ひび割れ幅が0.3mmを超えるクラックをエポキシで自分で補修すると、建物の構造を悪化させる恐れがあります。

エポキシ系のクラック補修材には、大きく分けて「低粘度注入型」「モルタル充填型」「塗布浸透型」の3種類があります。それぞれ対応できるひび割れの幅や施工方法が異なるため、現場の状況に合わせた選択が重要です。
低粘度注入型は、ひび割れ幅が0.2mm〜1mm程度の細かいクラックに向いています。 オリーブオイルのような「とろみ」がある液体で、毛細管現象を利用して内部へ自然に浸透していく製品(例:アルファテック380)もあり、注入器なしで施工できます。 つまり、細いひび割れほど浸透型が有効です。 alpha-kogyo(https://alpha-kogyo.com/feature/at380/)
モルタル充填型のエポキシは、幅が1mm以上の大きなクラックに使います。 Uカットと呼ばれる工法でひび割れをU字に削り広げてから充填するため、奥までしっかり埋められ強度が増します。厚みを持たせて充填できるので、強度向上にも効果的ですね。 machiyane-kishiwada(https://machiyane-kishiwada.com/blog/habakihosyuu.html)
塗布浸透型は初心者でも扱いやすい製品です。ハケやローラーで塗るだけで、0.05mm程度のマイクロクラックから0.8mm程度まで対応できる製品もあります。 これは使えそうです。 alpha-kogyo(https://alpha-kogyo.com/feature/at380/)
| 種類 | 対応クラック幅 | 施工難易度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 低粘度注入型 | 0.2mm〜1mm | 中級 | 基礎・外壁の内部補修 |
| モルタル充填型 | 1mm以上 | 中〜上級 | 構造クラック、Uカット工法 |
| 塗布浸透型 | 0.05mm〜0.8mm | 初級 | ヘアクラック、広範囲の予防補修 |
エポキシ補修材の性能を最大限に引き出すには、施工前の下処理が最も重要な工程です。砂や汚れが残っていると、補修材がしっかり密着できず効果が薄れてしまいます。 下処理が全体の出来を左右します。 machiyane-niigata(https://machiyane-niigata.com/works/20250711-2.html)
具体的な手順は次のとおりです。
1. ワイヤーブラシでひび割れ周辺の汚れ・さびをしっかり落とす
2. 掃除機や圧縮空気でゴミ・ほこりを完全に除去する
3. 乾燥状態を確認する(湿潤面対応製品を除き、乾燥が基本)
4. 必要に応じてプライマーを下塗りする machinogaihekitoso-mito(https://machinogaihekitoso-mito.com/base-crack)
特に掃除機でのゴミ吸引は見落とされがちですが、ひび割れ内部にほこりが詰まったままエポキシを注入しても、接着が弱くなるだけです。 手間を惜しんだ分だけ、補修の寿命が短くなります。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=NplPpQbSqd8)
乾燥面か湿潤面かも確認が必要です。製品によっては、コンクリートが濡れた状態でも施工可能な「湿潤面対応型」があります。 条件に合った製品を選ぶのが原則です。 monotaro(https://www.monotaro.com/k/store/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E8%A3%9C%E4%BF%AE%20%E3%82%A8%E3%83%9D%E3%82%AD%E3%82%B7/)
エポキシ樹脂注入工法は、ひび割れ幅が0.2mm以上の補修に使われる本格的な工法です。 一般的な施工の流れを確認しておきましょう。 livingcolor.co(https://www.livingcolor.co.jp/media/tips/a36)
1. ひび割れ表面を清掃し、注入器固定用の台座(プラグ)をひび割れに沿って200〜300mm間隔で取り付ける
2. ひび割れ表面をシーリング材でふさぐ(樹脂が外へ漏れないようにする)
3. ゴム製の注入器(注射器状)をプラグに差し込み、ゴムの圧力でゆっくり時間をかけてエポキシを注入する
4. 24時間以上養生し硬化させる machinogaihekitoso-mito(https://machinogaihekitoso-mito.com/gaiheki-crack)
この工法のポイントは「低圧・長時間注入」であることです。急いで大量に注入しようとすると、気泡が入ったり、内部に十分浸透しなかったりします。硬化したエポキシはコンクリート以上の強度を発揮しますが、それは正しく施工された場合に限られます。 alpha-kogyo(https://alpha-kogyo.com/feature/at380/)
作業時間は、従来工法で2〜3時間程度です。 DIYキットも市販されており、ヤブ原産業の「クラックイレイザー」などは0.2mm〜2mm幅のクラックに対応し、スクレーパー1本で作業できます。 初めて挑戦するなら、こうした専用キットを選ぶのが安心です。 digital-construction(https://digital-construction.jp/news/878)
参考:エポキシ樹脂注入工法の詳細(リビングカラー)
【クラック補修】エポキシ樹脂注入工法とは?改修方法や特徴など詳しく解説
「ひび割れを見つけたらエポキシで全部直せる」と思っている方は多いですが、それは危険な誤解です。重要なのは次の基準です。
- ✅ DIY可能:幅0.3mm以下のヘアクラック(外壁表面の浅いひび割れ) yabu-sen(https://yabu-sen.com/crackdiy/)
- ❌ DIY不可:構造クラック(幅0.3mm超)・開口クラック・基礎への貫通ひび割れ yabu-sen(https://yabu-sen.com/crackdiy/)
構造クラックを表面だけエポキシでふさいでしまうと、内部に水が侵入しているのに気づかず、鉄筋の腐食が進行し続けます。 表面がきれいに見えても、内部では劣化が進む状況です。これは痛いですね。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=NplPpQbSqd8)
また、エポキシ樹脂は「硬化すると動かない(剛性が高い)」素材です。 建物の揺れや温度変化で外壁がわずかに動く「活性クラック」には、追従性のある可とう性エポキシや変性シリコンの方が向いている場合があります。 剛性系を選ぶと、補修した周辺に新たなひび割れが発生することもあります。 yabu-sen(https://yabu-sen.com/crackrepair-select-product/)
「幅が小さいから大丈夫」と自己判断は禁物です。0.3mmというのは、名刺の厚みとほぼ同じです。目視では判断しにくいため、市販の「クラックスケール(ひび割れ幅測定定規)」で実測することをお勧めします。
参考:DIYできるひび割れの条件(ヤブ原産業)
外壁のひび割れはDIYできる?改修材メーカーが注意点や補修方法を解説
エポキシ系クラック補修材の最大の弱点は、柔軟性がないことです。硬化後の強度はコンクリートを上回りますが、「動くひび割れ」には対応できません。 これが盲点です。 yabu-sen(https://yabu-sen.com/crackrepair-select-product/)
外壁や基礎は、日々の気温変化(夏40℃・冬0℃)で膨張・収縮を繰り返しています。0.1mm程度の微細な動きがあっても、エポキシが固定してしまうと応力が補修箇所の周辺に集中し、新しいひび割れを誘発します。これを「再ひび割れ(リクラック)」と呼びます。
活性クラック(今も動いているひび割れ)かどうかを確認する簡単な方法があります。
1. ひび割れに沿って鉛筆で印をつけておく
2. 2〜4週間後に印がずれていないか確認する
3. ずれがあれば活性クラック → エポキシではなく可とう性補修材を選ぶ cemedine.co(https://www.cemedine.co.jp/engineering/renovation/concrete-wall_ucut-sealing_epoxy-resin/index.html)
活性クラックには「可とう性エポキシ樹脂」という製品が存在します。 セメダインなどのメーカーが出しており、通常のエポキシに比べて柔軟性を持たせた設計になっています。選ぶ際は商品名に「可とう性」「フレキシブル」という表記があるかどうかを確認する、この一点だけ覚えておけばOKです。 cemedine.co(https://www.cemedine.co.jp/engineering/renovation/concrete-wall_ucut-sealing_epoxy-resin/index.html)
参考:可とう性エポキシ樹脂を使ったUカット工法の詳細
ひび割れ部Uカットシール材充てん工法(可とう性エポキシ樹脂)|セメダイン