STERI-B オートクレーブの特徴と滅菌性能の高さ

歯科医療における滅菌器の最高基準「クラスB」に準拠したSTERI-Bオートクレーブの特徴と性能について詳しく解説します。患者さんの安全を守るために、あなたの医院にも高性能な滅菌器が必要ではないでしょうか?

STERI-B オートクレーブの特徴と性能

STERI-B オートクレーブの主な特徴
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ヨーロッパ基準「クラスB」準拠

医療先進国の厳格な基準EN13060「クラスB」に準拠した高性能滅菌器

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真空パルス方式採用

管形状の器具内部まで確実に滅菌できる真空パルス技術と二層式チャンバー

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国産で使いやすい設計

AC100V対応、日本語表示、カンタン操作で医院での導入がスムーズ

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STERI-B オートクレーブとクラスB滅菌の基準

STERI-B オートクレーブは、医療先進国であるヨーロッパの基準EN13060「クラスB」に準拠した高性能な滅菌器です。この「クラスB」という基準は、滅菌器の性能を示す世界的な指標であり、最も厳しい条件をクリアした最高ランクの滅菌性能を意味しています。

 

滅菌器のクラス分けについて詳しく見ていきましょう。

  • クラスN:通常の歯科医院で一般的に使用される基本的な滅菌方法。蒸気と空気の重量差を利用して滅菌を行います。単純な形状の器具には有効ですが、複雑な構造を持つ器具の内部までは滅菌が困難です。
  • クラスS:滅菌前に1回、真空状態を作り出し、その後高圧蒸気滅菌を行う機器です。クラスNよりも性能は向上していますが、まだ限界があります。
  • クラスB:滅菌前と乾燥時に複数回の真空状態を作り出し、あらゆる種類や形状の被滅菌物を確実に滅菌します。タービンやハンドピースなどの複雑な内腔を持つ器具も完全に滅菌できる最高水準の性能を持っています。

STERI-B オートクレーブはこの最高ランクである「クラスB」に準拠しているため、歯科医療における感染対策の最前線を担う重要な機器といえるでしょう。特に、患者さんの口腔内に直接触れる器具を確実に滅菌することは、院内感染防止の観点から非常に重要です。

 

STERI-B オートクレーブの真空パルスと二層式チャンバーの仕組み

STERI-B オートクレーブの最大の特徴は、「真空パルス方式」と「二層式チャンバー」を採用していることです。これらの技術によって、従来の滅菌器では難しかった複雑な形状の器具も確実に滅菌することが可能になりました。

 

真空パルス方式の仕組み:

  1. 脱気工程:まず、チャンバー内の空気を強力に吸引して真空状態を作り出します。
  2. 蒸気注入:真空状態のチャンバーに高温・高圧の蒸気を注入します。
  3. 繰り返し処理:この真空状態の作成と蒸気注入を複数回(標準コースでは3回)繰り返します。

この方法により、タービンやマイクロモーターハンドピースなどの管形状の器具内部にまで蒸気が確実に行き渡り、内部の隅々まで滅菌することができます。従来の重力置換式の滅菌器では、こうした複雑な形状の器具内部まで蒸気が到達することが難しく、完全な滅菌が困難でした。

 

二層式チャンバーの利点:
STERI-B オートクレーブは二層式チャンバーを採用しており、これにより連続滅菌が可能になっています。外側のチャンバーが保温機能を担い、内側のチャンバーで実際の滅菌が行われる構造となっています。この設計により、滅菌サイクルの効率が向上し、連続使用時のエネルギー効率も改善されています。

 

さらに、圧力温度グラフを見ると、乾燥工程でも120℃を超えないよう設計されているため、滅菌物へのダメージを最小限に抑えながら確実な滅菌と乾燥を実現しています。

 

STERI-B オートクレーブの多彩なプログラムモードと操作性

STERI-B オートクレーブは、様々な滅菌ニーズに対応できる多彩なプログラムモードを搭載しています。これにより、滅菌する器具の種類や緊急性に応じて最適な滅菌方法を選択することができます。

 

主なプログラムモード:

  1. 標準コース(134℃):一般的な器具の滅菌に適したコース。真空パルス3回、滅菌時間5分、乾燥時間20分の設定です。
  2. 標準コース(121℃):熱に弱い器具向けの低温滅菌コース。真空パルス3回、滅菌時間20分、乾燥時間20分で行います。
  3. フラッシュコース:急速滅菌が必要な場合に便利なコース。真空パルス1回、滅菌時間4分、乾燥時間2分と短時間で完了します。
  4. プリオンコース:プリオン(異常プリオンタンパク質)対策用の特別コース。真空パルス3回、滅菌時間18分、乾燥時間20分の設定です。
  5. B&Dテスト:滅菌器の性能を確認するためのテストコース。
  6. フリープログラムモード:滅菌時間を1分単位、乾燥時間を5分単位で自由に設定できるカスタマイズ可能なモードです。

操作方法も非常にシンプルで、「モード選択」→「コース選択」→「スタート」の3ステップで滅菌を開始できます。液晶ディスプレイには日本語で情報が表示されるため、操作ミスを防ぎ、安全に使用することができます。

 

また、エコモードを搭載しており、待機時の消費電力を抑える省エネ設計となっています。これにより、長時間使用しない場合でも電力消費を最小限に抑えることができます。

 

STERI-B オートクレーブの国産ならではの利点と設置条件

STERI-B オートクレーブは国産の滅菌器であるため、日本の歯科医院環境に最適化された設計となっています。これにより、導入や運用がスムーズに行えるという大きな利点があります。

 

国産ならではの利点:

  1. 電源対応:AC100Vで作動するため、200Vへの電気工事が不要です。ただし、15Aの単独回路が必要となります。
  2. 日本語表示:パネルスイッチや液晶ディスプレイはすべて日本語で表記されているため、操作が直感的で分かりやすく、滅菌プログラムなどの選択ミスを軽減できます。
  3. アフターサポート:国内製造のため、メンテナンスやパーツ交換などのアフターサポートが充実しています。

設置条件と注意点:
STERI-B オートクレーブを設置する際は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 左右側面および後面は150mm以上のスペースを確保すること
  • 上面は必ず開放状態にすること
  • 電源は15Aの単独回路が必要

本体サイズはW479×D583×H491mm(ドアノブ含まず)、重量は67kg(タンク空の状態)となっています。設置前に十分なスペースと耐荷重性能を確認しておくことが重要です。

 

また、給水タンク容量は4.7L、排水タンク容量は3.7Lとなっており、大口径の水タンクにより給水が容易で、タンク内の清掃も簡単に行えるよう設計されています。

 

STERI-B オートクレーブのメンテナンスと長期使用のポイント

STERI-B オートクレーブを長期間安全に使用するためには、適切なメンテナンスが欠かせません。製造元の推奨する保守点検スケジュールに従うことで、滅菌性能を維持し、機器の寿命を延ばすことができます。

 

日常的なメンテナンス:

  1. 滅菌チャンバー内の清掃:水またはアルコールをしみ込ませた柔らかい布でチャンバー内を拭き取り清掃します。毎日の使用後に行うことが推奨されています。
  2. ドアパッキンの清掃:同様に、水またはアルコールをしみ込ませた柔らかい布でドアパッキンを拭き取ります。これも毎日行うことが望ましいです。
  3. 排水フィルターのお手入れ:1週間に1回の頻度で点検・清掃を行います。

定期的な部品交換と点検:

  1. 無菌フィルターの交換:1年に1回の交換が必要です。このフィルターは乾燥工程時に吸気する際にホコリや菌類の混入を防ぐ重要な役割を担っています。
  2. ドアパッキンの交換:1年に1回の交換が推奨されています。パッキンの劣化は気密性に影響し、滅菌性能の低下につながる可能性があります。
  3. ボタン電池の交換:1年に1回の交換が必要です。
  4. 電源プラグの確認:1年に1回、損傷や緩みがないか確認します。
  5. 専門業者による点検:2年に1度、製造元指定の専門業者による点検を受けることが推奨されています。

製造出荷後の耐用年数は自己認証により7年とされていますが、適切なメンテナンスを行うことでより長期間の使用が可能になることもあります。

 

また、滅菌性能を定期的に確認するために、gke滅菌モニタリングインジケーターなどを使用して滅菌状態をチェックすることも重要です。これにより、滅菌器が正常に機能しているかを客観的に評価することができます。

 

STERI-B オートクレーブと他のクラスB滅菌器との比較

歯科医院で使用される高性能滅菌器には様々な選択肢がありますが、STERI-B オートクレーブは国産のクラスB滅菌器として独自の強みを持っています。ここでは、他のクラスB滅菌器と比較した際のSTERI-Bの特徴を見ていきましょう。

 

STERI-B オートクレーブと他社製品の比較:

機能・特徴 STERI-B (ヒルソン・デック) Lara (W&H) 一般的なクラスB滅菌器
準拠規格 EN13060 クラスB EN13060 クラスB EN13060 クラスB
電源 AC100V (国内仕様) 200~240V 多くは200V必要
表示言語 日本語 多言語対応 多くは英語/欧州言語
チャンバー容量 φ240×325mm 17L/22L 製品により異なる
真空パルス回数 3回(標準コース) 製品により異なる 製品により異なる
特徴的な機能 二層式チャンバー、フリープログラムモード USBポート、自動給水弁 製品により異なる
重量 67kg 42.5kg/44kg 製品により異なる
アフターサポート 国内メーカーによるサポート 輸入品 製品により異なる

STERI-Bの最大の強みは、国産であることによる日本の医療環境への適合性の高さです。AC100Vで使用できる点は、特に新規開業や設備更新時に電気工事のコストを抑えられるメリットがあります。また、日本語表示による操作性の良さも、日常的に使用する機器として重要なポイントです。

 

一方、海外製のクラスB滅菌器は、USBポートによるデータ管理や自動給水システムなど、先進的な機能を搭載している場合もあります。しかし、多くは200V電源が必要であったり、表示言語が日本語に対応していなかったりするため、導入時のハードルが高くなる傾向があります。

 

STERI-Bは基本性能と使いやすさのバランスが取れた製品であり、特に日本の歯科医院環境に適した選択肢といえるでしょう。

 

STERI-B オートクレーブ導入による患者安全と医院の信頼性向上

クラスB準拠の高性能滅菌器であるSTERI-B オートクレーブを導入することは、単なる設備投資以上の意味を持ちます。患者の安全確保と医院の信頼性向上という観点から、その価値を考えてみましょう。

 

患者安全への貢献:
歯科治療では患者さんのお口に直接触れる器具を使用するため、完全な滅菌は感染予防の基本です。特に以下のような状況では、クラスBレベルの滅菌が重要になります。

  • 外科処置や抜歯などの観血的処置
  • 歯髄温存療法や断髄法などの処置(滅菌レベルが治療精度に直接影響)
  • 免疫力が低下している患者さんの治療
  • 感染症リスクの高い患者さんの治療

STERI-B オートクレーブによる確実な滅菌は、こうした場面で患者さんを感染リスクから守る重要な役割を果たします。

 

医院の信頼性向上:
高水準の滅菌器の導入は、医院の感染対策への真摯な姿勢を示すものでもあります。これは以下のような形で医院の信頼性向上につながります。

  1. 差別化要因:まだ日本ではクラスB滅菌器の普及率が高くないため、導入していることは医院の感染対策への積極的な姿勢をアピールできる差別化ポイントになります。
  2. 患者への安心感提供:院内掲示やウェブサイトなどで滅菌器の性能や滅菌プロセスを紹介することで、患者さんに安心感を提供できます。
  3. スタッフの安全確保:患者さんだけでなく、医療スタッフ自身も感染リスクから守ることができます。これはスタッフの安心感や職場環境の質の向上にもつながります。
  4. 法的リスク管理:万が一の感染事故発生時に、最高水準の滅菌対策を行っていたという事実は、医院側の責任範囲を限定する要素になり得ます。

実際に多くの歯科医院では、STERI-B オートクレーブなどのクラスB滅菌器導入を院内感染対策の中核に位置づけ、その事実を患者さんにも積極的に伝えることで、安心・安全な医療提供の証として活用しています。

 

高度な滅菌システムへの投資は、短期的にはコストに見えるかもしれませんが、長期的には患者さんとスタッフの健康を守り、医院の評判と信頼性を高める重要な要素となるのです。