LAN配線工事をすべて修繕費にすると、税務調査で数十万円を追徴課税される場合があります。
LAN配線工事の費用は、工事の「目的」と「金額」によって複数の勘定科目に分かれます。これが会計処理で最も迷いやすいポイントです。
主に使われる勘定科目は以下の4つです。
- 修繕費:既存設備の原状回復・維持管理目的で、20万円未満または周期3年以内の工事
- 建物付属設備:建物と一体化した新規LAN設備(法定耐用年数15年で減価償却)
- 工具器具備品:単体で機能するLAN機器一式(耐用年数5~10年で減価償却)
- 通信費:月額の回線使用料など継続的なランニングコスト
「原状回復か、新たな設備投資か」で分岐します。 たとえば、断線したLANケーブルを同スペックのものに交換する工事は修繕費ですが、Wi-Fiのない部屋に新たにLANポートを増設する工事は資本的支出(建物付属設備)になる可能性が高いです。 mainte-support(https://mainte-support.com/news/183/)
意外なのが、レイアウト変更に伴うLAN工事です。 単なるオフィスの模様替えに伴う配線移動は、60万円未満であれば修繕費として処理できるとされています。生産性向上を目的とした移設は資本的支出になる点に注意が必要です。 zeiri4(https://www.zeiri4.com/c_1032/c_1035/q_28492/)
税法上、修繕費として認められる基準は明確な数字で示されています。これだけ覚えておけばOKです。 nta.go(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm)
| 判定基準 | 条件 | 処理 |
|---|---|---|
| 少額基準 | 1件あたり20万円未満 | 修繕費(全額経費) |
| 周期基準 | 3年以内の周期で繰り返す修繕 | 修繕費(全額経費) |
| 形式基準① | 1件あたり60万円未満(グレーゾーン時) | 修繕費として処理可 |
| 形式基準② | 支出額が取得価額の10%以下 | 修繕費として処理可 |
| 30%基準 | 上記いずれも該当しない場合 | 支出額の70%を修繕費、30%を資本的支出に按分 |
たとえば、築2,000万円の自宅兼オフィスにLAN工事を施した場合、工事費が200万円以下(取得価額2,000万円の10%)なら修繕費として処理できます。 これは想像以上に大きな金額まで修繕費に算入できる、ということです。 ownersdesk(https://ownersdesk.app/blog/shuzen-hi-shihonteki-shishutsu)
一方、新築や建て替え時に新規でLAN設備一式を導入する場合は、どの基準にも当てはまらず、資本的支出として固定資産計上が原則となります。 「リフォームのついでにLANも新設した」という場合でも、LAN部分の費用が単独で20万円を超えると別途判定が必要になります。 panduit.co(https://www.panduit.co.jp/column/naruhodo/17762/)
誤った会計処理は、税務調査で修正申告と追徴課税につながります。厳しいところですね。
具体的なリスクとして、修繕費として全額経費計上すべきでないものを誤計上した場合、その金額分の法人税・所得税が不足したとみなされます。 たとえば、実際には資本的支出にあたる50万円のLAN新設工事を修繕費にすると、法人税率30%で計算すると約15万円の税額が不足する計算になります。さらに過少申告加算税(10%)や延滞税も上乗せされる場合があります。 siwake(https://siwake.biz/syuuzenhi)
逆に、修繕費にできるものを資本的支出として計上してしまうと、その年の節税額が減り、毎年少額ずつしか経費化できないため、キャッシュフローが悪化します。 これは気づきにくい損失です。 houjin.mt-taxcs(https://houjin.mt-taxcs.com/individual-32/)
税務調査で最も確認されるのが「工事の内容」と「金額の根拠」です。 見積書・請求書・before/afterの工事写真・判断理由のメモをセットで保管しておくことが、修繕費認定を守る実務上の最重要対策です。 ownersdesk(https://ownersdesk.app/blog/shuzen-hi-shihonteki-shishutsu)
以下の国税庁のページには、修繕費と資本的支出の判定基準が公式に記載されています。判断に迷った際の一次確認として活用してください。
国税庁 No.5402 修繕費とならないものの判定(法人向け)
国税庁 No.1379 修繕費とならないものの判定(個人向け)
資本的支出に該当したLAN設備は、耐用年数に沿って毎年少しずつ経費化します。耐用年数の選択が節税に直結します。 nta.go(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/020215/01.htm)
国税庁の質疑応答では、LAN設備全体を一式として建物付属設備に計上する場合の耐用年数は15年と示されています。 一方、個々の機器(ルーター・スイッチングハブなど)を「工具器具備品」として計上する場合は耐用年数5年が適用されます。同じ工事費でも、勘定科目の選択で1年あたりの経費計上額が約3倍変わる計算です。 nta.go(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/020215/01.htm)
国税庁が示す個別の耐用年数の目安は以下のとおりです。 nta.go(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/020215/01.htm)
- ケーブル(光ファイバー含む):10年(電気通信事業用設備に準拠)
- スイッチングハブ・ルーター:5年(電子計算機の周辺機器)
- 配管・アウトレット等の建物一体部分:15年(建物付属設備)
工事業者に発注する際は、見積書の内訳を「ケーブル費」「機器代」「施工費」に分けてもらうと、耐用年数の区分計算がしやすくなります。一括見積もりのまま処理すると、最も長い耐用年数が適用されて節税が遅れるリスクがあります。 見積書の分け方一つが節税の差になります。 search-advisors.freee.co(https://search-advisors.freee.co.jp/qa/accounting/19218)
以下のページでは、freeeの税理士Q&AでLAN配線工事の資産計上について具体的な回答が公開されています。実務上の判断参考として活用できます。
freee税理士Q&A:Wi-Fi用LAN配線工事の勘定科目と耐用年数(2025年)
リフォームと同時にLAN工事を行う場合、建物本体のリフォーム費用とLAN工事費用を混在させたまま一括計上するミスが多く見られます。これは要注意です。
以下の手順で判断すると、税務上のミスを防ぎやすくなります。
1. 工事の目的を確認:「既存LANの修理・復元」か「新規LAN設備の追加・増設」かを区別する
2. 金額を確認:LAN工事費用のみを切り出して20万円基準を適用する(リフォーム全体の合算で判断しない)
3. 建物との一体性を確認:壁内配管・アウトレットは建物付属設備、机上のルーター類は工具器具備品に区分する
4. 書類を整備:工事内容・金額・判断理由を記録し、写真とともに保管する
リフォーム全体の費用が大きくなりがちな場合でも、LAN工事部分は独立した工事と捉えて個別に金額基準を適用するのが原則です。 この考え方を知らないと、リフォーム全体の合計金額で資本的支出と判定されて、本来なら修繕費にできたLAN工事費用まで固定資産に算入してしまうケースがあります。 f-madoguchi(https://f-madoguchi.jp/contents/5231)
また、LAN配線工事を依頼する際に「工事費20万円以内に収まるよう分割発注する」という方法を取る方もいますが、税務上は実質的に一体の工事とみなされる場合があります。 意図的な分割発注は税務リスクになりますので、工事内容で正当に分割できる場合に限って個別判定を適用してください。 siwake(https://siwake.biz/syuuzenhi)
以下のページは、修繕費と資本的支出の判定フローをフローチャートで図解しており、自己判断のツールとして非常に使いやすいです。LAN工事以外のリフォーム費用の判定にも活用できます。
修繕費 vs 資本的支出|税務署に否認されない判定フロー(具体例付き)