるかもしれません。