耐震等級2があれば長期優良住宅の認定は確実だと思っていませんか?実は2025年4月の改正で、木造住宅は耐震等級3でないと認定を受けられないケースが出てきました。

長期優良住宅の認定基準は、国土交通省が定める「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいています。その認定基準のなかに「耐震性」の項目があり、リフォームを検討している方が最初に理解しておくべき出発点になります。
耐震性の基準として代表的に挙げられるのは、住宅性能表示制度上の「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」です。等級は1〜3の3段階で、数字が大きいほど地震に対して強い建物であることを示します。つまり等級が高いほど認定への近道です。
従来の認定基準の最低ラインは「耐震等級2以上」でした。しかし2022年(令和4年)10月の法改正を皮切りに基準が引き上げられ、さらに2025年4月の施行ではZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)水準への対応も求められるようになりました。これが原則です。
| 耐震等級 | 地震への強さ | 長期優良住宅での位置づけ |
|---|---|---|
| 等級1 | 建築基準法の最低基準(震度6強〜7で倒壊しない) | 増改築認定の最低ライン(条件付き) |
| 等級2 | 等級1の1.25倍の耐力 | 新築認定の従来基準・増改築でも目安 |
| 等級3 | 等級1の1.5倍の耐力 | 2025年以降の木造新築では事実上必須 |
住宅の耐震等級は、専門の住宅性能評価機関や建築士が「壁量計算」または「構造計算(許容応力度計算)」によって確認します。計算方法が違うと等級の判定結果も変わる点に注意が必要です。
参考:耐震等級と認定基準の詳細な技術解説(国土交通省委託機関公式)
長期優良住宅に係る認定基準 技術解説(令和7年4月1日版)
2025年4月1日から施行された改正では、木造住宅の構造安全性を「ZEH水準」に適合させる観点から耐震基準がさらに厳格化されました。これはリフォームを考えている方にとって見逃せない変化です。
具体的には、2階以下の木造住宅で「壁量計算」によって耐震等級を確認する場合、従来より強化された壁量(必要壁量の基準値)を満たす必要があります。住宅が重くなる太陽光パネル搭載などのケースも考慮した基準になっているため、昔の基準で建てられた家は要注意です。
重要な点です。構造計算(許容応力度計算)を行って耐震等級3を取得すれば、木造住宅でもZEH水準への対応を含め確実に認定基準をクリアできます。つまり「等級3+構造計算」が最も確実です。
一方、増改築(リフォーム)の場合は新築よりやや緩和されたルールが設けられています。リフォーム後に「耐震等級1(新耐震基準相当)」に達すれば認定対象となるケースがあり、既存住宅のリフォームでは出発点として等級1が一つの目標になります。
参考:増改築の認定基準一覧(国土交通省 長期優良住宅増改築特設サイト)
長期優良住宅(増改築)認定基準概要
「うちの家は耐震等級いくつなの?」という疑問を持つ方は多くいます。実は認定を受けていない既存住宅の場合、登記や設計図だけでは耐震等級は分かりません。耐震診断が必要です。
確認方法は大きく2つあります。①建築士(または住宅性能評価機関)による「耐震診断」を受ける、②リフォーム工事と同時に「構造計算書」を作成してもらう、という方法です。費用と精度が異なるため、目的に応じて選ぶのが基本です。
1981年以前に建てられた「旧耐震基準」の住宅は、現行の耐震等級1にすら達していないケースが多くあります。築40年超の木造住宅では、まず耐震診断を受けることが先決です。
費用が気になる場合、多くの市区町村が「無料または低廉な耐震診断制度」を設けています。例えば大阪市では木造住宅の耐震診断を無料で実施しており、まず自治体の窓口に相談するのが得策です。
参考:国土交通省による耐震改修支援制度の全体像
住まいの耐震化に関する支援制度(国土交通省特設サイト)
ここが多くの方にとって最も重要な部分です。耐震基準を満たした上で長期優良住宅(増改築)認定を取得すると、複数の経済的優遇を同時に受けられます。
最も大きいのが「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金です。2026年度も継続されており、省エネ性能の向上を組み合わせた場合は最大250万円、さらに三世代同居改修工事を行う場合は50万円が上乗せされます。これは使えそうです。
ただし補助金申請には大原則があります。工事着工前に申請手続きを完了していることが条件のため、「先に工事してから補助金を申請」しようとするとすべて対象外になります。
参考:2026年度の補助金申請スケジュールと詳細
長期優良住宅化リフォーム推進事業2026年度版ガイド
多くの記事では「補助金」や「税制優遇」が主役になりますが、視点を変えると地震保険料の削減額が非常に大きな意味を持ちます。あまり語られない独自の視点です。
地震保険料は耐震等級に応じて最大50%の割引が受けられます。たとえば年間保険料が10万円のケースで耐震等級3を取得すると、毎年5万円の節約になります。30年間で計算すると150万円の節減です。長い目で見ると補助金と同等か、それ以上の経済的価値があります。
さらに、耐震等級3を持つ住宅は住宅ローン(フラット35など)でも「フラット35S」の金利優遇(当初10年間 年0.25%引き下げ)の対象になります。仮に借入3,000万円・35年返済であれば、その優遇だけで総利息が数十万円単位で変わります。
リフォームにかかるコストを「今払う費用」だけで判断すると損をします。補助金・減税・保険割引・金利優遇・資産価値の維持を含めたトータルで計算することが、賢いリフォーム判断への近道です。
参考:フラット35Sの金利優遇条件(住宅金融支援機構)
フラット35S(住宅金融支援機構)
「認定を取ればもう地震の心配はない?」という誤解がよくあります。これは違います。耐震等級3でも「倒壊しない」ことが基準であり、建物自体の損傷ゼロを保証するものではありません。阪神淡路大震災クラス(M7.3)の直撃を想定した場合でも「倒壊しない」というのが等級3の定義で、「無傷で残る」とは異なります。
また、「一度認定を受ければ永久に有効?」という疑問もあります。長期優良住宅の認定を受けた住宅は、定期点検・維持保全計画の実施が義務付けられています。少なくとも10年ごとの定期点検が必要で、これを怠ると認定が取り消されるケースがあります。
リフォームを検討している場合は、認定申請に実績のある建築士や工務店に相談することが最も確実です。「長期優良住宅の増改築認定」の申請手続きは複雑で、申請先(所管行政庁)への書類提出や住宅性能評価機関の審査が必要になります。登録住宅性能評価機関の一覧は国土交通省の公式サイトで確認できます。
参考:長期優良住宅のすべての認定情報(国土交通省公式)
長期優良住宅のページ(国土交通省)

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