電圧降下計算インピーダンス法でリフォーム配線を正しく設計する方法

リフォーム時の配線設計で「電圧降下計算」は見落とされがちですが、インピーダンス法を使わないと機器トラブルの原因になることも。正しい計算方法と許容値を知っていますか?

電圧降下計算とインピーダンス法の基本と実践

リフォームで配線計画を誤ると、末端コンセントの電圧が105Vのはずが95Vに落ちてしまうことがあります。


⚡ この記事の3つのポイント
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インピーダンス法とは何か

ケーブルの抵抗(R)とリアクタンス(X)と力率(cosθ)を組み合わせた精密な電圧降下計算法。簡略法より安全側の値が出るため、幹線設計の標準手法です。

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内線規程の許容値を知る

配線長60m以下なら幹線2〜3%、60m超になると全体で4〜7%まで許容されます。リフォームで延長した配線ルートが60mを超えると計算ルールが変わります。

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ケーブルサイズの選定に直結

電圧降下が許容値を超えた場合はケーブルを1サイズアップするか、分電盤の位置を変更します。計算を省略すると機器の誤動作・寿命低下につながります。


電圧降下計算でインピーダンス法が必要になる場面



リフォームで電気設備を更新・増設する際、配線ルートが長くなるケースは珍しくありません。キッチンや浴室の位置を変えたり、離れた部屋に新たに動力設備を設けたりすると、幹線こう長が伸びます。


こう長が長く、大電流が流れる幹線では「簡略式だけでは不足」です。内線規程資料1-3-2では、集合住宅の幹線など電線こう長が長く大電流を扱う場合、インピーダンス法(基本式)を使用することが望ましいと明記されています。 denkou-nouhau(https://denkou-nouhau.com/voltage-drop/)


簡略法(簡易式)はリアクタンス分を無視して計算するため、実際より低い(楽観的な)電圧降下値が出ることがあります。インピーダンス法は抵抗(R)とリアクタンス(X)の両方、さらに力率(cosθ)まで考慮するため、より安全側の数値が算出されます。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html)


つまり、幹線ケーブルはインピーダンス法が原則です。


計算方法 使用場面 精度 主なパラメータ
簡略式(簡易式) 分岐回路・短距離 やや楽観的 電流・電線長・断面積
インピーダンス法(基本式) 幹線・長距離・大電流 安全側・精密 R・X・cosθ・電流・電線長


リフォーム時に「元の配線のまま流用する」という判断は要注意です。増設した負荷分だけ電流が増え、以前は問題なかった配線でも電圧降下が許容値を超えることがあります。


インピーダンス法の計算式と具体的な手順

インピーダンス法の基本式は次のとおりです。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html)


電圧降下 e = K × I × (R cosθ + X sinθ) × L


各記号の意味は以下のとおりです。


  • K:配線方式による係数。単相2線式=2、単相3線式(対地間)=1、三相3線式=√3
  • I:通電電流(A)。ケーブルを保護するブレーカーの定格電流を使用
  • R:電線1kmあたりの交流導体抵抗(Ω/km)。日本電線工業会「技資第103号A」より取得
  • X:電線1kmあたりのリアクタンス(Ω/km)。同資料より取得
  • cosθ:負荷端力率。電灯・コンセントは0.95、低圧電動機(コンデンサあり)は0.9が目安
  • L:電線のこう長(km単位)。メートルで把握している場合は1/1000で換算


sinθは cosθから算出できます。計算式は sinθ = √(1 − cos²θ) です。 denkou-nouhau(https://denkou-nouhau.com/voltage-drop/)


力率0.95の場合、sinθ ≒ 0.312 になります。この数値が小さいほど電圧降下へのリアクタンスの寄与が小さくなります。


これが基本の手順です。


📝 実際の計算例


高圧受電の建物で、キュービクルから電灯分電盤(単相3線式)まで CVT38sqを70m敷設、ブレーカー100ATの条件を想定します。 denkou-nouhau(https://denkou-nouhau.com/voltage-drop/)


  • K = 1(単相3線式・対地間)
  • I = 100A
  • R = 0.627 Ω/km、X = 0.0925 Ω/km(50Hz、CVT38sq)
  • cosθ = 0.95、sinθ ≒ 0.312
  • L = 70m = 0.07km


計算結果は e = 1 × 100 × (0.627 × 0.95 + 0.0925 × 0.312) × 0.07 ≒ 4.37V です。


電圧降下率は 4.37 ÷ 105 × 100 ≒ 4.16% となり、高圧受電・60m超120m以下の許容値5%以下を満たします。ただし、幹線だけで4.16%消費しているため、分岐回路の余裕はほとんどありません。 denkou-nouhau(https://denkou-nouhau.com/voltage-drop/)


幹線ケーブルを1サイズアップ(CVT38sq → 60sq)すると、R値が下がり電圧降下も減少します。早めにサイズアップを検討するのが原則です。


CVケーブルのインピーダンス値の調べ方と選び方

インピーダンス法の計算で最も手間がかかる部分が、使用するケーブルのR値とX値の取得です。これらは一般社団法人日本電線工業会が公開している「技術資料第103号A 低圧電線・ケーブルのインピーダンス」に記載されています。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html)


電圧降下の計算と電圧変動(電気設備の知識と技術)- CVケーブルのインピーダンス表(50Hz/60Hz)を掲載。計算実例付き。


よく使われるCVTケーブルの代表値は以下のとおりです(50Hz)。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html)


断面積(sq) R(Ω/km) X(Ω/km)
14 1.71 0.107
38 0.626 0.0955
60 0.397 0.0913
100 0.239 0.0881
150 0.159 0.0846
200 0.121 0.0859


断面積が大きくなるほど抵抗Rが小さくなり、電圧降下を抑えられます。一方でリアクタンスXの変化は比較的小さく、ケーブルを太くしてもリアクタンスの影響はほぼ一定です。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html)


これは使えそうです。


周波数によってX値が変わる点も見落としがちです。50Hzと60Hzではリアクタンス値が約20%異なります。東日本(50Hz)と西日本(60Hz)でX値を使い分けないと、正確な計算になりません。


電気工事を依頼するときも「インピーダンス法で計算しましたか?」と一言確認する習慣を持つと、配線トラブルを未然に防げます。


内線規程の許容電圧降下と見落としやすい「合計」の罠

電圧降下の許容値は内線規程1310-1で定められています。 denkou-nouhau(https://denkou-nouhau.com/voltage-drop/)


こう長 高圧受電(変圧器あり) 低圧受電(電力会社から)
60m以下 幹線3%・分岐2% 幹線2%・分岐2%
60m超〜120m以下 合計5%以下 合計4%以下
120m超〜200m以下 合計6%以下 合計5%以下
200m超 合計7%以下 合計6%以下


「合計」という言葉が重要です。こう長が60mを超えると、幹線だけでなく分岐回路の電圧降下も含めた全体で判断しなければなりません。 denkou-nouhau(https://denkou-nouhau.com/voltage-drop/)


たとえば高圧受電で幹線が100m、分電盤から負荷まで20mなら、合計こう長120mとして5%以内に収める必要があります。幹線で4%使えば、分岐に使える余裕は1%しか残りません。


厳しいところですね。


リフォームで分電盤の位置を移動すると、こう長がこの境界ラインを越えることがあります。60mを超えるかどうかで許容値の計算方法が変わるため、分電盤の設置位置は電圧降下計算の結果を見てから決定するのが理想です。


また、低圧受電(一般住宅)と高圧受電(マンション・ビル等)では許容値が異なります。一般住宅のリフォームでは低圧受電の基準を適用するため、より厳しい値を使う必要があります。 archi-setsubi(https://archi-setsubi.com/electrical-equipment/denatu-kouka/)


電圧降下(ドロップ)とは?許容値と計算式(電工のーはう)- 内線規程1310-1の許容値表と基本式・簡易式の詳細解説。


リフォーム配線設計での電圧降下 独自視点:分電盤位置こそ最大の対策

電圧降下の問題が出ると、多くの場合「ケーブルを太くする」という解決策が取られます。しかし、太いケーブルはコストが高く、配管への通線も難しくなります。


実は分電盤の設置位置を変えるほうが根本的な解決になることが多いです。電圧降下は距離に比例するため、分電盤を負荷の中心に近い場所へ移動することで、すべての分岐回路のこう長を均等に短縮できます。


分電盤を10m動かすだけで全回路の電圧降下が一律に改善されるケースもあります。これはケーブルを1〜2サイズアップするコストと比較して、長期的には有利なことがほとんどです。


逆に、分電盤を増設する「サブ分電盤方式」も有効です。大規模なリフォームでリビングや増築棟に多くのコンセントを追加する場合、新たにサブ分電盤を設置すれば幹線こう長を短くしながら、分岐回路の電圧降下も抑えられます。


  • 🏠 分電盤を建物中央付近に移動 → 全回路のこう長を均等に短縮
  • 📦 サブ分電盤を増設 → 離れた増築部分への長距離幹線を分割
  • 🔌 ケーブルのサイズアップ → 既存ルートを変えられない場合の最終手段


電圧降下が問題になる前に設計段階で検討することが重要です。施工後にケーブルを引き直すのは壁を開口し直す必要があり、コストと手間が大幅に増えます。インピーダンス法で事前計算しておくだけで、こうした手戻りを防ぐことができます。 electric-facilities(https://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html)


設計段階での1時間が、施工後の10万円を節約します。


電圧降下とは−許容範囲と計算式(建築設備NOTE)- リフォーム時の配線計画に役立つ許容電圧降下の基礎と計算式の概要。


| 種類 | 単位 | 計算式 | 意味 |
| ------- | ----------- | ------------ | ----------------- |
| 皮相電力(S) | VA(ボルトアンペア) | V × I | 電源が送り出す見かけ上の電力 |
| 有効電力(P) | W(ワット) | V × I × cosθ | 機器が実際に消費する電力 |
| 無効電力(Q) | var(バール) | V × I × sinθ | 電源と負荷の間を往復するだけの電力 |






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