通し柱があるほど、家は地震に強い——そう思っていませんか?実は実大実験で、通し柱を使った骨組みは管柱より耐えられる最大の力が約1割小さかったというデータがあります。
通し柱は、2階建て以上の木造軸組工法(在来工法)において、建物の「背骨」にあたる最重要部材です。 土台から屋根の軒桁まで1本の木材で通っているため、継ぎ目がなく、1階と2階の構造を一体化させる役割を果たします。 token.co(https://www.token.co.jp/estate/useful/archipedia/word.php?jid=00016&wid=00289&wdid=01)
通常の柱(管柱)が1階または2階だけを支えるのに対し、通し柱は複数の階をまたいで建物全体を縦につなぐ点が大きな違いです。 長さは一般的な管柱の2〜3倍になるため、木材コストも高くなります。 token.co(https://www.token.co.jp/estate/useful/archipedia/word.php?jid=00022&wid=30866&wdid=01)
建物の平面図では、通し柱の位置を「○(丸印)」で囲んで表記し、他の柱と区別するのが建築業界の標準ルールです。 リフォームを検討する際に図面を確認するとき、この丸印がある柱は「まず抜けない柱」と理解しておくのが重要なポイントです。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
| 項目 | 通し柱 | 管柱 |
|---|---|---|
| 長さ | 1階+2階分(通し) | 各階1本分 |
| 断面サイズ | 120〜135mm角が多い | 105〜120mm角が多い |
| 使用位置 | 主に四隅・外周の要所 | 室内・外壁の各所全般 |
| 図面上の表記 | ○(丸印)で囲む | 通常の柱記号 |
| リフォームでの扱い | 原則撤去不可 | 条件次第で撤去可能な場合あり |
通し柱が「強い」とされる一方で、実は避けられない構造上の弱点があります。それが「断面欠損」の問題です。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
木造軸組工法では、縦の部材(柱)と横の部材(胴差し・梁など)が十字に交わる箇所が必ず生じます。通し柱を優先する場合、横の部材を柱に接続するために柱に切り欠き(ほぞ穴)を設ける必要があります。 結果として通し柱は穴だらけの状態になり、断面が小さくなった部分の強度が低下します。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
断面欠損が問題なのは明確です。住友林業による実大実験では、隅柱を通し柱にした骨組みは管柱の骨組みと比べて、耐えられる最大の力が約1割小さく、変形性能も管柱の約70%に留まるという結果が出ています。 これは通し柱が地震時に「く」の字に曲げられ、欠損部分からボキッと折れやすい特性があるためです。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
つまり通し柱が多いほど強い、という思い込みは要注意です。 構造の強さは柱の本数より「耐力壁の量と配置」で大部分が決まるのが現代建築の常識です。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
🔗 通し柱vs管柱の実大実験データ(日本建築学会の論文をもとに解説)|バッコ博士の建築チェック
通し柱に関して、建築基準法施行令第43条5項は次のように定めています。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
「階数が2以上の建築物におけるすみ柱又はそれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りでない。」
重要なのは「ただし書き」の部分です。 接合部を適切な金物などで補強すれば、通し柱を使わず管柱の組み合わせでも合法となります。現代では高性能な接合金物が普及しているため、多くの住宅ビルダーがこの「ただし書き」を活用しています。 token.co(https://www.token.co.jp/estate/useful/archipedia/word.php?jid=00016&wid=00289&wdid=01)
リフォームとの関係でいえば、2025年4月から施行された建築基準法改正(4号特例縮小)により、木造2階建て住宅の大規模リフォームには建築確認申請が必要になりました。 「壁・柱・床・梁・屋根・階段のうち1つ以上を半分以上変える」工事が対象です。 stylekoubou(https://www.stylekoubou.com/blog/kiso/243042/)
確認申請が必要な場合、建築申請費用として10〜20万円、調書作成費用として40〜50万円程度が追加でかかります。 合計で約50〜70万円の追加コストが発生する可能性があります。これは「知らないと損する」情報です。 stylekoubou(https://www.stylekoubou.com/blog/kiso/243042/)
🔗 2025年4月からの建築基準法改正でリフォームの確認申請が変わる詳細|スタイル工房
「この柱、抜けますか?」と聞いたとき、通し柱だと言われた場合、失望する必要はありません。通し柱をデザインに組み込んだリフォームという手があります。
通し柱を活かした場合の費用相場は5万〜20万円程度で、デザイン施工や棚・収納の設計が主な内訳です。 一方、補強を施して柱を抜く場合は20万〜50万円と大幅に高くなります。通し柱の場合は補強のコストに加えて構造上の安全確認費用もかかるため、実際にはさらに費用がかさむケースもあります。 safety-oita(https://www.safety-oita.com/blog/9071)
費用が大きく変わります。そのため、リフォームの初期段階で「どの柱が通し柱か」を確認しておくことが計画の効率化につながります。
具体的な確認方法としては次の3点が有効です。
特に築20年以上の在来工法の木造住宅では、図面と現状が異なる場合もあります。必ず専門家による現地調査をリフォーム計画の最初のステップとして組み込んでください。
🔗 リフォームで抜けない柱の見分け方と種類別活用事例|安全建設株式会社
「通し柱がない家は弱い」と思いがちですが、それは完全に誤解です。
2×4(ツーバイフォー)工法は、壁や床・天井といった「面」で建物を支える枠組壁工法です。 この工法には構造上、通し柱が1本も存在しません。1階の壁を作ったあとに2階の床を敷き、その上に2階の壁を組んでいくため、土台から軒まで通る柱を入れる設計になっていないのです。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
それにもかかわらず、2×4工法は在来工法と比較して平均的な耐震性が高いことが知られています。 2016年の熊本地震でも2×4工法の住宅は被害が少なかったというデータがあります。通し柱がなくても、面材で構成された壁が地震力を面全体で受け止めるため、十分な耐震性能を発揮できます。 bakko-hakase(https://www.bakko-hakase.com/entry/212_tohshi-bashira)
リフォームへの影響として、2×4工法の住宅では「間取り変更の自由度が低い」という特徴があります。 壁そのものが構造体であるため、在来工法のように管柱を抜いて壁を取り払うといったリフォームが難しくなります。リフォーム前に工法の確認が条件です。 space-systems(https://space-systems.net/media/20251106/)
| 比較項目 | 在来軸組工法 | 2×4工法 |
|---|---|---|
| 通し柱 | あり(隅柱に設置) | なし |
| 構造の主体 | 柱・梁・筋かい | 壁パネル(面材) |
| 耐震性 | 壁量・配置次第 | 平均的に高い |
| 間取り変更 | 比較的自由 | 構造壁が多く制約が大きい |
| リフォーム費用感 | 管柱撤去で20万〜50万円〜 | 構造壁変更は高額になりやすい |
通し柱の最大の弱点である「断面欠損」を、現代の建築テクノロジーはどのように克服しているのでしょうか。
従来の在来工法では、職人が手作業で柱を削り、胴差しや梁を差し込む「刻み加工」が必要でした。 この加工によって生じる断面欠損が通し柱の強度低下の原因でした。 t2-archi(https://t2-archi.com/blog/what-is-a-through-pillar/)
これに対し、現代の高性能接合金物(メタルプレートコネクター、ドリフトピン工法など)を使った工法では、柱への切り欠きを最小限に抑えることができます。 欠損部が大幅に減少した「現代型通し柱」は、断面欠損の少なさという点で従来品とは別物と考えてよいほどの改善がなされています。 cleverlyhome(https://www.cleverlyhome.com/kurashi/point/4787)
注目すべき視点があります。つまり通し柱の是非は「古い工法の通し柱か、現代の金物工法の通し柱か」で大きく変わるということです。 「通し柱は不要」という議論の多くは従来の刻み加工を前提にしていますが、接合金物の進化でその議論の前提自体が崩れつつあります。 cleverlyhome(https://www.cleverlyhome.com/kurashi/point/4787)
リフォームや新築の検討時に「通し柱の有無」だけを問うのではなく、「どのような接合工法を採用しているか」まで確認することが、本当の耐震性能を見極めるための正しいアプローチです。構造の強さは柱だけでなく、壁の量・配置・接合部の品質が三位一体で決まるというのが、建築の現場で共有されている常識です。
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