EM-EEFケーブルはVVFと見た目がほぼ同じなのに、許容電流がVVFより大きいことを知らずに工事してもらうと、将来のエアコン増設で追加費用が発生します。

EM-EEFの「EM」は「Eco Material(エコマテリアル)」の略で、環境負荷を低減した素材を使った電線・ケーブルの総称です 。正式な規格名称は「ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形(600V EEF/F)」で、JIS C 3605に準拠しています 。素材はシンプルに言うと「従来の塩化ビニル(PVC)をポリエチレン系に置き換えたもの」です。 interwired.co(https://www.interwired.co.jp/electricwire/products/documents/415/)
ポリエチレン系素材の最大の特徴は、燃やしてもハロゲンガスやダイオキシンが発生しない点です 。火災時に有毒ガスが発生しにくいため、人が多く集まる公共施設や学校では積極的に採用されてきました。リフォームで天井裏や壁内に配線を通す際、将来の解体・廃棄まで含めた環境コストを考えると、この特性は無視できません。 www2.panasonic(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/skill/dictionary/em-eef.html)
つまりEM-EEFは「環境への配慮」と「性能向上」を同時に実現したケーブルということですね。
構造そのものはVVFケーブルとほぼ同一です 。心線(銅導体)→絶縁体→シース(外装)という3層構造を持ち、2心・3心・4心の芯数と、1.6mm・2.0mm・2.6mmの導体径がラインナップされています 。外径・重量もVVFと同等レベルのため、施工スペースの計算は従来通りで構いません。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki6/em-eef.html)
| 比較項目 | VVF | EM-EEF |
|---|---|---|
| 絶縁体・シース素材 | 塩化ビニル(PVC) | ポリエチレン系 |
| 許容温度 | 60℃ | 75℃ |
| 燃焼時の有害ガス | ハロゲン・ダイオキシン発生あり | ほぼ発生しない |
| JIS規格 | JIS C 3342 | JIS C 3605 |
| 施工時の硬さ | 比較的柔らかい | やや硬い |
| リサイクル性 | 低い | 高い |
重要なのは許容電流の差です。許容温度が15℃高いEM-EEFは、同じ断面積でもVVFより多くの電流を安全に流せます 。電流容量がアップということですね。これはエアコン専用回路を増やすリフォームや、IHクッキングヒーター導入工事で特に重要な違いです。 shinagawa-wire.co(http://www.shinagawa-wire.co.jp/_src/sc1061/EM93d90FC.pdf)
具体的には、2.0mm径のEM-EEFを使った場合、VVFに比べて同一配管・同一スペースのままで許容電流を上乗せできます。これはリフォームで天井裏や壁内の配管スペースが限られるケースで、大きなメリットになります。
また、公共工事や一部の自治体工事ではEM-EEFの使用が仕様書で指定されているケースがあります 。補助金を使ったリフォーム(省エネリフォーム補助金など)を申請する際、使用ケーブルの種別が審査に影響することも。これは使えそうです。 www2.panasonic(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/skill/dictionary/em-eef.html)
リフォーム業者に見積もりを依頼するとき、「EM-EEFで配線してもらえますか?」と一言追加するだけで、将来の増設対応力が変わります。追加費用がどれくらいかを事前に確認するのが条件です。
EM-EEFはVVFとほぼ同じ構造なので、VVFストリッパーをそのまま流用できます 。ただしポリエチレン系素材は塩化ビニルより硬い性質があるため、ストリッパーで被覆を剥ぐ際に心線が抜けやすいという特性があります 。初めて扱う際は加工力を少し調整する必要があります。 www2.panasonic(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/skill/dictionary/em-eef.html)
もう一つ知っておくべきが「白化現象」です。EM-EEFの被覆を強くこすると表面が白くなることがありますが、これは表面だけの変色であり、絶縁性能には影響しません 。白くなっても問題ありません。 kawai-cable.co(https://www.kawai-cable.co.jp/products/em-eef-f.html)
また、ポリエチレン系素材は低温環境での硬化が起きやすく、冬季の屋外作業では被覆がひび割れやすいという注意点もあります。冬のリフォーム工事では、ケーブルを施工前に室内で十分に常温に戻してから使うのが原則です。工事の品質を確保するために、この点を業者に確認しておくと安心です。
EM-EEFはVVFに比べて材料費がやや高めです。市販品の例では、EM-EEF 2.6mm×2心・100m巻きが税込約66,220円 という価格帯です。VVFの同サイズ・同長さが概ね4万円台であることを考えると、差額は1万円台後半から2万円前後になることもあります。 hanshindensetsu-store(https://hanshindensetsu-store.com/view/item/000000000275)
ただし、この価格差をリフォーム全体のコストで見ると割合は小さいです。壁や天井を開けて配線する工事では、材料費より施工費のほうが圧倒的に高額になるからです。痛いところですが、ケーブル代をケチって将来ガスや電気トラブルが起きた場合の修繕費の方が高くつきます。
選び方の基準はシンプルです。
- 新築・全面リフォーム → EM-EEFを標準採用(公共工事仕様に合わせた将来的な資産価値維持)
- 部分補修・1回路追加 → 既存配線の種類(VVFかEM-EEFか)を確認して統一
- 補助金申請予定あり → 工事仕様書にEM-EEF指定がないか必ず確認
EM-EEFかVVFかは「環境への配慮だけの話」ではありません。電流容量・耐熱性・将来の増設しやすさまで含めた総合的な選択です。リフォームの見積もりを取る前に、使用ケーブルの種類を業者に確認する一手間が、長期的な損失を防ぎます。
参考:EM-EEFの構造・規格データの詳細はパナソニック電工のTERASU辞書で確認できます。
参考:VVFとEM-EEFの詳細スペック比較は住友電工産業電線の製品ページで確認できます。
参考:エコ電線の特徴と取り扱い上の注意点は日本電線工業会の技術資料に詳しく記載されています。

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