特別とん税とは何か・仕組みと納税義務者を解説

特別とん税とは何か、納税義務者・税率・とん税との違いをわかりやすく解説します。通関業務に関わるなら知っておきたいこの税金、あなたは正しく理解できていますか?

特別とん税とは・仕組みと通関業務への影響

特別とん税は「国税」なのに、徴収した税収が1円も国の一般会計に入らない珍しい税金です。


特別とん税 3つのポイント
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外国貿易船の入港に課される税

外国貿易船が日本の「開港」に入港するたびに、純トン数に応じて課される間接税です。納税義務者は原則として船長ですが、税関長の承認があれば代行者・運航者も対応できます。

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収入は全額、港湾所在市町村へ譲与

特別とん税の収入は国の一般会計を通らず、毎年9月と3月に開港の港湾施設がある市町村(東京都の場合は都)に直接譲与されます。

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とん税と一括申告・納付が原則

特別とん税はとん税とあわせて申告・納付します。都度納付(1入港ごと)と一時納付(1年分まとめて)の2方式があります。


特別とん税とは何か・とん税との根本的な違い

特別とん税とは、特別とん税法(昭和32年法律第38号)に基づき、外国貿易船が日本の開港に入港した際に課される国税(間接税)です。 課税標準は外国貿易船の「純トン数」で、総トン数(船全体の容積)ではなく、貨物・旅客用に使われる船内容積のみを指す点に注意が必要です。 baikyaku(https://baikyaku.net/word/tax-ta/tax-ta019.html)


とん税との違いは、その収入の行き先にあります。とん税は国庫に入りますが、特別とん税の収入全額は特別とん譲与税法(昭和32年法律第77号)により、毎年9月・3月に開港の港湾施設所在市町村へ譲与されます。 つまり形式は「国税」ですが、実質は市町村財源です。 kotobank(https://kotobank.jp/word/%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%A8%E3%82%93%E7%A8%8E-1378406)


実務上、とん税と特別とん税は一括して税関長に申告・納付します。 収納された合計額を36等分し、16分の16相当をとん税、20分の36相当を特別とん税と見なして処理する仕組みです。 これが知られていない実態です。 laws.e-gov.go(https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000038)


特別とん税の税率・都度納付と一時納付の選び方

税率は2種類あります。


納付方式 とん税(純トン1トンあたり) 特別とん税(純トン1トンあたり)
都度納付(入港ごと) 16円 20円
一時納付(1年分一括) 48円 60円


jsanet.or(http://www.jsanet.or.jp/seisaku/pdf/seisaku_zei/r05_itiran.pdf)


都度納付は入港のたびに支払うシンプルな方式です。一時納付は年間の入港回数が3回以上見込まれる船に有利になりますが、60円÷20円=3回分、つまり年3回を超える入港では一時納付の方が割高になります。これが条件です。 phaj.or(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso202011.pdf)


また、2020年10月1日以降は国際戦略港湾(東京港・横浜港・大阪港・神戸港・名古屋港)に入港する国際基幹航路コンテナ定期船については、一時納付の特別とん税が通常60円から半額の30円に引き下げられる特例措置が創設されました。 これは大型コンテナ船を呼び込むための施策で、通関業に携わる担当者なら覚えておきたい例外です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%A8%E3%82%93%E7%A8%8E)


純トン数5,000トンの船が都度入港した場合、特別とん税は5,000×20円=10万円。年間を通じた金額は決して小さくありません。意外ですね。


特別とん税の納税義務者と通関業者が注意すべき手続き

原則として、納税義務者は外国貿易船の「船長」です。 ただし、税関長の承認を受ければ船舶代理店(シップエージェント)や運航者が代わりに申告・納付できます。通関業者と船舶代理店が同一グループ企業である場合には、この承認関係を確認しておくことが重要です。 baikyaku(https://baikyaku.net/word/tax-ta/tax-ta019.html)


申告はNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)経由で行うのが現在の標準です。 NACCSの汎用申請手続には「とん税・特別とん税」関連の手続き区分が設けられており、審理手続の承継や更正・決定申告も電子処理できます。 bbs.naccscenter(https://bbs.naccscenter.com/data/code/hanyo/hanyo_gyomu_all.html)


申告漏れや納付遅延が発生した場合には、とん税と特別とん税の両方に対して延滞税が発生します。一括処理ゆえに片方だけのミスが起きにくい構造ですが、確認は必須です。


特別とん税の歴史的背景・なぜ今も存在するのか

特別とん税が生まれた直接のきっかけは、昭和32年(1957年)の「外航船舶に対する固定資産税の軽減」です。 それまで市町村は外航船舶の固定資産税として一定の収入を得ていましたが、海運振興策として軽減されたため、港湾所在市町村の財源が大きく失われました。 kimotokaikei(http://kimotokaikei.com/kimoto/column/column0707/column070706.html)


その代替財源として同年に創設されたのが特別とん税です。 国税として徴収しつつ全額を地方に渡すという「迂回ルート」は、当時の税制上の工夫によるものでした。つまり歴史的には固定資産税の代わりです。 baikyaku(https://baikyaku.net/word/tax-ta/tax-ta019.html)


平成30年度(2018年度)の特別とん税を含むとん税・特別とん税の総税収は約230億円に達しています。 この財源が港湾整備・維持管理に使われており、通関業者が日々利用するバース(岸壁)や荷役機械の整備費用を間接的に支えている構造です。知っておいて損はありません。 phaj.or(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso202011.pdf)


参考:特別とん税の仕組みと税収規模について詳しくまとめられた公益財団法人の解説資料
とん税・特別とん税の基礎知識(一般財団法人 日本港湾協会)


参考:特別とん税法の条文(e-Gov法令検索・逐条参照に便利)
特別とん税法(e-Gov法令検索)


通関業者が見落としがちな特別とん税の実務ポイント独自視点

通関業者の日常業務では、輸入申告書・関税・消費税の処理が優先され、特別とん税は「船会社側の話」として後回しになりがちです。しかし、通関業法の観点で言えば、依頼主(荷主・船社)への税務情報の提供義務という観点から、仕組みを理解していないことがクレームリスクにつながります。厳しいところですね。


特に注意が必要なのは「開港でない港湾」への入港です。特別とん税は「開港への入港」に限定されて課税されますが、開港でない港(非開港)への入港には課税されません。 開港かどうかは関税法上の定義に基づくため、港の名称だけで判断すると誤りにつながります。開港一覧の確認が条件です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%A8%E3%82%93%E7%A8%8E)


また、一時納付の適用を受けた船が年間途中で廃船・改籍・売船された場合の精算処理は、税関長への届出が必要です。船舶代理業務と通関業務を兼ねる事業者は、契約変更のタイミングで精算漏れが起きやすい点を把握しておくと、将来の税務調査リスクを下げることができます。これは使えそうです。


参考:国土交通省が公表する特例措置の手続き詳細(申請書類・様式付き)
とん税・特別とん税の特例措置に関する手続き(国土交通省)


| 区分 | 法的根拠 | 外国貿易船の入港 | 貨物の積卸し |
| ---- | ----------- | -------- | ------- |
| 開港 | 関税法施行令 別表第一 | 自由に可 | 原則として可 |
| 不開港 | 上記以外の全港 | 原則として不可 | 原則として不可 |
| 税関空港 | 関税法施行令(空港用) | — | 航空貨物のみ |